天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第二部「ハルコン青年期」

50 帝都での出来事_40

   *          *

 その次の瞬間、私(ハルコン)は、チートスキル「マジックハンド」を使って、練兵グランドに、フォリア山の岩石を運んでみた。

 まぁ、体積としては東京ドーム一杯分の岩石なんだけどさ。
 すると、その上に生えている樹々や、樹上に生活する獣や鳥達も一緒に運んでしまったみたい、……。

 ただ、……ね。ちょっと慣れない作業だったからさ。
 地面にそのままスッと置くことができず、大体地表から10cmほどの高さに出してしまったんだよね。

 すると、……。
 ズ――ンッと、……。
 まるで爆弾が落ちたような衝撃音と共に、辺り一帯に土煙がもうもうと立ち込めてしまったんだ。

「一体、何事かぁ―――っ!?」

 ミーティングルームの外から、兵士達の慌てた声が次々と聞こえてくる。

 カン、カン、カン、カン、カン、カン、……
 防塁の上の櫓(やぐら)から、慌てた様子の警鐘が、いつまでも鳴り止まない、……。

 私は、部屋にいらっしゃる皇帝陛下や皇族の皆様を見た。
 そうしたら、皆顔を真っ青にされて冷や汗をお掻きになり、……。

 そんなことできるのかよといった感じで、最初半信半疑なご様子だったアビル殿下。
 その殿下に至っては、立ち上がったまま、こちらを指さしながら口をパクパクさせていらっしゃるんだ。

 ややや、……。ちょっと、やり過ぎてしまったか。
 私は、思わず後頭部の髪を緩く人差し指で掻いた後、「てへっ」と笑った。

「ふぅ―――っ」

 すると、そこでステラ殿下が深く長いため息をお吐きになった。

「アビル兄様、……。ハルコンに、試すような物言いを為されてはイケませんよ!」

 そう仰ってから、少しだけ眉間に皺を寄せて軽く睨まれた。

「だっ、だってよぉ。オレはハルコンのスキルを見たことがないんだぜ! オレは軍人のはしくれだ。この目で見たものだけを信じることにしているからよ!」

「それこそが、兄様の軍人としての欠点です。いつまでも経験から学ぶようでは、進歩ありませんよ。そもそも、偉人は歴史から学ぶのですから!」

 あっ、それ、……。以前に、ステラ殿下に私が話したことだ。
 鉄人宰相のビスマルクからとった言葉なんだけど、……。などと、ハルコンは思った。

「……。ステラ、言うようになったじゃないか!」

 そう仰って、アビル殿下はステラ殿下にニイッと笑った。

「まぁ、……いい。先(ま)ずは我々も外に出て、練兵場の様子を見にいこうではないか!」

 皇帝陛下がそう仰ると、皇族の皆様はこくりと頷かれなさった。
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