天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第一部「ハルコン少年期」

35 王立学校祭 その2_12

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「ねぇーっ、ハルコン。先ほど話の上がっていたブートキャンプって、……一体何ですの?」

 昼食の後、ハルコン達は校舎の教室まで、体術用の軽装服を取りに一度戻った。
 それから会場である校舎の表の第一グラウンドまで向かう途中、ステラ殿下が不思議そうに訊ねてこられた。

「ふぅ~む、そうですねぇ。まぁ、……ちょっとキツめの体操ですかね!」

「キツめですか? うふっ、私にもできるのでしょうか?」

「そうですねぇ、……」

 小首を傾げながら、改めて笑顔でお訊ねになる殿下。
 ハルコンは言葉を選びながら、「まぁ、最近の殿下はお元気でいらっしゃるから、イケるかなぁ」と思って、ニコリと微笑み返す。

 その表情に、殿下の頬がポッと、……ほんのりと赤く染まった。

「ステラ殿下ぁ、ハルコンがそんな笑顔をする時は、とぉっても危険なんですよぉ。あんまり彼のこと信用してはダメですよぉ!」

「ふふっ、大丈夫ですよミラ。私、ハルコンのこと、……心より信じておりますので」

「そっ、そうですか、……」

 横から口を挟んできたミラに、純真無垢な笑顔でお返事なさるステラ殿下。

「まぁ、一応警告はしましたからねぇ、……」

 そう呟くミラの肩を、シルファー先輩がポンポンと軽くお叩きになる。

「ふふっ、何を言っても無駄よ。相手は恋に恋するお年頃の、ステラちゃんなのですからね」

「ははっ、シルファー先輩。そんなのシャレになんないですよぉ」

 ミラはステラ殿下を案じた笑顔だが、シルファー先輩の目つきには、ほんのりと喜色が滲んでいた。

 何だろう。シルファー先輩から、邪気というか悪戯心っていうのかな? 
 最近の先輩は、若干イジメっ子の雰囲気が滲み出ているなぁと、ハルコンは思った。

 グラウンドに到着すると、既に多くの人でごった返していた。
 見ると、セイントーク家の長兄マルコムらサークルのメンバー達が、特設席で大会の準備をしていた。

 今回合同したイメルダのサークルのメンバー達も、大会準備に汗をかいていた。
 すると、その中心に頭一つ背の高い、10代後半と思しき眉目秀麗な少年がおられたのだ。

「へぇ~っ、どなただろう?」

 ハルコンにとって、初見の青年だが、……。
 でも、その知的でノーブルな雰囲気と、体育会系の快活さが合わさったような雰囲気には、どことなく見覚えがあった。

 先ほどまで隣りにいたシルファー先輩が、その場でタッと駆け出した。

「キャスパー兄様っ!?」

 そう仰いながら、満面の笑顔でその少年に抱き付かれるシルファー先輩。

 ふぅ~ん。なるほどねぇ。
 べたべただねぇ。もの凄ぉ~く、懐いていらっしゃるんだねぇ。

「ホンと珍しいね。あんな先輩、初めて見たかも!」

 耳元にこそりと告げてくるミラに、こちらもこくりと頷き返す。

 その長身の少年は、先輩の頭をよしよしと撫でながら、我々の存在に気付いたのだろう。
 とても女子受けしそうな爽やかな笑顔を浮かべながら、こちらに手を振ってこられた。

「いこう、ミラッ!」

「うんっ!」

 ハルコン達も、その場をタッと駆け出した。
 とりあえず、……この国の第一王子を待たせるワケにはいかないからね。
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