天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第一部「ハルコン少年期」

40 サスパニア出張旅行 その3_02

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   *          *

「なるほどハルコン、……女神様はそう仰られたのか?」

「はい、父上。確かにそう仰っておられました!」

 父カイルズは、こちらの話を思慮深く頷きながら聞いた後、ローレル卿の表情をちらりと見た。

「ということなのだが、……。ローレル卿、貴殿のご息女、ミラ嬢の名前も上がっておりますな?」

「確かに。そうなると、我がシルウィット家にも大いに関わる話になってくるのですね」

 ローレル卿もそう言うと、父カイルズ共々ひとつ頷かれた。

「えぇ、そうなんです。女神様が昨晩私に仰ったのは、とにかく今度のサスパニア出張旅行には、必ずシルファー殿下とステラ殿下、それとミラも同行させなさいとのことでしたね」

「ハルコン君、ミラは騎士爵だ。そのまま護衛の任務に就きなさい、……ということなのかな?」

「いいえ。女神様の話の調子では、両殿下と共にまだ学生の身分ですから、サスパニアをよく見て学んできなさい、……そんなニュアンスだったかと思います」

「な、なるほど!?」

 こちらの言葉を聞き、ローレル卿はやや意外そうな顔で頷かれた。

 本音では、女神様が私に仰ったのは、両殿下とミラの3人と親睦を兼ねて、サスパニアまで旅行してきなさいという認識だったのだが、……。

 さすがにそのままのとおりに父上とローレル卿に伝えるのは、マズいよなぁと思って、今回の件は学びの機会だと、ハルコンは大人達には建前を伝えることにした。

「ならばハルコン。つまり、女神様は後学のために、両殿下とミラ嬢、オマエに現地にいって学んでくるように仰ったとみていいのだな?」

「はい。その認識で構わないのかと」

「ふむ、……まぁ、そういうことにしておこう。ローレル卿もミラ嬢が国外に出ることに異存はありませんか?」

「いいえ。女神様のご意思とあらば、我々はただ従うのみですから!」

 ローレル卿がひとつだけ頷くと、父カイルズはこちらの顔色をちらりと窺った。

 すると、私の表情に何かを悟ったのか、一瞬やれやれといった表情を浮かべた後で、「まぁ、女神様の思し召しとあらば、我々は従わざるを得ないか、……」と、そう述べた。

 まだ30代前半の若いローレル卿は、年長の父カイルズの言葉に対し、あまり深く考えないままに同調して、笑顔で頷かれている。

 父カイルズもローレル卿も、私と女神様に接点があることは、サリナ姉やミラからの供述でよく理解していた。

 ローレル卿は私に「今後、ハルコン君のことを、『神の御使い』様とお呼びした方がいいのかな?」と言われたため、「これまでどおりにハルコンとお呼び下さい!」と伝えてある。

 一方、父上にとって私が子爵になろうが「神の御使い」であろうが、セイントーク家の3男であるという事実は変わらないのだろう。
 特に、話し方を変えることもせず、これまでどおりに接してくれている。

 とにかく、そんな大人達2人の様子を見て、まぁ、……この状況を上手く伝えられたのかなぁとハルコンは思った。
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