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第73話 赤い子の命は
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「……ここは。」
「ノエル……気がついたか」
「ガーノス……それに、君たちは……」
廃墟となった研究施設を離れて、数時間後。
ベッドに寝かせていたノエルさんが、ゆっくりと目を覚ました。
体を起こした彼女は、まず自分の体に傷がないこと、
そして首に隷属の首輪がないことに気づく。
次の瞬間――
驚いたようにベッドから飛び降り、ガーノスさんに詰め寄った。
「ガーノス、これは一体どういうことだ?!
傷もない……隷属の首輪も、外れている……!
まさか、あの男が私を解放したのか?!」
「いや。そこにいるヨシヒロが、
お前の傷を治して、首輪も解除したんだ」
「……え?
この青年が……? 嘘だろう?」
ガーノスさんは、クイッと親指で俺を指し示す。
ノエルさんは信じられないという表情で、
俺とガーノスさんを交互に見つめていた。
そんな彼女に、ガーノスさんは溜め息混じりに続ける。
「嘘なわけあるか。こいつは王国御用達の冒険者だ。
……お前も見ただろ?
伝説の魔獣フェンリルに、ミノタウロス、スライム、
使い魔の悪魔まで――
全部、こいつの従魔だ」
「じゅ、従魔……!?
フェンリルが、従魔だと……?!
そんな……フェンリルを従える人間など、過去にだって存在しない――
おい、君!
一体、何者なんだ?!
なぜフェンリルともあろう存在が、
君のような子供の従魔に……?!」
研究者としての好奇心なのか、それとも純粋な疑念か――
ノエルさんは、今度は俺に詰め寄ってきた。
そんな様子を見ていたロウキが、ヒョコヒョコと前へ出て、
前足でクイッと俺を引き寄せると、鋭い眼光でノエルさんを睨みつけた。
「さっきからやかましい。
我はヨシヒロに忠義を誓っている。
過去がどうであろうと、関係ない。
それに貴様――
助けてもらっておいて、その態度は何だ?
まずは礼を言うのが筋ではないのか?」
「す……すみません……フェンリル様……」
ロウキの叱責に、ノエルさんはハッとした表情を見せて頭を下げた。
その様子を見て、今度はクロたちもぞろぞろと前に出てくる。
「主に助けてもらったんだろー?
ちゃんと“ありがとう”って言わなきゃダメだろ!
あとさ、俺も頑張ったんだぞ?
お前が助けてって言ったトカゲ、俺の分身なんだからな!」
「そうですよ、ノエルさん。
私たちは、あなたを救い出すために必死でした」
「あるじ、まもった。
ありがと、いって」
「ヨシヒロ様のご活躍、ぜひ見てほしかったです!」
「こらこら!
ノエルさんを困らせないの!
……ロウキも、威圧しすぎ!」
「なっ……我は、お前のために……」
「分かってる。
ありがとうな、ロウキ。」
「……フンッ」
本当に、優しい子たちだ。
俺は別に気にしていないのに、こうして必死に庇ってくれる。
それだけで、胸の奥が温かくなる。
そんな様子を見ていたノエルさんが、少しだけ羨ましそうに、呟いた。
「……君は、魔物や魔獣たちに愛されているんだな。
……悪魔にまで。
そんな人間、初めてだよ」
「俺は……この子たちと出会えたから、
今、こうして生きていられるんです。
確かに、この子たちは疎まれる存在かもしれません。
でも……俺にとっては、大切な“家族”です」
「家族……か。何とも羨ましい感情だ」
この場にいる子たちは家族。
そう言い切ると、ノエルさんは困ったように笑った。
「家族です。
だからこそ――
魔物や魔獣を、実験の道具に使うことは……どうしても、許せなかった。
あなたが隷属の首輪で自由を奪われていたことは、分かっています。
でも……本来は本能だけで生きているワイバーンが、
何て言ったか……分かりますか?」
「ワイバーンは何と……?」
「――“眠らせてくれ。楽にしてくれ”って……
……どれだけ、辛かったか……
だから俺は、あなたの研究内容に、賛同できません。
もし、違法ではない方法で、
自然に生まれた存在を対象とした研究なら……」
「……そうだね」
ノエルさんは、静かに目を伏せた。
「今回のことで、自分がどれほど愚かなことをしていたか……痛感したよ。
君の言う通りだ。自然交配した者たちだけを対象にしていれば、
こんな悲劇は、起こらなかったのかもしれない……。
……やり方を、間違えたんだろうね。」
「……すみません。
少し……感情的になってしまいました。
俺は、あなたの研究心そのものを否定したいわけじゃないんです。
何かに興味を持ち、自分の道を切り開こうとすることは……
とても、素晴らしいことだと……俺は思っていますから」
「……ありがとう。ヨシヒロ君」
彼女に、逆らう術がなかったことは分かっていたのに。
それでも、あのワイバーンの声が――
どうしても、忘れられなかった。
だからつい、勢いのままノエルさんに詰め寄ってしまった。
だけど、ノエルさんは、俺の言葉を真っ直ぐ受け止め、
「やり方を間違えた」と肩を落とした。
だからこそ、「ありがとう」と微笑もうとするその顔が、
あまりにも痛々しかった。
「ノエル……何があったんだ。
お前が、こんな男にホイホイついていくとは思えねぇ。
事情があるなら、聞かせてくれ。」
「ガーノス……私は……
私の研究を、無条件で理解してくれた男だと思った。
研究施設に、たまたまあの男が来てね……
遺伝子の話をしたら、目を輝かせて聞いてくれた。
“資金は出す。納得いくまで研究を続けろ”――
そう言ってくれたの。
私の考えを否定せず、受け入れてくれた人は……
初めてだった」
そう話し始めたノエルさんの声が、震える。
「だから……信じてしまった。
あの男に、裏の顔があるなんて思いもしなかった。
……それからしばらくして、
“融合体を作ってみないか”と、言われた。
成功すれば、論文が書ける、と……
でも……意図的な融合は国の禁忌。
命を、そんなふうに使えないと……断った。
……そしたら、このざまだ」
ノエルさんは、当時のことを思い出し唇を噛みしめた。
「眠っている間に、家に侵入されて……
隷属の首輪をつけられ、研究施設も奪われた。
……どこにも、逃げ場はなかった。
……私は、自分の研究が……
こんなふうに利用される日が来るなんて、思わなかった。
そして……今回のことで、分かったの。
私は……命を、粗末に扱っていた。
弱肉強食の世界で、命は散るもの……そう思っていた。
でも……私のやったことは、最低だった……」
「……話してくれて、ありがとな。
陛下……いや、アーロンには、情状酌量を求めてみる」
「ありがとう、ガーノス。
……でも、いいの。
私は……自分の罪と向き合って、償うわ。
私が……すべて、悪かった。その事実は、変わらない」
――努力する人が、利用される。
認められたいという気持ちが、裏切られる。
どこの世界でも、起こりうる話。
だからこそ、
「私が悪かった」と微笑もうとするノエルさんの姿が、
胸に刺さった。
……なんで、頑張る人が泣く世界なんだろう。
だから俺は、
そんな人に手を差し伸べられる人間でありたい。
そう、強く思った――……
◇
「ガーノスさん、ヨシヒロ様。ありがとうございます。
ここからは我々が引き継ぎます」
「ああ…頼む」
「承知しました。
では、お二人にはこれから陛下へのご報告をお願いいたします」
「分かった」
「はい…」
5日かけて王都へ戻った俺たちは、まずクロたちを転移ゲートで家へ帰し、その足で王城へと向かった。
アクアベアだけは俺の服を握ったまま眠っていて、どうしても離れてくれなかったため、そのまま連れて行くことにした。
王城の城門で待っていたルセウスさんとクロノスさんに、男とノエルさんを引き渡し、
俺たちは別の案内人に導かれて、アーロンさんの待つ王座の間へと向かう。
思えば、俺が足を踏み入れたことがあるのは応接間や執務室だけだった。
正式な謁見はこれが初めてで、作法も何も分からない。
そう思いながら、俺は黙って案内人の背中を追った。
やがて、緊張したまま扉が開き、思わず唾を飲み込む。
玉座の間は、静寂の中にも張り詰めた空気が満ちており、これまで感じたことのない重苦しさに包まれていた。
アーロンさんの玉座の傍らには、王妃レイラさん、そして冷静な表情をした見知らぬ人物が立っている。
――あの人は、もしかして“宰相”と呼ばれる人物だろうか。漫画で読んだことがある。
さらに、武装した騎士団長ルセウスさん、鋭い視線を放つ魔法士らしき人物の姿もあった。
執事長ガロンさん、側近のベルさん、そしてアーロンさんの護衛を務めるクロノスさんも、静かに控えている。
見覚えのない顔も多いが、これまで接してきた人たちとは明らかに違う――
この場に集う者たちの雰囲気は、まるで別世界のようだった。
俺はガーノスさんをチラリとうかがいながら、深く最敬礼を捧げる。
アーロンさんの「面を上げよ」という言葉に従い、顔を上げた。
すると、いつもとは違う、重みを帯びた声が玉座の間に響いた。
「報告を聞こう、ガーノス、ヨシヒロ」
「はっ!
違法な魔物改造を行っていたマルセル・ヴェルミス男爵、ならびに研究者ノエルを捕縛いたしました。
研究者ノエルは、ヴェルミス男爵の手により隷属の首輪をはめられ、拒否できない状態で無理やり研究を続けさせられていたようです。
その結果、彼らは魔獣を非人道的な手法で改造し、新たな生物兵器を生み出しておりました。
なお、違法改造され暴走した生物兵器につきましては、横におりますヨシヒロの従魔――フェンリルが討伐しております。
容疑者であるヴェルミス男爵と研究者ノエルは、城門にて騎士団長ルセウス殿およびクロノス殿に引き渡しました」
ガーノスさんは、非常に言いづらそうに、あの男とノエルさんについても報告を続けた。
報告を終えた瞬間、彼の肩から一気に力が抜けたのが分かった。
だけど、玉座の間は重苦しい沈黙に包まれていた。
やがて長い沈黙ののち、アーロンさんは深く息を吐き、静かに口を開いた。
「……よくやった。辛い役目を負わせることになったな、ガーノス」
「いえ……」
アーロンさんは、ガーノスさんとノエルさんがかつて共に冒険した仲間であったことを知っているのだろう。
今回の件が、どれほど辛い仕事だったかを思いやるように言葉をかけた。
そして、宰相らしき人物に視線を送る。
それを受けて、その人物が静かに一歩前へと進み出た。
「陛下。本件は王国の法と安全保障に関わる重大な事案です。
ただちに特別査問委員会を設置し、厳正に処分を進める手配を整えます。」
「ああ……頼む。
ガーノス、ヨシヒロ。
此度の働き、国を揺るがす事態となる前に未然に防いでくれたこと、感謝する」
「有難きお言葉……」
ガーノスさんは深く頭を下げ、その言葉を絞り出した。
俺も慌てて頭を下げ、再び静かにアーロンさんの言葉を待つ。
アーロンさんは宰相やルセウスさん、魔法士たちへ視線を巡らせ、わずかに頷いた。
これで今回の調査報告は終わり、あとは彼らに委ねられたのだろう。
初めて経験する正式な謁見。
一秒でも早く解放されたい一心で最敬礼をし、ようやく王座の間を後にした。
重い扉が閉まった瞬間、全身から力が抜け、思わずその場に座り込んでしまった。
そんな俺を見て、ガーノスさんはケラケラと笑ったが、その目に元気はなかった。
どんな言葉をかければいいのか分からずにいると、案内役の人から「応接間でお待ちください」と告げられ、俺たちは応接間へと向かった。
「ヨシヒロ様、緑茶でございます」
「ありがとうございます、ネオさん」
「ほどなく皆さまがこちらに参られます。今しばらくお待ちください」
「はい……
はぁ……疲れた……
もう二度と経験したくないです、こういう正式なの。」
「はは、まあ俺も同じだ。
それにしてもヨシヒロ……よく隠せたな、アクアベア」
「あはは。Arca Magna(アルカ・マグナ)で収納してました。
さすがにあの場に連れて行ったら、この子……殺されるかもしれないと思って。
もう大丈夫かな……アルカ・マグナ」
ドスン――
「スゥ……スゥ……」
応接間でお茶を出されたところで、ガーノスさんにアクアベアのことを聞かれ、俺は空間収納魔法で保護していたと説明した。
王座の間に連れて行けば、処分や押収の可能性もあった。
そう思い、再び魔法を解除すると、アクアベアは変わらず寝息を立てて眠っていた。
この子は、あの時の記憶を覚えているのだろうか。
忘れている方が幸せなのかもしれない。
それでも――あの時交わした言葉だけは、俺は忘れたくなかった。
ガチャ――
「ヨシヒロ、ガーノス。待たせたな」
「アーロンさん! それに皆さんも」
しばらくして扉が開き、アーロンさんたちが入ってきた。
王座の間で初めて見た二人の人物に戸惑っていると、向こうから名乗ってくれた。
「初めまして、ヨシヒロ殿。
私はこのソウリアス王国で国政を司る宰相、ブラッド・レイエスと申します。」
「私は国王アーロン陛下の弟、アトスです。
現在、騎士団魔導隊団長を務めております。」
「あ……は、初めまして。
ヨシヒロと申します。よろしくお願いいたします」
勢いに圧され、思わず声が固くなる。
これからもこうした場が増えるなら、正式な挨拶も覚えないといけないかもしれない。
そんな中、アーロンさんは眠るアクアベアに目を留め、問いかけた。
「ヨシヒロ……その赤い熊は?先ほどはいなかったな。
新しい従魔か?」
「あの……実は、この子は――」
俺は、アクアベアに何があったのかを一つひとつ説明した。
話すうちにあの光景が蘇り、思わずアクアベアを強く抱きしめる。
話が終わるまで、誰一人として口を挟む者はいなかった。
やがてアーロンさんは立ち上がり、眠るアクアベアの頭を優しく撫でた。
「辛い思いをさせてしまったな、アクアベア……
新しい命を得たのだ。ヨシヒロの元で、幸せに生きるがいい」
「……グオ?」
「あ、起きた? 大丈夫だよ、怖くない」
「グオッ!」
「おお? 抱っこしてほしいのか? よいぞ」
「あっ……すみません、アーロンさん……」
「気にするな」
アーロンさんに撫でられ、目を覚ましたアクアベアは、アーロンさんに向かって手を伸ばした。
すぐにアーロンさんは、目尻を下げ、そっとその体を抱き上げる。
その様子を見ていたところで、背後から声がかかった。
「ヨシヒロ殿。この魔獣は本当に危険ではないのだな?
本来、魔獣は人や家畜を無差別に襲う存在だ」
「え……?」
「突然すまない。我々は“魔獣=討伐対象”という認識を持っている」
振り返ると、そこにいたのはアトスさんだった。
「正直に言えば……まだ分かりません。
ですが、本来アクアベアは弱き者を助ける魔獣だと聞いています。
私が必ず護ります。人に危害を加えないよう、責任をもって監視もします。
ですから……どうか、この子の命だけは……」
必死に頭を下げると、アトスさんは俺の肩に手を置き、穏やかに微笑んだ。
「兄上たちの言葉通りだな。
ヨシヒロ殿は、本当に魔物や魔獣を大切にしている。
今の姿を見て、よく分かった。怖がらせてすまなかった」
「……ありがとうございます」
「ヨシヒロ殿を信じよう。なあ、ブラッド宰相」
「ええ。
そのお気持ち、我々も信じましょう」
「……ありがとうございます」
アトスさんは「信じる」と言ってくれて、
側にいた宰相のブラッドさんにも同意を得てくれた。
そのおかげで、何とかアクアベアは殺されることなく済み、俺はホッと胸をなでおろした。
この子は、生まれ変わった命だ。
もう誰にも、奪わせはしない。
そう誓ったんだ――
「ノエル……気がついたか」
「ガーノス……それに、君たちは……」
廃墟となった研究施設を離れて、数時間後。
ベッドに寝かせていたノエルさんが、ゆっくりと目を覚ました。
体を起こした彼女は、まず自分の体に傷がないこと、
そして首に隷属の首輪がないことに気づく。
次の瞬間――
驚いたようにベッドから飛び降り、ガーノスさんに詰め寄った。
「ガーノス、これは一体どういうことだ?!
傷もない……隷属の首輪も、外れている……!
まさか、あの男が私を解放したのか?!」
「いや。そこにいるヨシヒロが、
お前の傷を治して、首輪も解除したんだ」
「……え?
この青年が……? 嘘だろう?」
ガーノスさんは、クイッと親指で俺を指し示す。
ノエルさんは信じられないという表情で、
俺とガーノスさんを交互に見つめていた。
そんな彼女に、ガーノスさんは溜め息混じりに続ける。
「嘘なわけあるか。こいつは王国御用達の冒険者だ。
……お前も見ただろ?
伝説の魔獣フェンリルに、ミノタウロス、スライム、
使い魔の悪魔まで――
全部、こいつの従魔だ」
「じゅ、従魔……!?
フェンリルが、従魔だと……?!
そんな……フェンリルを従える人間など、過去にだって存在しない――
おい、君!
一体、何者なんだ?!
なぜフェンリルともあろう存在が、
君のような子供の従魔に……?!」
研究者としての好奇心なのか、それとも純粋な疑念か――
ノエルさんは、今度は俺に詰め寄ってきた。
そんな様子を見ていたロウキが、ヒョコヒョコと前へ出て、
前足でクイッと俺を引き寄せると、鋭い眼光でノエルさんを睨みつけた。
「さっきからやかましい。
我はヨシヒロに忠義を誓っている。
過去がどうであろうと、関係ない。
それに貴様――
助けてもらっておいて、その態度は何だ?
まずは礼を言うのが筋ではないのか?」
「す……すみません……フェンリル様……」
ロウキの叱責に、ノエルさんはハッとした表情を見せて頭を下げた。
その様子を見て、今度はクロたちもぞろぞろと前に出てくる。
「主に助けてもらったんだろー?
ちゃんと“ありがとう”って言わなきゃダメだろ!
あとさ、俺も頑張ったんだぞ?
お前が助けてって言ったトカゲ、俺の分身なんだからな!」
「そうですよ、ノエルさん。
私たちは、あなたを救い出すために必死でした」
「あるじ、まもった。
ありがと、いって」
「ヨシヒロ様のご活躍、ぜひ見てほしかったです!」
「こらこら!
ノエルさんを困らせないの!
……ロウキも、威圧しすぎ!」
「なっ……我は、お前のために……」
「分かってる。
ありがとうな、ロウキ。」
「……フンッ」
本当に、優しい子たちだ。
俺は別に気にしていないのに、こうして必死に庇ってくれる。
それだけで、胸の奥が温かくなる。
そんな様子を見ていたノエルさんが、少しだけ羨ましそうに、呟いた。
「……君は、魔物や魔獣たちに愛されているんだな。
……悪魔にまで。
そんな人間、初めてだよ」
「俺は……この子たちと出会えたから、
今、こうして生きていられるんです。
確かに、この子たちは疎まれる存在かもしれません。
でも……俺にとっては、大切な“家族”です」
「家族……か。何とも羨ましい感情だ」
この場にいる子たちは家族。
そう言い切ると、ノエルさんは困ったように笑った。
「家族です。
だからこそ――
魔物や魔獣を、実験の道具に使うことは……どうしても、許せなかった。
あなたが隷属の首輪で自由を奪われていたことは、分かっています。
でも……本来は本能だけで生きているワイバーンが、
何て言ったか……分かりますか?」
「ワイバーンは何と……?」
「――“眠らせてくれ。楽にしてくれ”って……
……どれだけ、辛かったか……
だから俺は、あなたの研究内容に、賛同できません。
もし、違法ではない方法で、
自然に生まれた存在を対象とした研究なら……」
「……そうだね」
ノエルさんは、静かに目を伏せた。
「今回のことで、自分がどれほど愚かなことをしていたか……痛感したよ。
君の言う通りだ。自然交配した者たちだけを対象にしていれば、
こんな悲劇は、起こらなかったのかもしれない……。
……やり方を、間違えたんだろうね。」
「……すみません。
少し……感情的になってしまいました。
俺は、あなたの研究心そのものを否定したいわけじゃないんです。
何かに興味を持ち、自分の道を切り開こうとすることは……
とても、素晴らしいことだと……俺は思っていますから」
「……ありがとう。ヨシヒロ君」
彼女に、逆らう術がなかったことは分かっていたのに。
それでも、あのワイバーンの声が――
どうしても、忘れられなかった。
だからつい、勢いのままノエルさんに詰め寄ってしまった。
だけど、ノエルさんは、俺の言葉を真っ直ぐ受け止め、
「やり方を間違えた」と肩を落とした。
だからこそ、「ありがとう」と微笑もうとするその顔が、
あまりにも痛々しかった。
「ノエル……何があったんだ。
お前が、こんな男にホイホイついていくとは思えねぇ。
事情があるなら、聞かせてくれ。」
「ガーノス……私は……
私の研究を、無条件で理解してくれた男だと思った。
研究施設に、たまたまあの男が来てね……
遺伝子の話をしたら、目を輝かせて聞いてくれた。
“資金は出す。納得いくまで研究を続けろ”――
そう言ってくれたの。
私の考えを否定せず、受け入れてくれた人は……
初めてだった」
そう話し始めたノエルさんの声が、震える。
「だから……信じてしまった。
あの男に、裏の顔があるなんて思いもしなかった。
……それからしばらくして、
“融合体を作ってみないか”と、言われた。
成功すれば、論文が書ける、と……
でも……意図的な融合は国の禁忌。
命を、そんなふうに使えないと……断った。
……そしたら、このざまだ」
ノエルさんは、当時のことを思い出し唇を噛みしめた。
「眠っている間に、家に侵入されて……
隷属の首輪をつけられ、研究施設も奪われた。
……どこにも、逃げ場はなかった。
……私は、自分の研究が……
こんなふうに利用される日が来るなんて、思わなかった。
そして……今回のことで、分かったの。
私は……命を、粗末に扱っていた。
弱肉強食の世界で、命は散るもの……そう思っていた。
でも……私のやったことは、最低だった……」
「……話してくれて、ありがとな。
陛下……いや、アーロンには、情状酌量を求めてみる」
「ありがとう、ガーノス。
……でも、いいの。
私は……自分の罪と向き合って、償うわ。
私が……すべて、悪かった。その事実は、変わらない」
――努力する人が、利用される。
認められたいという気持ちが、裏切られる。
どこの世界でも、起こりうる話。
だからこそ、
「私が悪かった」と微笑もうとするノエルさんの姿が、
胸に刺さった。
……なんで、頑張る人が泣く世界なんだろう。
だから俺は、
そんな人に手を差し伸べられる人間でありたい。
そう、強く思った――……
◇
「ガーノスさん、ヨシヒロ様。ありがとうございます。
ここからは我々が引き継ぎます」
「ああ…頼む」
「承知しました。
では、お二人にはこれから陛下へのご報告をお願いいたします」
「分かった」
「はい…」
5日かけて王都へ戻った俺たちは、まずクロたちを転移ゲートで家へ帰し、その足で王城へと向かった。
アクアベアだけは俺の服を握ったまま眠っていて、どうしても離れてくれなかったため、そのまま連れて行くことにした。
王城の城門で待っていたルセウスさんとクロノスさんに、男とノエルさんを引き渡し、
俺たちは別の案内人に導かれて、アーロンさんの待つ王座の間へと向かう。
思えば、俺が足を踏み入れたことがあるのは応接間や執務室だけだった。
正式な謁見はこれが初めてで、作法も何も分からない。
そう思いながら、俺は黙って案内人の背中を追った。
やがて、緊張したまま扉が開き、思わず唾を飲み込む。
玉座の間は、静寂の中にも張り詰めた空気が満ちており、これまで感じたことのない重苦しさに包まれていた。
アーロンさんの玉座の傍らには、王妃レイラさん、そして冷静な表情をした見知らぬ人物が立っている。
――あの人は、もしかして“宰相”と呼ばれる人物だろうか。漫画で読んだことがある。
さらに、武装した騎士団長ルセウスさん、鋭い視線を放つ魔法士らしき人物の姿もあった。
執事長ガロンさん、側近のベルさん、そしてアーロンさんの護衛を務めるクロノスさんも、静かに控えている。
見覚えのない顔も多いが、これまで接してきた人たちとは明らかに違う――
この場に集う者たちの雰囲気は、まるで別世界のようだった。
俺はガーノスさんをチラリとうかがいながら、深く最敬礼を捧げる。
アーロンさんの「面を上げよ」という言葉に従い、顔を上げた。
すると、いつもとは違う、重みを帯びた声が玉座の間に響いた。
「報告を聞こう、ガーノス、ヨシヒロ」
「はっ!
違法な魔物改造を行っていたマルセル・ヴェルミス男爵、ならびに研究者ノエルを捕縛いたしました。
研究者ノエルは、ヴェルミス男爵の手により隷属の首輪をはめられ、拒否できない状態で無理やり研究を続けさせられていたようです。
その結果、彼らは魔獣を非人道的な手法で改造し、新たな生物兵器を生み出しておりました。
なお、違法改造され暴走した生物兵器につきましては、横におりますヨシヒロの従魔――フェンリルが討伐しております。
容疑者であるヴェルミス男爵と研究者ノエルは、城門にて騎士団長ルセウス殿およびクロノス殿に引き渡しました」
ガーノスさんは、非常に言いづらそうに、あの男とノエルさんについても報告を続けた。
報告を終えた瞬間、彼の肩から一気に力が抜けたのが分かった。
だけど、玉座の間は重苦しい沈黙に包まれていた。
やがて長い沈黙ののち、アーロンさんは深く息を吐き、静かに口を開いた。
「……よくやった。辛い役目を負わせることになったな、ガーノス」
「いえ……」
アーロンさんは、ガーノスさんとノエルさんがかつて共に冒険した仲間であったことを知っているのだろう。
今回の件が、どれほど辛い仕事だったかを思いやるように言葉をかけた。
そして、宰相らしき人物に視線を送る。
それを受けて、その人物が静かに一歩前へと進み出た。
「陛下。本件は王国の法と安全保障に関わる重大な事案です。
ただちに特別査問委員会を設置し、厳正に処分を進める手配を整えます。」
「ああ……頼む。
ガーノス、ヨシヒロ。
此度の働き、国を揺るがす事態となる前に未然に防いでくれたこと、感謝する」
「有難きお言葉……」
ガーノスさんは深く頭を下げ、その言葉を絞り出した。
俺も慌てて頭を下げ、再び静かにアーロンさんの言葉を待つ。
アーロンさんは宰相やルセウスさん、魔法士たちへ視線を巡らせ、わずかに頷いた。
これで今回の調査報告は終わり、あとは彼らに委ねられたのだろう。
初めて経験する正式な謁見。
一秒でも早く解放されたい一心で最敬礼をし、ようやく王座の間を後にした。
重い扉が閉まった瞬間、全身から力が抜け、思わずその場に座り込んでしまった。
そんな俺を見て、ガーノスさんはケラケラと笑ったが、その目に元気はなかった。
どんな言葉をかければいいのか分からずにいると、案内役の人から「応接間でお待ちください」と告げられ、俺たちは応接間へと向かった。
「ヨシヒロ様、緑茶でございます」
「ありがとうございます、ネオさん」
「ほどなく皆さまがこちらに参られます。今しばらくお待ちください」
「はい……
はぁ……疲れた……
もう二度と経験したくないです、こういう正式なの。」
「はは、まあ俺も同じだ。
それにしてもヨシヒロ……よく隠せたな、アクアベア」
「あはは。Arca Magna(アルカ・マグナ)で収納してました。
さすがにあの場に連れて行ったら、この子……殺されるかもしれないと思って。
もう大丈夫かな……アルカ・マグナ」
ドスン――
「スゥ……スゥ……」
応接間でお茶を出されたところで、ガーノスさんにアクアベアのことを聞かれ、俺は空間収納魔法で保護していたと説明した。
王座の間に連れて行けば、処分や押収の可能性もあった。
そう思い、再び魔法を解除すると、アクアベアは変わらず寝息を立てて眠っていた。
この子は、あの時の記憶を覚えているのだろうか。
忘れている方が幸せなのかもしれない。
それでも――あの時交わした言葉だけは、俺は忘れたくなかった。
ガチャ――
「ヨシヒロ、ガーノス。待たせたな」
「アーロンさん! それに皆さんも」
しばらくして扉が開き、アーロンさんたちが入ってきた。
王座の間で初めて見た二人の人物に戸惑っていると、向こうから名乗ってくれた。
「初めまして、ヨシヒロ殿。
私はこのソウリアス王国で国政を司る宰相、ブラッド・レイエスと申します。」
「私は国王アーロン陛下の弟、アトスです。
現在、騎士団魔導隊団長を務めております。」
「あ……は、初めまして。
ヨシヒロと申します。よろしくお願いいたします」
勢いに圧され、思わず声が固くなる。
これからもこうした場が増えるなら、正式な挨拶も覚えないといけないかもしれない。
そんな中、アーロンさんは眠るアクアベアに目を留め、問いかけた。
「ヨシヒロ……その赤い熊は?先ほどはいなかったな。
新しい従魔か?」
「あの……実は、この子は――」
俺は、アクアベアに何があったのかを一つひとつ説明した。
話すうちにあの光景が蘇り、思わずアクアベアを強く抱きしめる。
話が終わるまで、誰一人として口を挟む者はいなかった。
やがてアーロンさんは立ち上がり、眠るアクアベアの頭を優しく撫でた。
「辛い思いをさせてしまったな、アクアベア……
新しい命を得たのだ。ヨシヒロの元で、幸せに生きるがいい」
「……グオ?」
「あ、起きた? 大丈夫だよ、怖くない」
「グオッ!」
「おお? 抱っこしてほしいのか? よいぞ」
「あっ……すみません、アーロンさん……」
「気にするな」
アーロンさんに撫でられ、目を覚ましたアクアベアは、アーロンさんに向かって手を伸ばした。
すぐにアーロンさんは、目尻を下げ、そっとその体を抱き上げる。
その様子を見ていたところで、背後から声がかかった。
「ヨシヒロ殿。この魔獣は本当に危険ではないのだな?
本来、魔獣は人や家畜を無差別に襲う存在だ」
「え……?」
「突然すまない。我々は“魔獣=討伐対象”という認識を持っている」
振り返ると、そこにいたのはアトスさんだった。
「正直に言えば……まだ分かりません。
ですが、本来アクアベアは弱き者を助ける魔獣だと聞いています。
私が必ず護ります。人に危害を加えないよう、責任をもって監視もします。
ですから……どうか、この子の命だけは……」
必死に頭を下げると、アトスさんは俺の肩に手を置き、穏やかに微笑んだ。
「兄上たちの言葉通りだな。
ヨシヒロ殿は、本当に魔物や魔獣を大切にしている。
今の姿を見て、よく分かった。怖がらせてすまなかった」
「……ありがとうございます」
「ヨシヒロ殿を信じよう。なあ、ブラッド宰相」
「ええ。
そのお気持ち、我々も信じましょう」
「……ありがとうございます」
アトスさんは「信じる」と言ってくれて、
側にいた宰相のブラッドさんにも同意を得てくれた。
そのおかげで、何とかアクアベアは殺されることなく済み、俺はホッと胸をなでおろした。
この子は、生まれ変わった命だ。
もう誰にも、奪わせはしない。
そう誓ったんだ――
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