【箱庭(ラインクラフト)】~お荷物として幼馴染みに殺されかけた俺は転生の創造主の力で世界を創り変える、勿論復讐(ざまぁ)も忘れずに~

司真 緋水銀

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第一章 箱使いの悪魔

#021.■課金をしよう④『リゼ』

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「助けてっ!! お願いっ!!」

 女はソウルを視認して迷う事なく二人の元へ走ってくる。それを見たソウルはマインに指示を出した。
 
「マイン、魔術発動の用意を」
「は、はい!」

 マインはその指示を受け、即座に女の後方に向けて構えた。
 女がソウルに抱きつく。だが、飛び出して来たのは女だけで薄暗い通路は闇を携(たずさ)えたままだ。

「た……助けてっ……」
「なはは、何を取り乱してんのか知らないが安心しな。後ろにゃあ誰もいねえ、落ち着け。一体何があった?」
「………お……奥で………………襲われたの………男達に………まだ追ってきているような気がして……」

 女は震えながらソウルの腕を掴み、涙眼で言った。どうやら推測が事実に近づいてきた、この鉱山の中には魔獣以外にも障害があるらしい──ソウルは嘆息する。
 とりあえず彼女から詳細を聞き出すため、インベントリからマイン用の服を取り出し差し出した。
更に落ち着かせるために辿ってきた通路を戻り、一つ前の採掘場へと後退する。
 
----------------------------

〈第7採掘場〉→→→〈第6採掘場〉

「……わたしは『リゼ』……王都にある魔術師連盟【ソーサラー・エフェクト】の新人魔術師なんだけど……」

 採掘場に戻ったソウル達は『リゼ』と名乗る女から事情を聞いた。
 リゼは魔術学院を卒業したばかりの新卒で、低ランク狩り場のあるカルデアへと修行に来ていたらしい。そこでソウル達と同じように『金』ランクの女達にパーティーを組むように持ち掛けられた。一人で心細かったリゼにとってまさに渡りに舟だったようで『金』ランカー達と共にレッドストン鉱山へと足を踏み入れた。
 だが……『金』ランクの女達は深層に足を踏み入れると態度を豹変させ、炭鉱に待ち構えていた仲間と思わしき男達と共に襲いかかってきたらしい。
 リゼは隙を見て命からがら何とか逃げ果(おお)せたと怯えながら言った。

「成程、事情はわかった。よく『金』ランクから逃げてこれたな」
「……あの人達……『金』ランクと言いながら実力の程はそうでもなくて……魔術の精度も……だから何とか……」
「本物の『金』ランクなら標的を逃がすようなヘマはしないだろう。大方、コインを積んで買った似非ランカーだ。よくある事だ、ギルドと裏で繋がった貴族共が栄誉誇示の為にコインを積んでランクを買う。だからやたらと『似非金』ランクがあの町にいたわけだ」
「……ラインさん。その偽物の『金』ランクの人達は何の為にこんな事を……」
「貴族のやる事なんざ小遣い稼ぎか暇潰しかのどっちかしかないさ、今回のは両方だな。町に来た低ランクの冒険者達に誘いを持ち掛け、法外な値段を吹っ掛ける。効率のいいレベル上げのためとかコイン稼ぎのためとか何とか謳(うた)い文句を掲げてな。そして狩場でまさしく『狩り』をする──魔獣じゃなく人間を」
「………そう、下手な創り話を疑わなかったあたしが馬鹿だった……とにかく早く一人前になりたくて……つい誘いに乗っちゃって…………ホント………馬鹿だったっ………ぐすっ、ぅぅぅぅっ………」

 リゼは顔を両手で押さえ、堪(こら)えきれない嗚咽(おえつ)と共に涙を流す。待ち構えていたという男達に『襲われた』というのは単に狩りの標的にされ攻撃された、という意味だけではないだろう。リゼの様子とボロボロになった服装から二人は察する事ができたが──それを口にして聞くのは憚(はばか)られた。
 マインは無表情のまま、静かな怒りをその紅蒼の両眼に宿しているようだった。同性として、ソウルよりもその痛みを近く感じているのだろう。

「……ラインさん、どうされますか?」
「勿論行くさ。そのために来たんだからな」
「……リゼさんはどうされますか? 流石に連れていくわけには……」
「……そうだな……」

 考えあぐねているとリゼは顔を隠していた両手をゆっくりと降ろし、涙と共に泣き声を止めた。数秒の間の後に紅い目尻を拭って二人にその顔を向ける。

「……あたしも連れていって……ぁいつらっ……絶対に許さないっ……! あたしがっ……この手で殺してやるッ……!!」
「……リゼさん…………」

 その表情は先程とはうって変わって憎悪に満ち溢れたものへと変化していた。無理もなかった──が、酷い目に合わされたというのにこんなにも早く恐怖心を憎しみへと転換させる事ができるその精神にソウルは少し感心した。

「なはは、本人がこう言ってんなら仕方ねぇ。手ぇ貸してやる、行くとしようか」
「…………はい」

 どこか気乗りしなそうなマインと、リゼと共に、ソウル達は鉱山の更に奥深くへと足を踏み入れる。
 

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