【箱庭(ラインクラフト)】~お荷物として幼馴染みに殺されかけた俺は転生の創造主の力で世界を創り変える、勿論復讐(ざまぁ)も忘れずに~

司真 緋水銀

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第二章 楽園クラフトと最初の標的

#049.SSS迷宮【黒耀石の尖塔】へ入ろう⑦

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〈黒耀石の尖塔 結界前線〉

「──がはっ……!!」
「……大型魔獣討伐数121……Sランク依頼25回達成のエメラルドランク【ウォルナー・フォルスケット】並びに同ギルド金ランク【メルリダ・マクラリア】……こんなものか……次、前へ出よ」

 審査は予想通り、惨烈(さんれつ)たる様相を極める──これまでに八名……四つの連盟が試験官である二人に挑んだが、それは手合わせや試験と言った生易しいものではなく……単なる排撃(イジメ)にしか見えなかった。

「こちらも終了です、SS魔術師ギルド『エターナルルィンド』頭目【ソサイア・ハイエティ】並びに同ギルド【マイト・コーダリア】……基準には値しません。不合格です。次」

 武器を扱う戦闘スタイルの者はバルザックと、魔術攻撃を主とする者はレイシェルと戦闘を開始する──しかし、僅か二、三の攻防を繰り広げたのち、二人はギルド員たちを圧倒した。全く容赦の無い攻撃は、不全であるギルド員たちには防ぐ術も無く……続々と再起不能となっていく。

「が……あ………」
「う……ぅう………」

 誰の目から見ても、段違いの実力者。仮に万全であったとしても、こいつらでは喰らいつくのが精一杯だっただろう。

「次──魔術師ギルド『セラヴィクロニクス』二名、前へ出なさい」
「………はい」

 次に呼ばれたのは先程から他より一層具合の悪そうな……座り込んでいたあの女だった。体調は回復するわけもなく、どころか更に悪化している様子だ。なのに出張るということはやはりエメラルドランクの持ち主らしい。
 すると、共に前へ出た同ギルド員の女が二人に対し異議申し立てするために声を張り上げた。

「すみませんっ! リーダーは昨夜から見張りしてくれてて一睡もしていない上に食事もまともに取れていないんですっ……審査を遅らせるか……別の人を出すわけにはいきませんかっ!?」
「許可できません、資格者であるエメラルドランクの資質を計るのは絶対です。時刻が迫っているため後回しにする事もなりません、審査の辞退はいつでも可能ですのでそちらをオススメします」
「……っ……だ……大丈夫です……できますっ……」
「……何やら体調が悪そうですが、言い訳にはなりません。体調管理の徹底──希少なエメラルドをその身につけ掲げるならば……それくらいはできて当然の事だと思いますが?」
「──っ! 元はと言えばそっちがっ……! 私達はちゃんと宿を手配してたのにっ……! こんな結果でおめおめ国に帰れるわけないのもわかってるくせにっ……!」
「やめなさいっ……レイア……私なら心配無用です……お願いします……!」

 どうやら退く気はないようで、女は杖を手に取り構えた。どのような重圧や覚悟を背負い、この場に立ったかは知らないが……その瞳には華奢な身体を奮い立たせる不屈の闘志が宿っていた──

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「……ひでぇ……」

 ──それでも、それだけで結果が変わるほどに現実は甘くない。その様子を見ていたギルド員の大柄な男も思わずそう呟く程に、一方的な蹂躙(じゅうりん)が行われた。女は杖にしがみつくのがやっとで膝を地につく、魔術を防ぎきれなかったために身体のあちこちに傷ができて満身創痍だ。もう一人の女も健闘していたが……地に伏し、辛うじて意識を保つのが精一杯のようだ。

「ふふ、あの調子でよく健闘した方だよ。万全であったなら良い戦闘が見られただろうに残念でならない」
「……イルナ、お前よく笑ってみていられるな」
「キミは心中穏やかではない、と言いたいのかな?」
「………」

 少なくとも愉快爽快ではないな──と口に出そうとしたが、それを押し殺す。イルナのように飄々(ひょうひょう)と事態をいなす……仮に目の前の女が悪人であるならそうできただろう。
 だが、何かを背負い、悲痛な面持ちで試練に臨む人間になんの非があるだろうか。少なくとも、ここまでの恥ずかしめを受ける謂(いわ)れは無い──俺にはまだ人の善悪を判定する審美眼はない。が、かつての強くあろうとする自分と重なって見えるのは確かだ。

「ま…………だっ……………」
「もう充分です、辞退する気は無いようなので……気を失ってもらいます。これが最後通告ですよ? 調査隊への参加は諦めてください」
「………嫌…………」
「……そうですか」

【火事象魔術 『ヴォルフェルノ・ラナ・マグナ』】

 レイシェルは少し躊躇いつつも、上級の魔術を発動させる。火の上位──炎が周囲の暑い空気を更に熱くさせ、まるで蛇の如し炎鞭が対象を絡めとらんと熱気を迸(はし)らせた。

 しかし、その炎は対象に届く事なく俺の掌(てのひら)の中で消えていった。
 いち早く、事態を理解したレイシェルが驚きの声を上げる。

「──っ!? マナドレインッ……!!?」
「なはは、もういいだろ。待ちくたびれたぜ、さぁ俺達に塔に挑む資格があるか……試してみろよ」

 自分自身の感情を整理できないままに──俺はレイシェルと対峙する。
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