天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第一部「ハルコン少年期」

30 火薬_04

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「それでは、皆さん。これから花火大会を始めたいと思います。今、皆さんがお手持ちの花火、これから係の者が順に着火しますので、もうしばらくお待ち下さいねっ!」

「「「「「「「「「「はぁ~いっ!!」」」」」」」」」」

 ハルコンが、総勢122名の参加者達に呼びかけると、大いに期待を寄せているのか、好奇心旺盛な様子で歓声が会場中に沸き起こった。

 良かった。想定以上に好感触だなぁと、ハルコンは思った。

 とにかく、このファイルド国には娯楽が少ない。
 ハルコンは、これまでリバーシやトランプ、将棋、花札やすごろくといったボードゲームを次々と世に送り出してきた。

 すると、人々の娯楽への関心の高さは、誠に目を見張るものだった。
 とにかく、こちらが前世の地球で実績のある娯楽グッズを投入すると、次々とヒットするのだ。

 その結果、セイントーク領に莫大な資本となって還流する。
 領の財政が潤うことで、父カイルズは娯楽グッズがもっと世に広まればいいという方針に徹する。

 価格を更にリーズナブルに下げてゆく。そんな好循環が形成されていたのだ。

 ハルコンは先ず一番に、サリナ姉にそれら娯楽グッズを試させていた。
 姉は特に気負うことなく、とても興味深く、楽しそうに遊んでいる。

 ハルコンは姉の反応を見て、次はこんなのを流行らせようかなぁと考え、ドワーフの親方に試作品を次々と作らせた。

 そして、それらがほぼ全て上手くいったのだ。

 今回、花火大会を開くに際し、サリナ姉と兄達、ミラとシルファー先輩と寮長に、事前に手提げ花火や線香花火、ねずみ花火、へび花火を試して貰った。

 その感触を訊ねてみると、……。
 皆さん、まさに大興奮!

「ハルコンッ! これはとっても面白いわっ! とても綺麗だし、華やかだし、……そして、最後にスッと消える寂しさが、何とも言えない味わい深さが満点よっ!」

 特にサリナ姉の言葉に、花火の全てが表されているのではないかとハルコンは思った。

 シルファー先輩は、「火薬」関連が今後王宮の管轄となるため、少なくない額の資本が国庫に入ることを歓迎して、満面の笑みを浮かべられていた。

 王族故に国が潤うことを大いに熱望するシルファー先輩に対し、ハルコンとミラは思わずげんなり。

 つい、……小声で「うわぁぁぁぁ、……」と発していた。
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