374 / 595
第一部「ハルコン少年期」
41 サスパニア出張旅行 その4_11
* *
ハルコンと元女盗賊さんは、深夜営業中の居酒屋の入り口近くで立ち止まった。
「安いよ、安いよぉ~っ! 今晩宿に泊まれなかった、そこの貴方! 地元最安値のウチの店で夜を明かすのは、とってもお値打ち、財布に優しいっ!」
「はいっ、道ゆくそこのお兄さん、お姉さんっ! ここいらの宿に泊まるには、一晩で金貨一枚っ! はいっ、勿体ないよぉ~っ!」
店の真ん前では、お立ち台に上り、少しだけ透ける素材の民族衣装を身に纏った若い踊り子の2人が、艶のある優美な声で客引きを行っていた。
夜闇に浮かぶように、魔石の照明で赤色に照らされた少女2人は、まだ幼さの残る外見ではあるものの、ほんのりと薄化粧が施され、そこはかとない色気が感じられた。
まるで、エーテルの水槽の中を泳ぐ、優美な赤い金魚達のように、……。
ひらひらと、揺蕩うように舞う少女達。様々なポーズを取っては、再び決まった口上を繰り返していた。
往来の人々は、そんな優美な雰囲気の少女達を目の端で追いながらも、次々とその前を通り過ぎてゆく。
踊り子の少女達は、それでもなお辛抱強く、笑顔を崩さずに客引きを行っていた。
「ふぅ~ん。王都でも、こんな店はなかったかな?」
「で、やすな。ハルコン殿、ここでよきでやすか?」
「えぇ。そうですね」
少女達は、営業中、時おり店の中で軽いショーでもやるのだろう。
まぁ、ノルマとか相当厳しいんだろうなぁ、……。
ハルコンはそんなことを思いつつ、上背のある元女盗賊さんをちらりと見上げたところ。
「では、ハルコン殿。アタイに、任せるでやんしぃ!」
「お願いします」
その言葉に、元女盗賊さんは気を良くしたように笑顔で頷くと、スッと踊り子たちの前に立ち塞がった。
すると、少女達よりも頭ふたつ背の高い女が突然視界を塞ぐものだから、営業妨害されたと思ったのか、「何さっ!?」といって、キッと睨み返してきた。
でも、元女盗賊さんは太々しく笑顔でこう訊ねていた。
「オメェんら、まんずどこさ田舎の子でやんすか? アタイらも田舎から上がってきちゃぁども、都会モンにババ掴まされたんど!」
そう人懐っこい笑顔で、元女盗賊さんは親身そうに彼女達をしっとりと見た。
すると、少女達は一瞬お互いの顔を見合わせると。
「「キャーハハハッ、ホンに、ホンにババ掴まされたんと? きちゃない、きちゃなぃよぉ―っ、キャーハハハッ!」」
少女達が笑い転げている間も、元女盗賊さんは笑顔のまま、じっと立っていた。
「それで、何ぞ用さね? お客さんなら、接待するっちゃよ!」
「んだなぁ。オメェら、一晩ノルマいくらでやすか?」
すると、少女達は、お互いに顔を見合って、軽い相談を始めた。
「銀貨、……4枚欲しいっちゃよ!」
「そりゃあ、大金でやすな? も少し安くあんべぇか?」
少女達は、再び相談を始めた。
すると、元女盗賊さんは少女達に見られないように、尻の辺りで指3本を示し、こちらが頷いたところ、……。
直ぐに親指と人差し指をくっ付けて、OKの「マル」を作った。
ハルコンと元女盗賊さんは、深夜営業中の居酒屋の入り口近くで立ち止まった。
「安いよ、安いよぉ~っ! 今晩宿に泊まれなかった、そこの貴方! 地元最安値のウチの店で夜を明かすのは、とってもお値打ち、財布に優しいっ!」
「はいっ、道ゆくそこのお兄さん、お姉さんっ! ここいらの宿に泊まるには、一晩で金貨一枚っ! はいっ、勿体ないよぉ~っ!」
店の真ん前では、お立ち台に上り、少しだけ透ける素材の民族衣装を身に纏った若い踊り子の2人が、艶のある優美な声で客引きを行っていた。
夜闇に浮かぶように、魔石の照明で赤色に照らされた少女2人は、まだ幼さの残る外見ではあるものの、ほんのりと薄化粧が施され、そこはかとない色気が感じられた。
まるで、エーテルの水槽の中を泳ぐ、優美な赤い金魚達のように、……。
ひらひらと、揺蕩うように舞う少女達。様々なポーズを取っては、再び決まった口上を繰り返していた。
往来の人々は、そんな優美な雰囲気の少女達を目の端で追いながらも、次々とその前を通り過ぎてゆく。
踊り子の少女達は、それでもなお辛抱強く、笑顔を崩さずに客引きを行っていた。
「ふぅ~ん。王都でも、こんな店はなかったかな?」
「で、やすな。ハルコン殿、ここでよきでやすか?」
「えぇ。そうですね」
少女達は、営業中、時おり店の中で軽いショーでもやるのだろう。
まぁ、ノルマとか相当厳しいんだろうなぁ、……。
ハルコンはそんなことを思いつつ、上背のある元女盗賊さんをちらりと見上げたところ。
「では、ハルコン殿。アタイに、任せるでやんしぃ!」
「お願いします」
その言葉に、元女盗賊さんは気を良くしたように笑顔で頷くと、スッと踊り子たちの前に立ち塞がった。
すると、少女達よりも頭ふたつ背の高い女が突然視界を塞ぐものだから、営業妨害されたと思ったのか、「何さっ!?」といって、キッと睨み返してきた。
でも、元女盗賊さんは太々しく笑顔でこう訊ねていた。
「オメェんら、まんずどこさ田舎の子でやんすか? アタイらも田舎から上がってきちゃぁども、都会モンにババ掴まされたんど!」
そう人懐っこい笑顔で、元女盗賊さんは親身そうに彼女達をしっとりと見た。
すると、少女達は一瞬お互いの顔を見合わせると。
「「キャーハハハッ、ホンに、ホンにババ掴まされたんと? きちゃない、きちゃなぃよぉ―っ、キャーハハハッ!」」
少女達が笑い転げている間も、元女盗賊さんは笑顔のまま、じっと立っていた。
「それで、何ぞ用さね? お客さんなら、接待するっちゃよ!」
「んだなぁ。オメェら、一晩ノルマいくらでやすか?」
すると、少女達は、お互いに顔を見合って、軽い相談を始めた。
「銀貨、……4枚欲しいっちゃよ!」
「そりゃあ、大金でやすな? も少し安くあんべぇか?」
少女達は、再び相談を始めた。
すると、元女盗賊さんは少女達に見られないように、尻の辺りで指3本を示し、こちらが頷いたところ、……。
直ぐに親指と人差し指をくっ付けて、OKの「マル」を作った。
あなたにおすすめの小説
元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました