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気づいたら倒れていた。
何故倒れていたのかは分からないし、さらに言えば直前まで何をしていたのか、自分が何者なのかの記憶は何一つない。しかし、不思議とそのことは全く気にならなかった。今あるのは、胸の奥に宿った燃えるような物欲と、手の中のたった一冊の本―全書―だけだ。
名前は分かるのに全く見覚えがないその全書に目を向け、まじまじと観察してみる。全書は真っ白な革のような素材で製本されており、かなりの厚みがある。ただ、著者はおろか題名すら描かれておらず、表紙を開いてページをめくってみてもやはり何も書かれていない。
いったいこれは何に使うのだろうと首をかしげるが、当然全書がその答えを示してくれるはずもなかった。
分かることといえば、この全書は間違いなく自分のものであるということだ。この本にだけは、熱く燃え上がる物欲が向くことはない。何故かはわからないし、いくら記憶をたどっても心当たりすらないのだが、とにかくこの全書は自分の物なのだ。
そう自覚すると、先ほどから感じている焦燥感にも似た物欲が、波が返るようにほんの少し薄らいだ。
そこではじめて自分の体に目を向ける余裕ができる。所謂普通の男の身体、だと思う。記憶はないが、なんとなくそう感じた。ちゃんと四肢はあるし、特に怪我をしていたり痛みを感じる部位もない。身に纏っているものがボロ布だけ、という点を除けばコンディションは万全といえるだろう。
周囲の様子に目を向けてみるが、視界に入るのは崩れ、ひび割れた瓦礫の山だ。直前まで倒れていたのはもとは人口の道の上だったようだが、近くに風化した棒状の何かが落ちていることに気づいた。
……あれが欲しい。
それを見た瞬間、先ほどから感じている物欲がさらに高まったのを感じた。その欲求に従い棒に近づいて手に取ると、直観に従って棒を全書に押し付ける。
すると、何の予兆もないまま全書に触れていたそれが突然掻き消えた。その瞬間に感じるのは、空いていた隙間が埋まるような確かな充足感だ。
その感覚に酔いしれていると、開いた本のページにひとりでに文字が浮かび上がる。
――――――――――
【エスカ軍式長剣(劣化大)】を収集しました
――――――――――
どうやら今拾った棒状の何かは、元は剣として使われていたらしい。だが、名前だけではそれが持つ価値も分からない。そう思っていると、さらに文字が現れる。
――――――――――
【エスカ軍式長剣(劣化大)】
分類:武器・長剣
等級:E
詳細:エスカ軍の基本支給装備。風雨により激しく劣化している。
――――――――――
全書に記載された情報を信じるならば、この剣は刃が完全にすり減るほどの時間ここで風雨に晒されていたのだろう。その年月により、剣は今やその面影すらないまでに風化してしまっている。
かつての万全だったころの剣もぜひ欲しい、と思っていると、やはりひとりでに文字が現れた。
――――――――――
【エスカ軍式長剣】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
エスカ軍式長剣(劣化大) 5%/100%
灰銅鉱 0%/100%
物品が不足しているため、生成を行えません
――――――――――
どうやらいくつかの物品を消費することによって、今所持しているものから新たな物品を作り出すことができるようだ。
先ほど手に入れたものが【エスカ軍式長剣(劣化大)】であり、これと同じものと【灰銅鉱】というものをある程度集めればいいらしい。”生成”というものがどう行われるのかは見当もつかないが、とにかく素材を集めれば何かわかるだろう。
まずは、【エスカ軍式長剣】の生成を目指してみるとしよう。そのためには他の素材を回収する必要がある。
改めて周囲を見回してみるが、倒れていた場所は元は結構な規模の街だったようだ。今いる地点は瓦礫に囲まれているものの、大通りと思われる石畳の道が遠くまで続いており、さらに別の細い道へと何本にも枝分かれしているように見受けられる。瓦礫の量から察するに、このような状態になる以前は、たくさんの石造りの建物が通りの横を埋めていたのだろう。通りの終端に当たる場所には、ひときわ大きな廃墟が建っており、ここからでもかなりの存在感を感じる。かつてはそれなりに栄えていたのだろうが、今はほとんどの建物が瓦礫と化しており、当然人の気配もない。
だが、それら建築物を差し引いて目を引くのが、この街を囲うようにしてそびえる黒い壁だ。倒れていたのは街の中心近くのようなのだが、ここから見てもその壁は見上げるほどに高い。首をかなり傾けて、ようやく空が見えるような状態だ。ちょうど街自体が黒い筒に覆われているような形だろう。
その壁も気になるので、ひとまずは壁を目指しながら、目につくものを集めていくことにする。
――――――――――
【エスカ軍式短槍(劣化大)】
分類:武器・短槍
等級:E
詳細:エスカ軍の基本支給装備。風雨により激しく劣化している。
――――――――――
――――――――――
【エスカ軍式長槍(劣化大)】
分類:武器・長槍
等級:E
詳細:エスカ軍の基本支給装備。風雨により激しく劣化している。
――――――――――
――――――――――
【エスカ軍式戦斧(劣化大)】
分類:武器・斧
等級:E
詳細:エスカ軍の支給装備。部隊長以上の兵士に支給された。風雨により激しく劣化している。
――――――――――
――――――――――
【エスカ軍式軽鎧(劣化大)】
分類:防具・鎧
等級:E
詳細:エスカ軍の基本支給装備。身体の要所を守る構造になっている。風雨により激しく劣化している。
――――――――――
――――――――――
【灰銅鉱】
分類:鉱石・金属
詳細:エスカ地方を中心に広い地方で採掘される鉱石。硬度は高くないが、加工がしやすい。
――――――――――
――――――――――
【人骨(劣化大)】
分類:遺骸・骨
詳細:風雨にさらされひどく劣化した人の白骨
――――――――――
壁に着くまでに手に入れたものは、長剣6本、小槍5本、長槍2本、戦斧1本、軽鎧7組、人骨7組に灰銅鉱がいくつかだった。
それぞれ長剣と同じで、ある程度量を集めれば元の状態のものを生成できるようだが、まだどれも十分な数は集まっていない。さらにそれぞれの物品は、そのままではまるで使い道がないガラクタばかりだ。収集物が増えるのはいいのだが、もっと別の有用なものが欲しいという思いが募る。
先ほど倒れていた場所からざっと一時間ちょっと歩いただろうか。いよいよ黒い壁の前にたどり着いたのだが、壁の正体は思っていたものと大きく異なっていた。黒い壁は石などの建材でできているのではなく、漆黒のガスのような気体で構成されていたのだ。
好奇心に負けてガスに触れてみるが、ちりちりとした痛みを感じてすぐに手を引っ込める。どう考えても直接触っていいことは起きないだろうが、目的のものを目の前にしてすごすごと帰るわけにもいかない。そこで全書を使って黒いガスを直接回収することにした。
――――――――――
【瘴気】
分類:不明
詳細:特定条件下で発生する黒い気体。生物に対して強い毒性を持つ。
――――――――――
全書を使ってみてもよくわからないが、瘴気を手に入れたことによって、ページの上に新たな文字が記される。
――――――――――
【骨人形】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
人骨(劣化大)140%/100%
瘴気 100%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
――――――――――
【エスカ軍式長剣】の時とは、微妙に文章の内容が異なっている。今回は素材がそろっているようなので、とりあえず【はい】という文字に触れてみよう。
文字に触れるや否や、目の前の空間がまるで布を絞るようにねじれ、次の瞬間にはそこに直立する白骨体が立っていた。
直立不動のままの白骨体は当然のことながら何も身に着けておらず、手に持つ物もない。
――――――――――
【骨人形】
分類:外法遺骸・骨体
等級:D
権能:【自律】
詳細:魂核を動力として稼働する魔導人形。劣化した人骨を素材としているため、強度および出力は低いが、簡単な命令を解することができる。
――――――――――
”魔導人形”というだけあり、この【骨人形】はなんと命令をすれば自動で行動ができるようだ。
試しに”歩け”と命令してみると、ゆっくりとだが確かに足を動かして、その場から前進を始めた。”止まれ”と命じるとやはりその場にピタリと止まり、”物を集めてこい”という命令をしたら近くに落ちていた木片(おそらく家屋に使われていたものだろう)を拾ってこちらまで持ってきた。だが、物を指定して拾ってこさせるなどはできないようで、命令をしても微動だにしない。
どうやら説明にあった『簡単な命令』というのから逸脱してしまうと動くことすらないようだ。
理屈は分かったが現状ではそれほど役にも立たないため、一度全書にしまっておくことにする。
さて、この全書を使ってできることは大体わかったが、今自分にできることはやはり周囲にあるものを集めることだけのようだ。何に急かされているわけでもないので、目につくものを片っ端から集めながら周囲の探索を進めていくとしよう。
何故倒れていたのかは分からないし、さらに言えば直前まで何をしていたのか、自分が何者なのかの記憶は何一つない。しかし、不思議とそのことは全く気にならなかった。今あるのは、胸の奥に宿った燃えるような物欲と、手の中のたった一冊の本―全書―だけだ。
名前は分かるのに全く見覚えがないその全書に目を向け、まじまじと観察してみる。全書は真っ白な革のような素材で製本されており、かなりの厚みがある。ただ、著者はおろか題名すら描かれておらず、表紙を開いてページをめくってみてもやはり何も書かれていない。
いったいこれは何に使うのだろうと首をかしげるが、当然全書がその答えを示してくれるはずもなかった。
分かることといえば、この全書は間違いなく自分のものであるということだ。この本にだけは、熱く燃え上がる物欲が向くことはない。何故かはわからないし、いくら記憶をたどっても心当たりすらないのだが、とにかくこの全書は自分の物なのだ。
そう自覚すると、先ほどから感じている焦燥感にも似た物欲が、波が返るようにほんの少し薄らいだ。
そこではじめて自分の体に目を向ける余裕ができる。所謂普通の男の身体、だと思う。記憶はないが、なんとなくそう感じた。ちゃんと四肢はあるし、特に怪我をしていたり痛みを感じる部位もない。身に纏っているものがボロ布だけ、という点を除けばコンディションは万全といえるだろう。
周囲の様子に目を向けてみるが、視界に入るのは崩れ、ひび割れた瓦礫の山だ。直前まで倒れていたのはもとは人口の道の上だったようだが、近くに風化した棒状の何かが落ちていることに気づいた。
……あれが欲しい。
それを見た瞬間、先ほどから感じている物欲がさらに高まったのを感じた。その欲求に従い棒に近づいて手に取ると、直観に従って棒を全書に押し付ける。
すると、何の予兆もないまま全書に触れていたそれが突然掻き消えた。その瞬間に感じるのは、空いていた隙間が埋まるような確かな充足感だ。
その感覚に酔いしれていると、開いた本のページにひとりでに文字が浮かび上がる。
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【エスカ軍式長剣(劣化大)】を収集しました
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どうやら今拾った棒状の何かは、元は剣として使われていたらしい。だが、名前だけではそれが持つ価値も分からない。そう思っていると、さらに文字が現れる。
――――――――――
【エスカ軍式長剣(劣化大)】
分類:武器・長剣
等級:E
詳細:エスカ軍の基本支給装備。風雨により激しく劣化している。
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全書に記載された情報を信じるならば、この剣は刃が完全にすり減るほどの時間ここで風雨に晒されていたのだろう。その年月により、剣は今やその面影すらないまでに風化してしまっている。
かつての万全だったころの剣もぜひ欲しい、と思っていると、やはりひとりでに文字が現れた。
――――――――――
【エスカ軍式長剣】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
エスカ軍式長剣(劣化大) 5%/100%
灰銅鉱 0%/100%
物品が不足しているため、生成を行えません
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どうやらいくつかの物品を消費することによって、今所持しているものから新たな物品を作り出すことができるようだ。
先ほど手に入れたものが【エスカ軍式長剣(劣化大)】であり、これと同じものと【灰銅鉱】というものをある程度集めればいいらしい。”生成”というものがどう行われるのかは見当もつかないが、とにかく素材を集めれば何かわかるだろう。
まずは、【エスカ軍式長剣】の生成を目指してみるとしよう。そのためには他の素材を回収する必要がある。
改めて周囲を見回してみるが、倒れていた場所は元は結構な規模の街だったようだ。今いる地点は瓦礫に囲まれているものの、大通りと思われる石畳の道が遠くまで続いており、さらに別の細い道へと何本にも枝分かれしているように見受けられる。瓦礫の量から察するに、このような状態になる以前は、たくさんの石造りの建物が通りの横を埋めていたのだろう。通りの終端に当たる場所には、ひときわ大きな廃墟が建っており、ここからでもかなりの存在感を感じる。かつてはそれなりに栄えていたのだろうが、今はほとんどの建物が瓦礫と化しており、当然人の気配もない。
だが、それら建築物を差し引いて目を引くのが、この街を囲うようにしてそびえる黒い壁だ。倒れていたのは街の中心近くのようなのだが、ここから見てもその壁は見上げるほどに高い。首をかなり傾けて、ようやく空が見えるような状態だ。ちょうど街自体が黒い筒に覆われているような形だろう。
その壁も気になるので、ひとまずは壁を目指しながら、目につくものを集めていくことにする。
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【エスカ軍式短槍(劣化大)】
分類:武器・短槍
等級:E
詳細:エスカ軍の基本支給装備。風雨により激しく劣化している。
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【エスカ軍式長槍(劣化大)】
分類:武器・長槍
等級:E
詳細:エスカ軍の基本支給装備。風雨により激しく劣化している。
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【エスカ軍式戦斧(劣化大)】
分類:武器・斧
等級:E
詳細:エスカ軍の支給装備。部隊長以上の兵士に支給された。風雨により激しく劣化している。
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【エスカ軍式軽鎧(劣化大)】
分類:防具・鎧
等級:E
詳細:エスカ軍の基本支給装備。身体の要所を守る構造になっている。風雨により激しく劣化している。
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【灰銅鉱】
分類:鉱石・金属
詳細:エスカ地方を中心に広い地方で採掘される鉱石。硬度は高くないが、加工がしやすい。
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【人骨(劣化大)】
分類:遺骸・骨
詳細:風雨にさらされひどく劣化した人の白骨
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壁に着くまでに手に入れたものは、長剣6本、小槍5本、長槍2本、戦斧1本、軽鎧7組、人骨7組に灰銅鉱がいくつかだった。
それぞれ長剣と同じで、ある程度量を集めれば元の状態のものを生成できるようだが、まだどれも十分な数は集まっていない。さらにそれぞれの物品は、そのままではまるで使い道がないガラクタばかりだ。収集物が増えるのはいいのだが、もっと別の有用なものが欲しいという思いが募る。
先ほど倒れていた場所からざっと一時間ちょっと歩いただろうか。いよいよ黒い壁の前にたどり着いたのだが、壁の正体は思っていたものと大きく異なっていた。黒い壁は石などの建材でできているのではなく、漆黒のガスのような気体で構成されていたのだ。
好奇心に負けてガスに触れてみるが、ちりちりとした痛みを感じてすぐに手を引っ込める。どう考えても直接触っていいことは起きないだろうが、目的のものを目の前にしてすごすごと帰るわけにもいかない。そこで全書を使って黒いガスを直接回収することにした。
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【瘴気】
分類:不明
詳細:特定条件下で発生する黒い気体。生物に対して強い毒性を持つ。
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全書を使ってみてもよくわからないが、瘴気を手に入れたことによって、ページの上に新たな文字が記される。
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【骨人形】を生成します
以下の物品を消費する必要があります
人骨(劣化大)140%/100%
瘴気 100%/100%
生成を行いますか?【はい/いいえ】
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【エスカ軍式長剣】の時とは、微妙に文章の内容が異なっている。今回は素材がそろっているようなので、とりあえず【はい】という文字に触れてみよう。
文字に触れるや否や、目の前の空間がまるで布を絞るようにねじれ、次の瞬間にはそこに直立する白骨体が立っていた。
直立不動のままの白骨体は当然のことながら何も身に着けておらず、手に持つ物もない。
――――――――――
【骨人形】
分類:外法遺骸・骨体
等級:D
権能:【自律】
詳細:魂核を動力として稼働する魔導人形。劣化した人骨を素材としているため、強度および出力は低いが、簡単な命令を解することができる。
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”魔導人形”というだけあり、この【骨人形】はなんと命令をすれば自動で行動ができるようだ。
試しに”歩け”と命令してみると、ゆっくりとだが確かに足を動かして、その場から前進を始めた。”止まれ”と命じるとやはりその場にピタリと止まり、”物を集めてこい”という命令をしたら近くに落ちていた木片(おそらく家屋に使われていたものだろう)を拾ってこちらまで持ってきた。だが、物を指定して拾ってこさせるなどはできないようで、命令をしても微動だにしない。
どうやら説明にあった『簡単な命令』というのから逸脱してしまうと動くことすらないようだ。
理屈は分かったが現状ではそれほど役にも立たないため、一度全書にしまっておくことにする。
さて、この全書を使ってできることは大体わかったが、今自分にできることはやはり周囲にあるものを集めることだけのようだ。何に急かされているわけでもないので、目につくものを片っ端から集めながら周囲の探索を進めていくとしよう。
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