357 / 485
第一部「ハルコン少年期」
40 サスパニア出張旅行 その3_07
しおりを挟む
* *
「私は、……女神様にこれからどうすべきなのか、率直にお伺いいたしました!」
「ほぅ。さすがはハルコン殿!」
「いっ、いいえ。せっかく、女神様が私の許にいらっしゃったワケですから、……。この際遠慮などせず、サスパニアの件でヒントを授かってもよろしいのでは、と思いました!」
王ラスキンと宰相はこの言葉に感心したらしく、大きく頷かれていらっしゃった。
「ならば、ハルコン殿。女神様は如何に仰られたのか?」
「はい。そのままお伝えしますと、『ファイルド国は、現在「善隣外交」をされていらっしゃるのでしょ? なら、あなたもその方針に従うべきではないかしら?』と!」
「なるほど。そのお言葉のとおりなら、我々の進むべき道は限られているということか、……」
陛下がそう呟かれると、宰相もうんうんと大きく頷く。
「ハルコン殿、……今回の件で、他にはどんな話をされたのか?」
「はい。私としましても、近代日本の科学力を有するサスパニアに対し、徒手空拳で応じても碌なことにはならないと考えております。この局面を打開するためには、女神様から頂いたチートスキル(実際は現地語で表記しております)の優劣こそ、まさに大事なのだと思いました!」
「なるほど。以前にも伺っていたチートスキルか、……」
「すると、女神様は率直にこう仰られました。『サスパニアに送ったあの子達には、特にスキルを持たせておりません。何しろ、彼らは地球で得た知識を基に、こちらで活動を再開しているだけなのですから、……』と!」
「では、女神様のお言葉に対し、ハルコン殿、……貴殿は如何に返事をされたのか?」
陛下には、できる限り正直にお答えしようと思った。何しろ、サスパニアには鳥インフルエンザ散布の疑惑もあるしね。
「『そうでしたか、……。なら、私が頂いたチートスキルを使っても、……構いませんか?』と!」
「「ほぅ……」」
「私がそう申しましたところ、『はい、どうぞどうぞ。でもね、「皆、仲良く!」、……ですよ!』と、女神様は仰られました!」
私がラスキン国王陛下と宰相閣下に問われるまま、正直に女神様とのやり取りをご説明したんだけどさ。
そうしたら、お二方は腕を組んでじっと目を閉じて、「なるほど。皆、仲良く! か、……」と、決意を新たにされたようだった。
「ならば、ハルコン殿。貴殿が『神の御使い』だと理解した上でお訊ねする。そのチートスキルとは、如何なるものなのかね?」
その問いかけに、漸く全てをお伝えすべき時がきたのだと、……ハルコンは思った。
「私は、……女神様にこれからどうすべきなのか、率直にお伺いいたしました!」
「ほぅ。さすがはハルコン殿!」
「いっ、いいえ。せっかく、女神様が私の許にいらっしゃったワケですから、……。この際遠慮などせず、サスパニアの件でヒントを授かってもよろしいのでは、と思いました!」
王ラスキンと宰相はこの言葉に感心したらしく、大きく頷かれていらっしゃった。
「ならば、ハルコン殿。女神様は如何に仰られたのか?」
「はい。そのままお伝えしますと、『ファイルド国は、現在「善隣外交」をされていらっしゃるのでしょ? なら、あなたもその方針に従うべきではないかしら?』と!」
「なるほど。そのお言葉のとおりなら、我々の進むべき道は限られているということか、……」
陛下がそう呟かれると、宰相もうんうんと大きく頷く。
「ハルコン殿、……今回の件で、他にはどんな話をされたのか?」
「はい。私としましても、近代日本の科学力を有するサスパニアに対し、徒手空拳で応じても碌なことにはならないと考えております。この局面を打開するためには、女神様から頂いたチートスキル(実際は現地語で表記しております)の優劣こそ、まさに大事なのだと思いました!」
「なるほど。以前にも伺っていたチートスキルか、……」
「すると、女神様は率直にこう仰られました。『サスパニアに送ったあの子達には、特にスキルを持たせておりません。何しろ、彼らは地球で得た知識を基に、こちらで活動を再開しているだけなのですから、……』と!」
「では、女神様のお言葉に対し、ハルコン殿、……貴殿は如何に返事をされたのか?」
陛下には、できる限り正直にお答えしようと思った。何しろ、サスパニアには鳥インフルエンザ散布の疑惑もあるしね。
「『そうでしたか、……。なら、私が頂いたチートスキルを使っても、……構いませんか?』と!」
「「ほぅ……」」
「私がそう申しましたところ、『はい、どうぞどうぞ。でもね、「皆、仲良く!」、……ですよ!』と、女神様は仰られました!」
私がラスキン国王陛下と宰相閣下に問われるまま、正直に女神様とのやり取りをご説明したんだけどさ。
そうしたら、お二方は腕を組んでじっと目を閉じて、「なるほど。皆、仲良く! か、……」と、決意を新たにされたようだった。
「ならば、ハルコン殿。貴殿が『神の御使い』だと理解した上でお訊ねする。そのチートスキルとは、如何なるものなのかね?」
その問いかけに、漸く全てをお伝えすべき時がきたのだと、……ハルコンは思った。
56
あなたにおすすめの小説
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました
竹桜
ファンタジー
誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。
その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。
男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。
自らの憧れを叶える為に。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる