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第1話「辯財店(べんざいてん)」
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今日は星座占いで一位と聞いて元気が良い。現在は朝の六時二十五分を過ぎた辺りで太陽も昇りかけの絶好のスタートを切れそうな日だった。今日から新しい会社で入社式、遅れてはならないと一時間前に出発準備をしたはいいもののあまりに早かった。新しく引っ越してきたのもあり、会社に向かいながら寄り道しながら行けば良いと思い家を後にした。街の店は朝早いためか空いておらず寄り道することなく淡々と歩いていたのだが歩いている途中とても美味しそうな匂いがしてきた、まるで「おいで。」と誘われているかのようだった。時間に余裕はあったので僕はその匂いを辿って行った。すると、昔見たことがあるような駄菓子屋さんのようなお店が現れ看板を見ると「辯財店」と書かれている。どうやらここから匂いがするらしい。店の中に入り何の匂いか探していると富山の名産品リブランの「甘金丹」に似た「激甘金丹」と言うものを見つけた。「せっかくだし買って行こう。」そう思うと中にいた60歳くらいの店主に「これお願いします。」とお会計を頼んだ。すると、読んでいた新聞をたたみ会計をしてくれようとし「激甘金丹」を見た途端「よっしゃぁぁ!!!やっと解放されたぁ!!これで俺は自由だぁ!」と突然叫び始めたのである。何かと思いびっくりしていたが、おじさんが「いやぁ、おめでとう!君が2代目店主だよ!」頭の中が真っ白で「え?」としか言えない状況であった。「一体ど、どう、どう言うことなんですか!?」びっくりして頭が回転していない僕の肩をおじさんがポンと叩き「状況が飲み込めないよな、だけど大丈夫、「マスター」と読んでいる出来る子がいるからその子に教えてもらいなさい。それじゃあ良い店主生活をね~。」と言い店を出て行ってしまった。僕が慌てふためいていると店の奥から小学生くらいの男の子が出てきて、一回僕に会釈をすると、「初めまして、長谷川 苺(はせがわ いちご)と申します。初代店主の竹田さんと話しているところを聞かせていただきました。これから2代目店主としてよろしくお願いします。今回採用され、入社予定の会社は内定取り消しになりこちらの店主活動に専念してもらいます。」「ちょっと待ってよ!一番力入れてた会社なのにぃ~」「良いじゃないですか、これもまた運命ですよ。」運命とかでまとめられたくなかったが今思うと本当に小学生かを疑うくらい丁寧な喋り方をしていた。「とりあえずよろしくね。」「よろしくお願いします。とりあえず全国辯財店協会に世代、共に店主交代を報告しておきました。3日後に丁度サミットがあるのでそこで他の県の方々と交流を深めて仲良くしておいてください。」どうやらサミットは月に二回ほど定期会があるのだが今回は緊急サミットらしい。「あと、辯財店の専用のスマホも渡しておきますね。ここにはここの富山店舗の全データや辯財店についてのデータとが入っていますのでもし困った場合は確認してくださいね。」すると一つ新着メッセージが届いた。読んでみると「3日後の12日に歓迎会兼サミットを行います。予定は12日の午後2時30分に兵庫の神戸店にて集合をお願いします。」「これが言ってたサミット?」と聞くと不思議な顔をして「あってますが珍しいですね、1人のために歓迎会を開くなんて。」そんな話をしていると30代くらいの女性が来店してきた。「ほら、初めてのお客さんですよ!対応してください。」少し緊張したけれど話しかけた。「何かお探しでしょうか?」「ここってコピー用紙あります?」心の中でうわっ、わからないと思った瞬間スマホが震えた。画面を見てみると「コピー用紙4レーン 23列目 5段目 4番目」と通知が来ていたその指示に従って行ってみるとコピー用紙があった。「ありました!これでだいじょうぶです?」「はい!助かりました。」 少し緊張したけれど初めての接客は成功して少し安堵した。「いやぁ、スマホのおかげで助かった~」「初めての接客はまずまずでしたが及第点ですかね。」小学生に及第点と言われるのは悔しかったが接客していた時のお客さんの笑顔を見た時にすごくやりがいを感じた。「意外とこの仕事も悪くはないな。」そう思えた。そして一日いちご君に業務を叩き込まれた。疲労困憊ですごく疲れた。「もうダメー!動けない~!」「駄々こねないでください。今日終わればサミットまで休みなんですから。」「そういや、なんでいちごくんはここで働いてるの?」すると、いちごくんは僕に背を向けて「・・・・だから」「え?なんて?」すると何でもなかったかのようにこちらを振り向いて元気に「いや、何でもないです!すみません!」少しよくないところに突っ込んでしまったと思って僕もこれ以上踏み込まないようにした。そして、サミットの日12日兵庫の新神戸駅につき専用スマホを出して会場までのルートを確認しながら向かった。そして歩きと電車で20分。ついたは良いもののめっちゃくちゃでかいホールに着いた。「さすが神戸って感じ」と思いホールに入り受付をしてもらってホール会館ドア前まで来た。めちゃくちゃ緊張している、一つドアの向こうは同じ店の店主だらけ。仲間はずれや変な目で見られませんように!と思いながら緊張しながら開けるのを躊躇していると「おい、何してんねん。」ドスのきいた怖い声が後ろから聞こえた。恐る恐る後ろを振り向くと身長171cmの僕の顔二つ分くらいでかい男の人が立っていた。 第2話へ続く
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