天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第二部「ハルコン青年期」

49 コリンドの風景_02

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   *          *

 それにしても、……。もうかれこれ、結構時間が経ったかも。
 ハルコンが指揮車両に戻って、そろそろ小一時間ほど経過した。

 車内では、シルファー団長、ステラ殿下、女占い師、ミラ、私(ハルコン)の5人でトランプの七並(しちなら)べをしていたのだけど。
 でも、……さ。さすがに飽きてきちゃったよ、とハルコンは思った。

 だが、いまだに通関手続きが済まないのか、旅団が動く気配がない。

「シルファー団長。通関手続きって、いつもこんなに時間がかかるものなのですか?」

 ハルコンが思っていたことを、ミラが代わりに訊ねてくれた。

「う~ん、そうですねぇ、……。もう本隊がここに到着してから2時間は経っていますから、……。ちょっと、時間がかかり過ぎよねぇ!」

 なるほど。これまでも外遊で近隣諸国に移動されたことのある、シルファー団長の話だ。
 おそらく、今回手続きに手間取っているのは、ステラ殿下の一時帰国が絡むからだろう。

 元々、殿下は今回の旅団には参加しない予定だっただけに、受け容れ側のコリンド国の方で、手配が追い付いていないのではないかとハルコンは思った。

「やはり、……。私が原因ですかね?」
 
 ステラ殿下が、申しワケなさそうに、片手を上げた。

「いえいえ、殿下のせいではありません。この旅団の規模が1000人を優に超える大所帯のため、それだけ書類審査で手間取っているんだと思いますよ!」

 シルファー団長が、ニッコリと笑顔でステラ殿下にフォローを入れると、殿下もホッとしたように笑顔でひとつ頷いた。

「でも、……。さすがに、ちょっと時間がかかり過ぎじゃないですかね?」

 ミラが女占い師に率直な表情で訊ねると、女占い師も「そうですねぇ、……。ちょっと、話を通してみますかね」と言って、トランプのカードをテーブルの上に伏せたまま立ち上がると、窓を開けた。

 すると、彼女の配下らしき旅装束姿の青年が窓の直ぐ傍までやってきて、何やら話し始めた。

 とりあえず、七並べはいったん中断。メンバー皆で女占い師の様子を窺っていると、……。
 騎士長のアントンが指揮車のドアを開けて、中に入ってきた。

「シルファー団長、二、三、報告があります!」

「一体、どうしましたか?」

 シルファー団長はキリッとした表情で、騎士長を見上げる。

「実はですな、……」

 そう言って、騎士長が話し出したことは、こちらにとって、少々予想外の話だった。
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