25 / 595
第一部「ハルコン少年期」
05 面談するカイルズ_05
* *
「その女は、とても見目麗しく、冬の寒さにも拘わらず薄い皮鎧を身に付けた軽装で、……何でも隣国コリンドとの国境の大森林で、最近は狩りをして過ごしているとのことです」
「ふむ、……」
家令の話に、カイルズは、ここで考え込んでしまった。ハルコンの兄姉達も心配そうに父を見つめている。
ハルコンは、さて、どうしようかな? と思った。
ここで、さっそく一級剣士の頭の中に「天啓」を放り込んでみた。
「何かあったら、我がその女達を切り捨てる故、とりあえず招いてみては如何か?」
剣士は、ハルコンの「天啓」を一字一句違えることなく、カイルズに申し出た。
「剣士殿が、そう仰られるのであれば、大変心強い。その者が真の客人であるのなら、私が出迎えるべきでありましょう。剣士殿、手間になりますが、一緒にきて頂けるだろうか?」
「あぁ。我も参りますぞ!」
カイルズは家令の制止も聞かず、一級剣士と共に屋敷の門に向かっていた。
すると、夜風の吹く寒空の下、篝火の傍に群がる盗賊達の中から、若い女が前に進み出た。
「夜分に申しワケねぇです。カイルズ卿に会わせて頂きてぇのですが!」
「私がカイルズ・セイントークだ。こんな夜分に、一体何用だ?」
「えっ!? 貴方様がカイルズ卿でごぜぇますか!? ありがてぇ、ありがてぇ、……」
そう言って、深々と首を垂れる女盗賊。
ハルコンは、おそらく父は女盗賊を受け容れるのではないかと思っている。
そもそも女盗賊は、カイルズに対し、何ら敵意も害意もない。彼女の態度には、幾ばくかの謙虚さが見られるので、たぶんイケるんじゃないかなぁと。
カイルズは、ここで漸く小さくため息を吐く。
「何故、私に会いたいと申すか? それは、今宵でないとダメなのか?」
カイルズは、いつもの落ち着いた調子で訊ねていた。
「へへっ、アタイッ、ちょっち前に『天啓』を頂いたんでやすよ!」
「『天啓』……だと!?」
「ほらっ、カイルズ卿に会いにいけとね。男の子の声でやしたよ!」
それを聞いて、背筋をゾクリとさせるカイルズ。
「アタイら、皆ハルコン殿の舎弟だからっ!」
そう言って、屈託なく笑う若き女盗賊。その表情に、嘘偽りは微塵も見えない。
カイルズは、……ここで腹を括るべきとばかりに、膝を打つ。
「いいだろう。其方を屋敷に招き入れよう。残りの者は離れに部屋を用意する。暖と食事もちゃんと取らすので、……それでよろしいか?」
「ありがてぇっ! オメェらっ! ちゃんと大人しくしてろよっ!」
「「「「「「「「「「へいっ!」」」」」」」」」」
男達の野太い声が、夜空に鳴り響いた。
「その女は、とても見目麗しく、冬の寒さにも拘わらず薄い皮鎧を身に付けた軽装で、……何でも隣国コリンドとの国境の大森林で、最近は狩りをして過ごしているとのことです」
「ふむ、……」
家令の話に、カイルズは、ここで考え込んでしまった。ハルコンの兄姉達も心配そうに父を見つめている。
ハルコンは、さて、どうしようかな? と思った。
ここで、さっそく一級剣士の頭の中に「天啓」を放り込んでみた。
「何かあったら、我がその女達を切り捨てる故、とりあえず招いてみては如何か?」
剣士は、ハルコンの「天啓」を一字一句違えることなく、カイルズに申し出た。
「剣士殿が、そう仰られるのであれば、大変心強い。その者が真の客人であるのなら、私が出迎えるべきでありましょう。剣士殿、手間になりますが、一緒にきて頂けるだろうか?」
「あぁ。我も参りますぞ!」
カイルズは家令の制止も聞かず、一級剣士と共に屋敷の門に向かっていた。
すると、夜風の吹く寒空の下、篝火の傍に群がる盗賊達の中から、若い女が前に進み出た。
「夜分に申しワケねぇです。カイルズ卿に会わせて頂きてぇのですが!」
「私がカイルズ・セイントークだ。こんな夜分に、一体何用だ?」
「えっ!? 貴方様がカイルズ卿でごぜぇますか!? ありがてぇ、ありがてぇ、……」
そう言って、深々と首を垂れる女盗賊。
ハルコンは、おそらく父は女盗賊を受け容れるのではないかと思っている。
そもそも女盗賊は、カイルズに対し、何ら敵意も害意もない。彼女の態度には、幾ばくかの謙虚さが見られるので、たぶんイケるんじゃないかなぁと。
カイルズは、ここで漸く小さくため息を吐く。
「何故、私に会いたいと申すか? それは、今宵でないとダメなのか?」
カイルズは、いつもの落ち着いた調子で訊ねていた。
「へへっ、アタイッ、ちょっち前に『天啓』を頂いたんでやすよ!」
「『天啓』……だと!?」
「ほらっ、カイルズ卿に会いにいけとね。男の子の声でやしたよ!」
それを聞いて、背筋をゾクリとさせるカイルズ。
「アタイら、皆ハルコン殿の舎弟だからっ!」
そう言って、屈託なく笑う若き女盗賊。その表情に、嘘偽りは微塵も見えない。
カイルズは、……ここで腹を括るべきとばかりに、膝を打つ。
「いいだろう。其方を屋敷に招き入れよう。残りの者は離れに部屋を用意する。暖と食事もちゃんと取らすので、……それでよろしいか?」
「ありがてぇっ! オメェらっ! ちゃんと大人しくしてろよっ!」
「「「「「「「「「「へいっ!」」」」」」」」」」
男達の野太い声が、夜空に鳴り響いた。
あなたにおすすめの小説
元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました