【箱庭(ラインクラフト)】~お荷物として幼馴染みに殺されかけた俺は転生の創造主の力で世界を創り変える、勿論復讐(ざまぁ)も忘れずに~

司真 緋水銀

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第一章 箱使いの悪魔

#024.■課金をしよう⑦『信用』

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「ーーッ!! あん……た……初めっから……ッわかってたのっ……!?」

 電撃にて身体の自由を囚われたのち、うずくまりながら地面に膝をついたエリーゼは……身体を痙攣(けいれん)させながら苦しそうになんとか声を張り上げる。ソウルはその様子を満足気に眺め、大仰に両手を広げて言った。

「ったりめぇだろ、完璧な演技っつーんならここまでやらなきゃあな。色々と雑すぎなんだよお前さんは。あーあ、土まみれになっちまった」

 悠々と恐れもせず、エリーゼに近づいてくるソウルの後ろで何事もなかったかのようにマインも起き上がった。それを見たエリーゼは唇を噛みしめる──途切れそうな意識を覚醒させるため……そして何よりも術中に嵌(は)まった悔しさで。

「ッ……何でっ……!? 何でバレたのッ……!?」
「なはは、曲がりなりにも魔術師を名乗るだけはある。あれだけもろに電撃を喰らっても意識だけはある……いや、半減耐性を持ってるだけか」
「ソ……ラインさん、未熟なマインも是非お聞かせ願いたいです。何故、この方が演技しているとわかったのですか?」

 エリーゼの疑問に答えてやる義理もないとやり過ごそうとしたソウルだったが、マインの純粋且つ羨望を含む眼差しを向けられ仕方なく応じる事にして話し始めた。

「理由は色々あるが……まず不審に思ったのは出会った時に『肌が綺麗すぎた』ことさ。服は無残にも破かれてたっつーのに剥き出しになった肌は土すらついていなかったし……すり傷も殴打痕(おうだこん)すらなかった。普通は抵抗するなり暴れたりしてもっと汚れるもんだ」
「……なるほど、確かに……」
「そして、助けを求めたのが俺だったっつー点だ。マイン──仮にマインが男に乱暴された後に逃げ出した場合……『見知らぬ』しかも『男』に助けを求めるか? 百歩譲って同性にならわからなくもねぇが」
「マインはラインさん以外にそんな事をされるくらいならその前に舌を噛みきって死にます」
「……いや、そーいうことじゃなくて……少なくとも俺がその女の立場だったらその時点で男は信用しない。見知らぬ俺がその男達と仲間じゃないなんて確信はないわけだしな。だからこいつの行動は嘘臭すぎた」
「──ッ!!!」
「恐らくだが……こいつは俺を視認し駆け寄った時に俺を殺すつもりだったんだろう。『俺の後ろに他に人がいると気づくまでは』。暗がりでよく見えなかったんだろうな、だからマインを見たのちに即座に切り換えて創り話で誘い込むことにした」
「……だからラインさんは後方に敵の気配が無い事をわかっていながらマインにわざと声をかけたのですね。あの一瞬で全て見抜いていたなんて……マインは感服致しました」
 
 エリーゼの唇から血が滲(にじ)む、ソウルの言っていた事がまさしくその通りであったために更に激しく怒りを噛み締めたから。そして──更にはっきりと意識を覚醒させるために。
 この場をどうやって逃げ切るか、こいつらをどうやって始末するか、策を講じるために神経を集中させていたのだ。目の前の男は多少頭がきれるようではあるが……『隠し手はもう一つある』。『それ』を発動させれば状況を一変させられる、そのためには多少時間を稼いでマナと体力の回復を待つ必要がある──そう考えたエリーゼは筋弛(きんし)した身体を少しずつ動かそうと試みていた──

「だが、そんなのは懸念材料に過ぎねぇさ。俺が最初からわかっていた理由なんざシンプルに一つだけだ」

──だが、悪魔が次に放った一言とその表情……瞳を見て思い知らされる。そんな猶予(ゆうよ)などありはしないということを。

「最初から誰一人、信用なんざしてねぇからさ」

 悪魔に冷たく、殺意の込もった瞳を向けられたエリーゼにできる事は……万全ではない状態の下策(げさく)を即座に発動させるしかないことを。

【フロータリア・オン・バグス(迸る電撃)】

バチィッ

 動くことのできないエリーゼが放った弱々しい電撃は地を這(は)い、二人の足下を通り抜けた。無論、このような魔術で抵抗を試みたわけではない。
 この空間内は冒険者達を捕らえるために造ったエリーゼの実験場、勿論、罠が魔法陣だけというわけはない。
 もしもの時のために策は幾重にも用意してはある。

 放った電撃は『とあるスイッチ』を押すための起爆剤。這っていった電撃はエリーゼの用意していた罠を起動させる。この位置では自分自身も巻き添えを喰らう事が明白でありながら……そうせざるを得なかったのだ。
 張られた罠は、地中に埋められた【爆弾】を起爆させるもの。だが、それは爆発により敵を仕留めるといったものではなく……地層を一挙に砕き落下させるためのもの。シンプルに言ってしまえば【落とし穴】に過ぎない。空間内を爆破させれば崩落により自身すらも危険に陥るのを避けたエリーゼの保険のためのもの。
 
ドドドドドドドドドドドドドドドォンッ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 爆破にしては派手さのない音と共に、一気に地響きが地中から舞い上がった。計算された配置により地層のみを破壊した爆弾は空間の半分だけを器用に滑落させるに至った。

「きゃっ……!!」
「マイン、掴まれ!」

 苦肉の策ではあったが、それは結果──ソウルとマインを呑み込んだ。足をとられたマインに直ぐに手を伸ばしたソウルにより二人は手を繋がれたまま為す術もなく闇へと呑みこまれる。
 言うまでもなく……身体の動かない自分自身と共に。

 しかし、勝ち誇ったようにエリーゼは叫んだ。

「っ!! あたしの本当の実験場に連れてってあげるわ!!」

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