278 / 485
第一部「ハルコン少年期」
35 王立学校祭 その2_03
しおりを挟む
* *
「それで、……サリナ姉様。サークルの決勝展示会は、何時からですか?」
「10時からよ!」
「なら、兄様達のサークルの演武会決勝と被りませんね?」
ハルコンは斜め上を見ながら、指折り数えてみる。
え~と。確か兄様達の決勝は、13時からだったかなぁと思い出す。
「なら、私とミラちゃんも展示会が終わったら、兄様達の決勝観にいこうかしら?」
そう言って、サリナ姉は隣りで笑顔を浮かべているミラに、「ねぇ~っ!」といった調子で首を少しだけ傾げてみせると、ミラも「はいっ!」といって、白い歯を見せて笑った。
「ワカりました。なら、ステラ殿下をお連れして、10時に姉様のサークルの会場に向かおうと思います」
ハルコンは、漸く今日の予定がまとまったため、笑顔を浮かべて見せたところ、……。
サリナ姉とミラは2人揃って、「そうじゃないんだよなぁ」といった表情で、やれやれのポーズをしてきた。
「2人とも、……どうされましたか?」
さすがに、その態度はないでしょと、ハルコンは怪訝に思って訊ねてみた。
「ほらぁっ! 肝心な子がいらっしゃるでしょ? この鈍感っ! このハルコンッ!」
「えぇっ!?」
「もうっ、シルファー先輩のこと放ったらかしていいの? 絶対、ハルコンが迎えにくると思って、待っていらっしゃるよ!」
「ええぇーっ!?」
サリナ姉だけでなく、ミラまでこちらの胸元を小突いてきた。
「ですが、先輩は学校祭の運営委員会のオブザーバーで、本部に待機してないといけないのでは、……?」
「あぁ~っ、我が弟ながら、こうも融通が利かないとは思わなかったわ! あの子は先日まで地方に出張にいってて、戻ったばかりなのよ。根が真面目な子だから、疲れを厭わず働き詰めで、ず~っと、気を張っているに決まってるじゃないっ!」
「えぇっ!? そんなの、ハルコンBを飲めば、24時間働けますよ!」
「こらぁーっ! ハルコンは、女心知らな過ぎっ!!」
「ええぇーっ!?」
「もうっ、私達のことはいいから、これを食べたら、直ぐに本部に顔を出しなさいっ! あの子には、休養や娯楽が必要なのっ!」
「はぁ~いっ」
「いいっ、ハルコンッ! あなたはシルファーちゃんを、精一杯もてなしなさいっ!!」
「そうだよ、ハルコン!」
サリナ姉とミラ、2人がかりで責められてしまい、ハルコンは思わず頷かざるを得なかった。
「それで、……サリナ姉様。サークルの決勝展示会は、何時からですか?」
「10時からよ!」
「なら、兄様達のサークルの演武会決勝と被りませんね?」
ハルコンは斜め上を見ながら、指折り数えてみる。
え~と。確か兄様達の決勝は、13時からだったかなぁと思い出す。
「なら、私とミラちゃんも展示会が終わったら、兄様達の決勝観にいこうかしら?」
そう言って、サリナ姉は隣りで笑顔を浮かべているミラに、「ねぇ~っ!」といった調子で首を少しだけ傾げてみせると、ミラも「はいっ!」といって、白い歯を見せて笑った。
「ワカりました。なら、ステラ殿下をお連れして、10時に姉様のサークルの会場に向かおうと思います」
ハルコンは、漸く今日の予定がまとまったため、笑顔を浮かべて見せたところ、……。
サリナ姉とミラは2人揃って、「そうじゃないんだよなぁ」といった表情で、やれやれのポーズをしてきた。
「2人とも、……どうされましたか?」
さすがに、その態度はないでしょと、ハルコンは怪訝に思って訊ねてみた。
「ほらぁっ! 肝心な子がいらっしゃるでしょ? この鈍感っ! このハルコンッ!」
「えぇっ!?」
「もうっ、シルファー先輩のこと放ったらかしていいの? 絶対、ハルコンが迎えにくると思って、待っていらっしゃるよ!」
「ええぇーっ!?」
サリナ姉だけでなく、ミラまでこちらの胸元を小突いてきた。
「ですが、先輩は学校祭の運営委員会のオブザーバーで、本部に待機してないといけないのでは、……?」
「あぁ~っ、我が弟ながら、こうも融通が利かないとは思わなかったわ! あの子は先日まで地方に出張にいってて、戻ったばかりなのよ。根が真面目な子だから、疲れを厭わず働き詰めで、ず~っと、気を張っているに決まってるじゃないっ!」
「えぇっ!? そんなの、ハルコンBを飲めば、24時間働けますよ!」
「こらぁーっ! ハルコンは、女心知らな過ぎっ!!」
「ええぇーっ!?」
「もうっ、私達のことはいいから、これを食べたら、直ぐに本部に顔を出しなさいっ! あの子には、休養や娯楽が必要なのっ!」
「はぁ~いっ」
「いいっ、ハルコンッ! あなたはシルファーちゃんを、精一杯もてなしなさいっ!!」
「そうだよ、ハルコン!」
サリナ姉とミラ、2人がかりで責められてしまい、ハルコンは思わず頷かざるを得なかった。
117
あなたにおすすめの小説
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる