天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第二部「ハルコン青年期」

50 帝都での出来事_09

   *          *

 ふむ、……。何だろうなぁ、……。
 いつの間にか、各国で私(ハルコン)の争奪戦が始まってしまっているんだよなぁ。

 そう思って、こちらも黙って横で話を伺っていたところ、……。
 ギュムッと。後(うし)ろから、背中の辺りを強く摘(つ)ままれてしまった。

 何すんのぉと思って振り返ると、……。先ほどまで悄然としていたミラが、じとぉ~っと、静かにこちらのことを睨んでくるのだ。

『一体、どうすんのよぉ、ハルコン?』

 そう、ミラの目が語っている。

『とりあえず、様子見かな?』

 そう、こちらも口をパクパクさせると、ミラはプイッと横を向いてしまった。

 ミラは昔から聞きワケのいい子だから、これから先どうなったとしても、文句ひとつ言わず受け容れていくことになるのだろう。
 でもなぁ、……。ホンとにそれでいいのかなぁ、……とハルコンは思った。

「えっ、えぇ~と、皆様、私からも一言よろしいでしょうか?」

 こちらからそう言って、右手を上げたところ、……。
 皇帝陛下と皇后様、姉殿下にシルファー団長、ステラ殿下、全員が一斉にこちらをご覧になられた。

「どうしたのかな、ハルコン?」

 シルファー団長はそう笑顔で仰るも、その目はいささかも笑っていない。
 どちらかと言うと、「余計なことを喋るなよ!」とその目が語っていらした。

「ハルコン卿にとっても、ご自身の話だ。ぜひ、思ったことを話して欲しいものだ!」

 皇帝陛下がそう仰ると、ご家族の皇后様、姉殿下、ステラ殿下がうんうんと頷きなさった。

「実はですね、……。私は女神様から、こちらの世界では『恋愛』を大(おお)いに楽しみなさいと言われています。ですので、今はまだ、皆仲良くでよろしいのではありませんか?」

「なるほど。では我々は、しばらくの間は今の関係を大事にした方がいいということかな?」

「はい。仰るとおりです、陛下」

 ここで私がニッコリと微笑むと、シルファー団長もステラ殿下も、顔を真っ赤にして黙ってしまわれた。
 お二人は、様々な形で今後モーションをかけてこられるおつもりだったのに、……。

「それだけでは、ダメなんですよ!」

 そう、こちらからやんわりと否定したってことなんだよね。

 おそらく、シルファー団長としては、サスパニア共和国のメリッサ元殿下の件が頭にあって、……。多少、焦りみたいなものをお感じになられていたのかもしれない。

「ふむ、……まだ時期尚早ということで、……いいかなステラ?」

「……、はい」

 陛下のお言葉に、ステラ殿下もトホホといった表情で、こくりと頷かれた。

 ちらりと、シルファー団長を見ると、……。

「やってくれたわね、ハルコン!」と、その目が語っていた。

 まぁ、……。仕方ないよね。
 女神様からは、皆仲良くって言われているワケだし、……。

 それに、ミラだけ蚊帳の外じゃぁ、それこそあんまりだと思うんだよ。

 ちらりと後ろを窺ったところ、……。
 すると、ミラが少しだけニッコリと微笑んでいた。
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