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第一部「ハルコン少年期」
06 ハルコンの生誕パーティー_04
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セイントーク伯爵領の西側に、同規模の面積を有するロスシルド伯爵領があり、大森林において隣国コリンドとより多く国境を接している。
当主の名はジョルナム・ロスシルド。一癖も二癖もある中年男だ。
新たに森林を開墾した畑地が領境を越えた越えてないで揉め、上水道の普請に手を抜いたり、かと言えば他領に難癖を付けたりと、ほとほと手を焼かせる御仁。
先祖が500年前から代々続く中堅貴族で、名門と自負するようなプライドの塊。
その割に、敵国コリンドと密かに貿易を行っているとの悪い噂が絶えない。
かわいい我が子の生誕パーティーにアイツら夫妻を呼びたくなかったのだが、それも無理な相談でな、……とはカイルズの言。
「真っ当な経済貴族のカイルズ卿からすりゃぁ、まんず厄介な相手でやす!」
そんなことを呟きながら、女盗賊はフラフラとした足取りで、人けのない方に向かっていく。
人望のないロスシルド伯夫妻の周りには、ほとんど人がいなかった。
夫妻は、どこか不服そうな顔をして、銀のカトラリーの磨き具合などを吟味している様子。
その妻マルグリッドから、ハルコンの生誕パーティーが、彼女の息子ノーマンのそれよりもずっと豪勢だと詰られてしまい、伯爵がかなりムカついている様子も窺えた。
その辺りを、酒に酔った素振りの女盗賊の目を通して、ハルコンはしっかり見ていた。
「ねぇ~っ、ジョルナム卿、こんなとこで2人だけで立ち話もなんでやす、……向こうにいきゃぁせんでやすか?」
「何だオマエは!? 下賤の者から我々貴族に話しかけるなど、……頭がおかしいのか?」
女盗賊がロスシルド伯に話しかけると、露骨に見下す態度で返されてしまった。
「へへへ、……下賤の者。アタイは言われ慣れてるでやす」
そう言って、卑屈そうに笑う女盗賊。彼女の思念に同調しているハルコンの心にも、負の感情がジワリと沁み込んでくる。
ジョルナムは顎髭を弄りながら、胸元を少しだけ強調したドレスの女盗賊の全身を、舐るように見つめていた。
「だが、……見た目だけは悪くないな。そうだ、喜べっ! オマエを私の愛人にしてやろう! オマエのような稼業には、後ろ盾も必要だろう? 私が叶えてやるぞ!」
女盗賊は無言だが、笑みを絶やさずにいる。
だが、ハルコンは相当ムッときていた。
思わず女盗賊の精神に「フルダイブ」すると、極めて感情的に、ジョルナムの足を力強く踏みつけていた。
「ぎゃぁっ!?」
あまりの痛みのため、思わず悲鳴を上げるジョルナム。
「あらぁ、ご免あそばせ!」
笑顔でそう言うと、ハルコンに精神を乗っ取られた女盗賊は、のしのしと腹立たしげに、その場を去っていく。
セイントーク伯爵領の西側に、同規模の面積を有するロスシルド伯爵領があり、大森林において隣国コリンドとより多く国境を接している。
当主の名はジョルナム・ロスシルド。一癖も二癖もある中年男だ。
新たに森林を開墾した畑地が領境を越えた越えてないで揉め、上水道の普請に手を抜いたり、かと言えば他領に難癖を付けたりと、ほとほと手を焼かせる御仁。
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その割に、敵国コリンドと密かに貿易を行っているとの悪い噂が絶えない。
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「真っ当な経済貴族のカイルズ卿からすりゃぁ、まんず厄介な相手でやす!」
そんなことを呟きながら、女盗賊はフラフラとした足取りで、人けのない方に向かっていく。
人望のないロスシルド伯夫妻の周りには、ほとんど人がいなかった。
夫妻は、どこか不服そうな顔をして、銀のカトラリーの磨き具合などを吟味している様子。
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その辺りを、酒に酔った素振りの女盗賊の目を通して、ハルコンはしっかり見ていた。
「ねぇ~っ、ジョルナム卿、こんなとこで2人だけで立ち話もなんでやす、……向こうにいきゃぁせんでやすか?」
「何だオマエは!? 下賤の者から我々貴族に話しかけるなど、……頭がおかしいのか?」
女盗賊がロスシルド伯に話しかけると、露骨に見下す態度で返されてしまった。
「へへへ、……下賤の者。アタイは言われ慣れてるでやす」
そう言って、卑屈そうに笑う女盗賊。彼女の思念に同調しているハルコンの心にも、負の感情がジワリと沁み込んでくる。
ジョルナムは顎髭を弄りながら、胸元を少しだけ強調したドレスの女盗賊の全身を、舐るように見つめていた。
「だが、……見た目だけは悪くないな。そうだ、喜べっ! オマエを私の愛人にしてやろう! オマエのような稼業には、後ろ盾も必要だろう? 私が叶えてやるぞ!」
女盗賊は無言だが、笑みを絶やさずにいる。
だが、ハルコンは相当ムッときていた。
思わず女盗賊の精神に「フルダイブ」すると、極めて感情的に、ジョルナムの足を力強く踏みつけていた。
「ぎゃぁっ!?」
あまりの痛みのため、思わず悲鳴を上げるジョルナム。
「あらぁ、ご免あそばせ!」
笑顔でそう言うと、ハルコンに精神を乗っ取られた女盗賊は、のしのしと腹立たしげに、その場を去っていく。
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