バンドはじめました！

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「daybreak」のはじまり

顔合わせだといって集められたバンドメンバーはイケメンぞろいだった。
俳優？アイドル？と言ってしまいそうになったけれど、どうやら本当に俺とバンドメンバーになる人たちらしい。

バンド名は「daybreak」
名づけは幹部の人たちが集まって何度も会議して決めたらしい。
その割にはあまり中身の籠ってない命名だと思うけど。
だって意味は夜明けだよ？夜明け。まあそれはいいんだけど…。


とにかく、daybreakのメンバーとして集められた俺たちは、
本当にあり合わせというか、顔だけで選んだような人たちが集まってきた。


さっきも出てきたけれど口は悪いけれどクールなイケメン、ギターの藤澤　沙月。
彼もまた俺と同じでピアノが弾けると思って承諾したら今までやったことがなかったギターをさせられることになったらしい。

じゃあ沙月より俺がギターするほうがいいよね、といったんだけど、偉い人たちがこぞって首を横に振る。ホントになんで！？


そして、ピアノには春日井　文治（かすがい　ぶんじ）
眼鏡で着物の似合う文豪のような清楚さのある男性だけれど、ちょっと世間とずれているところがある。ちょっと特定の人間に対してだけ変態というか…過保護なんだよね…
これはまた追々ね。

そして文治も例によって、昔大学のサークルでベースをやっていたらしいんだけど、なぜかピアノ担当になった。
けれど彼は特に不満も漏らさず、別に構わないですといって納得してしまった。
本当に変わってると思う。


続いて来たのは宇吹　仁（うぶき　じん）
見るからに金髪でピアス空きまくりのヤンキーみたいな見た目をしてるんだけど、実際にそうだったみたいで最近街中を歩いていて急にスカウトされて来たらしい。
音楽活動なんて本人は興味はないらしいのに、本当に顔で選んだんだと思う。

そしたら幹部の人が悪びれずに彼はビジュアル要員だから、と言いやがった。

ドラム担当らしいけれど、楽譜もわからないし、普段曲も聞かないらしい。
バンドっていうかここまで来たら初心者バンドだよね、と思うんだけど？


そして最後、みんなのかわいい天使癒し系ボーカル。小鳥遊　夏音（たかなし　かのん）
彼が何か喋ればかわいさのあまり悲鳴が起き、彼が何かすれば悲鳴が起き、彼がメンバーの誰かと絡めば地割れのような悲鳴が起きる。


夏音は顔やしぐさ、表面上の言動だけとってみればかわいらしくてとても純真無垢なまるで少女のような感じだし、実際そんな顔のつくりをしている。
顔を見ているとワンチャンって思っちゃうくらいだ。


さっき言っていた文豪ビジュアルの春日井　文治は、この夏音のことが好きだった。
誰が見てもわかるくらいに。


とにもかくにも、俺たちはなんだか凸凹で無茶苦茶なバンドを結成することになったのである。