名無しの最強異世界性活

司真 緋水銀

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第二章 命名研究機関との戦い

第六十三話 リーフレイン①

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〈アウクストラ王国玉座〉

「皆の者…礼を言う。よくぞ命名研究所の謀略から国民を救ってくれた…大臣、あれを」
「はっ!」

俺達はその後、研究所をあとにしてルール達に連れられ…飛竜でアウクストラ王の治める国…王国へと来ていた。
絢爛という言葉が相応しい玉座にはルールのお父さん…アウクストラ王が堂々と座っていた。
その風格はまさしく王…このゲームやアニメでしか見た事のない厳格な玉座の雰囲気と相まってか…とても怖く感じる。

「……って堅苦しいやり取りはやっぱ俺ぁ苦手だな、お前らもフランクに話してくれてかまわねぇぜ。普通に話そうや。でも本当よくやってくれたなお前ら、ありがとう」

と、いきなりフランクに話し始める王様。
この言葉に皆は気を抜かれたのか多少緊張を緩めたらしい。
しゃんつぉーねなんかは立っているのが疲れたのか王様に「座ってよろしいでございましょうか?」などと王の膝の上に座ろうとして皆に止められていた。
古心とエレは二人で談笑しはじめた。
アイとリーフとこういう場に慣れているのか礼儀をわきまえながらも堂々としていた。
佰仟と殺は特に興味なさそうに早く帰りたそうにしている。

「言った通りでござございましょう?お父様」
「はは、確かに聞いた通り面白ぇ連中だ。急ぎじゃないんだったら是非城でゆっくりしていってくれ、もてなすぜ」

「どうしたのナナシ?何かここに来てからずっと体調悪そうにしてるけど…何かあったの?」

アイが俺を気遣ってくれる。
そう、俺は正直出来れば…この場をすぐに立ち去りたかった。

例え王様がフランクな人でも、優しい人でも、俺には恐怖しか感じない。

何故なら、俺は王様の娘…ルールとエッチしてしまったから。
お願いだからルール、余計な事を言ってないでおくれと願う事しかできなかった。

そんな事を思っていると大臣から俺に大きな袋が手渡される。

「感謝の気持ちにこんな事しかできねぇのは癪なんだが…これからの旅の資金にしてくれ、100万ネムだ。それと必要なもんがいりゃ言ってくれ、用意させる」
「お心遣い感謝致します、閣下」

リーフが感謝の言葉を王に述べる。
その横顔はいつもと変わらない、綺麗で凛としたものだった。

「それで…お父様。研究所と研究所の人間達はこれからどうなるのかしかしら?」
「………研究所については解体という事で話がついた、『表』の研究員達は別の命名研究機関に配属という形になる」
「…………今回の騒動を巻き起こした人たちたちは…」
「…首謀者の一人である【ゼロ】については自ら極刑を望んでいる、どうなるかはまだわからねぇがな。【人心掌握】、【切裂ティアラップ】は終身刑、他幹部連中についても同じようになるだろう」

そう、研究所の【裏側】に関わった者達は全員が牢に入れられた。
例外なく、協力してくれた【不思議】…そして【サイ】や【ブリッジ】も…。
【古心】は火山騒動の前に研究所を抜けたと証明できたし、それまでも誘拐や殺人には手を貸さなかったので無罪という事になった。
けど、仕方ない事なのかもしれないけど他の皆は…どうにかして刑を軽減してあげられないだろうか…。
世話になったし…特に不思議ちゃんには悪い事をしてしまったし…。

「ま、そこらへんは心配すんな。協力してくれたやつにぁ俺が何とか配慮すっからよ。お前らはゆっくり休んでくれ」
「あたあたくしが客室まで案内するわ、ついてきて」

ルールが皆を連れ、客室へと案内してくれる。
王様はどうやら俺の心配事を察してくれたようでそう言ってくれた。
いい王様だな、この件は任せてみるしかないか。

ふぅ、思えばアールステッド以降にゆっくり心が休まる事はなかったな……けど、色々あったけどようやく皆で揃って休息できそうだ。
俺も皆に続こうとすると後ろから王様に声をかけられた。

「…それで、お前がナナシ君だよな?時間できたら、是非、話、させて、くれよなぁ?」

顔は笑っていたが、声も何もかもが笑っていなかった。

ルールさん、わかってはいたけど…お父さんに話してしまったんだね。
どうやらこの国でもゆっくり休息はできないらしい。

----------------------------

〈貴賓室〉

まるでスイートルームのような豪華な部屋に案内された俺達は久々に
くつろいだ。
とりあえずこれからの事とか色々と話はあるけど、今日のところは何も考えないでゆっくり休もう。
そう考えていると何か皆がそわそわしていた。
?一体どうしたんだろうか?

「あっ、ねぇねぇエレにゃん!何か城下でお祭りの準備してるみたいだよー、何だろねっ!?」
「ほ、本当だにゃ!何か特別なイベントでもやってるのかなぁこころん!」

エレと古心が芝居みたいな棒読みで会話しはじめた。
城下でお祭りか…行きたいのかな?

「じゃあみんなで」
「じゃあ行くわよ!ナナシはダメ!女の子だけで行くから!人魚さんもあんたも!あ!お姉ちゃんは休んでて!」

俺が皆で行こうと提案しようとするのをアイに制止された。
そしてしゃんつぉーねと殺を無理矢理引っ張っていく。

「な、何ででありますか!?私は行くなんて言ってないであります!」
「う、うちはゆっくり寝ようかと思っていたでございますぅ」
「二人共ごちゃごちゃ言わない!あ、佰仟!お金出して!」
「ふざけるな、何故俺が…おい!引っ張るんじゃない!どうせならナナさんと…」

バタンッ!

「……」「……」

部屋には俺とリーフが残された。
何故?仲間外れ?

「…………ふっ、下手な演技だったな…大方、私に気を使ったのだろう…」
「あ……」

そうか…そういう事か…リーフは…

「いらぬ心配だと言うのにな、私はこの通り何ともない」

だとしたら…ここは俺が動かなきゃならない。
リーフの心の傷を少しでも癒してあげたい。
きっとみんなは…俺がそれをできると思って任せてくれたんだ。
だったら。

「旦那様も行ってくるといい、私に気遣いなど無用だ」

今までは…好意を持ってくれた皆は主導してくれて…俺はそれに甘えていて…受ける形になっていたけど。
それじゃあダメなんだ。
ここは、俺から動かなくちゃいけない。

正直…今までそんな事をした事なかったし…リーフはあんな目にあったすぐ後だ。
拒否されるかもしれないし、リーフを傷つけてしまうかもしれない。
俺が…リーフを壊してしまうかもしれない。

けど、それに怯えていてはいつまでもリーフは…。
だから、俺が拒絶されてでも…俺から動かなくちゃいけないんだ。

「……リーフ…」
「…?はい、旦那様…?」
「…二人でお祭りに行こう、君と一緒に見て回りたい」
「……え?」

リーフはぽかんとしている。
そうして…少し間を置いた後、少し照れくさそうに言った。

「……わ、私と一緒でも…つまらないと思いますが…旦那様が望むのであれば…」
「…良かった、じゃあ…行こう」

そうして俺はリーフに手を差し出した。
リーフは少し躊躇ったものの…おそるおそる俺の手を取った。




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