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第一部「ハルコン少年期」
39 サスパニア出張旅行 その2_06
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* *
「女神様、……本日は、一体どのようなご用件でいらしたのですか?」
そうなのだ。何しろここ数年、ず~っと静観されてこられた女神様だ。
それが、何か女神様にとって懸念される状況が、今後起こりつつあるのだろう。
だから、こうして私が一人のところを狙って、わざわざお越しになられたのだろうなぁと、ハルコンは思った。
まぁ、……こちらとしてもね、何となく心当たりがあるにはあるんだけどさ、……。
「そうですよ、晴子さん。あなた、週明けにサスパニアまで出張旅行をされるのでしたよね?」
「は、はい。よくご存じで!」
なるほど。やはり、サスパニアの件だったか。
「そりゃぁそうですよ。私が晴子さんのことで、知らないことなんてあるワケがないじゃないですか?」
「ははは、……確かに、そうでしたね」
うぅ~ん。私には女神様を前にして、一切のプライバシーなんてものは存在しないのだなぁとハルコンは思った。
そして、女神様はこちらの内心を知ってか知らずか、……相変わらずどこか天真爛漫なマダムのように、満面の笑みを浮かべながら、人懐っこくうんうんと頷かれていらっしゃっるのだ。
そんな仕草ひとつ取っても、以前とあまりお変わりがないご様子に、ハルコンは少しだけ胸がホッとしたような気がした。
「女神様。もしよろしければ、冷蔵庫によく冷えたヨーグルト飲料があるんです。お出ししても構いませんか?」
「いいですねぇ。晴子さんがお作りになられたのですか?」
「はい。タネを研究所で用意して貰って、その一部をこちらまで持ち帰って加工しているんですよ!」
「ふぅ~ん。晴子さんは所長さんなのに、今でも自家製でお作りになられていらっしゃるのですね?」
「はい。そういったところは、私は昔のまんまです!」
「「ふふっ」」
ここで、お互いに笑い合った。立場はそれぞれだけど、仲のいい旧友だと女神様のことを思ってもいいのかなぁと、ハルコンは恐れ多くもそう考えた。
「こちらの貴族寮の食堂にも提供しているのですよ。学生達に今、とても評判がいいんです!」
「へぇーっ、それでは頂きましょう!」
女神様はそう仰って両手を叩きながら、ニコリとお笑いになられた。
とりあえず、一見すると女神様は機嫌がよろしそうなのだが、……。
まぁ、おそらく、これは私の勘なのだが、……。
本日の女神様のご訪問で、これからかなり耳の痛い話も聞かされることになるのではないかと、ハルコンは内心戦々恐々だった。
「女神様、……本日は、一体どのようなご用件でいらしたのですか?」
そうなのだ。何しろここ数年、ず~っと静観されてこられた女神様だ。
それが、何か女神様にとって懸念される状況が、今後起こりつつあるのだろう。
だから、こうして私が一人のところを狙って、わざわざお越しになられたのだろうなぁと、ハルコンは思った。
まぁ、……こちらとしてもね、何となく心当たりがあるにはあるんだけどさ、……。
「そうですよ、晴子さん。あなた、週明けにサスパニアまで出張旅行をされるのでしたよね?」
「は、はい。よくご存じで!」
なるほど。やはり、サスパニアの件だったか。
「そりゃぁそうですよ。私が晴子さんのことで、知らないことなんてあるワケがないじゃないですか?」
「ははは、……確かに、そうでしたね」
うぅ~ん。私には女神様を前にして、一切のプライバシーなんてものは存在しないのだなぁとハルコンは思った。
そして、女神様はこちらの内心を知ってか知らずか、……相変わらずどこか天真爛漫なマダムのように、満面の笑みを浮かべながら、人懐っこくうんうんと頷かれていらっしゃっるのだ。
そんな仕草ひとつ取っても、以前とあまりお変わりがないご様子に、ハルコンは少しだけ胸がホッとしたような気がした。
「女神様。もしよろしければ、冷蔵庫によく冷えたヨーグルト飲料があるんです。お出ししても構いませんか?」
「いいですねぇ。晴子さんがお作りになられたのですか?」
「はい。タネを研究所で用意して貰って、その一部をこちらまで持ち帰って加工しているんですよ!」
「ふぅ~ん。晴子さんは所長さんなのに、今でも自家製でお作りになられていらっしゃるのですね?」
「はい。そういったところは、私は昔のまんまです!」
「「ふふっ」」
ここで、お互いに笑い合った。立場はそれぞれだけど、仲のいい旧友だと女神様のことを思ってもいいのかなぁと、ハルコンは恐れ多くもそう考えた。
「こちらの貴族寮の食堂にも提供しているのですよ。学生達に今、とても評判がいいんです!」
「へぇーっ、それでは頂きましょう!」
女神様はそう仰って両手を叩きながら、ニコリとお笑いになられた。
とりあえず、一見すると女神様は機嫌がよろしそうなのだが、……。
まぁ、おそらく、これは私の勘なのだが、……。
本日の女神様のご訪問で、これからかなり耳の痛い話も聞かされることになるのではないかと、ハルコンは内心戦々恐々だった。
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