天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

文字の大きさ
239 / 595
第一部「ハルコン少年期」

31 王ラスキンと神の御使い_02

   *          *

 貴族寮の裏庭の会場で行われた花火大会。そして、……その数日後に行われた練兵場での爆弾のお披露目。
 いずれも「火薬」を用いたものであるが、「娯楽から戦争まで」、その用途は幅が広い。
 
 ハルコンのいるファイルド国でも、近隣諸国でも、更にはファルコニアと呼ばれる世界広しと言えど、「火薬」はこれまで存在しなかった。
 少なくとも、ハルコンがこの世界に齎らさなければ、あと数百年は発明されない薬品だった。
 
 だが、この「火薬」製造技術は、いつか誰かの手によって必ず発見される。
 なら、こちらが前もって然るべき組織、今回は王宮に技術を伝達することで、適切な運営が為されることになり、問題は軽減されることになるだろうとハルコンは考えた。
 
 その点で、王宮の対応は極めて迅速かつ合理的だった。こちらの意図を汲むと、即座に技術の封印をすることに決めてしまったのだ。
 
 そして、何事もなかったかのように、仙薬エリクサー開発計画は着々と進められた。

 翌月、秋が更に深まってきた頃、ハルコンは予定どおりミラと共に爵位を授与された。
 その叙爵式は、王宮の小ホールにて行われた。王族数名の他、セイントーク家とシルウィット家のみが参列し、下級爵位のため簡易的に、ごく短時間で式は終わった。

 その結果、ハルコンは男爵位、ミラは騎士爵位を賜った。2人のそれぞれの功績の大きさにより爵位に差が出たのだが、2人とも喜んで受け容れた。

 それから数ヶ月続く、冬の季節になった。
 ハルコンとミラはひとつ年を取り、8歳になった。

 王都の市街から雪がなくなった頃、仙薬エリクサーの開発を行うための研究所の建設が、急ピッチで進行中だ。

 その建設現場には多くの石工や大工が集まり、ノミを大いに振るっている。
 その傍らで、出来上がった部屋から順に研究員が次々と配置され、薬品開発を着々と進めている。
 
 ハルコンは研究所の所長に就任すると、研究作業の多くを研究員達に任せ、自分は各部屋で実験作業をしている研究員達を労って回ることに徹している。
 
 ノウハウは、貴族寮の離れにある研究室兼居室にて十分蓄積している。
 ハルコンの役割は、それを大人の研究員達に正しく無駄なく伝達し、効率的に作業を行って貰うことだ。
 
 朝礼のミーティングでその日の作業を研究員達に伝達すると、ハルコンは王立学校まで馬車で移動する。
 昼間は学業に勤しみ、夕方再び研究所に戻ってくると、大人の研究員達に交じって意見を交換する。
 
 新たな発見があればハルコンは更に指示を出し、一方で大人の研究員達の意見をフィードバックする。
 気が付くと深夜に突入している。ハルコンも研究員達もハルコン「タイプB」を飲んで疲れを発散させると、更に作業に没頭する。
 
 そんな環境の中、作業の合理化はどんどん進む。
 研究所の建物も完成し、全ての部屋が利用可能になった頃、今度は近隣諸国から多くの研究員達が集まり始めていた。

 季節は過ぎ、ハルコンが9歳になった頃、王宮から「至急こられたし」との連絡が届いた。
 ハルコンは身支度を整えると、さっそく王宮に向かった。
感想 7

あなたにおすすめの小説

元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。) とある孤児院で私は暮らしていた。 ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。 そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。 「あれ?私って…」 そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました