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【赤い悪魔】死闘NO2 覚醒 宇宙最強の男

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凛太朗は不死鳥の血を飲んだ後、そのまま意識を失って夢を見た。
気が付くと宇宙船に乗船していた。船内に映し出されたモニターには青い水惑星が見える。
その時、「これからM27惑星奪還作戦を開始する。」と艦内放送が聞こえた。
俺は宇宙戦士の姿になり惑星を奪還するために宇宙揚陸艦に乗船していた。
そこで若い降下兵と短い会話をした。
「ねえ、小隊長、私は生きて帰る事が出来るかしら・・・」「ああ、大丈夫だ。この作戦から帰ったら飯でも奢るから俺に付いてこい」と俺は心にもない事を言って励ました。
その時の小刻みに震えている降下兵の少女の顔が、どうしても頭から離れなかった。
少女は俺に続いて降下したが、運悪く頭上で降下している彼女に敵のサイコビームにあたり紙屑の様に燃えるのが見えた。
だが、俺は彼女の死を悲しむ余裕もすらなく、目標地点に着地すると直ぐにバトルアーマー(battle armor:戦闘鎧)を戦闘型にチェンジしビッグホールと呼ばれる巨大な穴の内部を索敵した。
地下深くにある魔物達が築いた要塞を見つけるためだ。魔物の生命反応が複数確認出来た。
その穴にバトルアーマー搭載型の小型戦術核を数発打ち込んだ。
ビックホールに閃光があり地震が起きる。穴から煙が吹きあがり、それはキノコ雲になった。
それでも地下深くから物凄いスピードで上昇してくる反応がある。
バトルアーマーに装着している地上戦用のレーザーブレードの剣とオリハルコンの盾を取り出し身構えた。現れたのは魔獣化した巨大竜だ。
俺は巨大竜の首を目掛けてレーザーブレード(Laser blade:光剣)を振り下ろした。
**********
ここは格闘技の宇宙最強を決める巨大な闘技場だ。
俺は、これまでに全宇宙から選抜された猛者、5人倒し決勝戦に勝ち上がって来た。
次の対戦相手に勝てば使い捨ての様な揚陸兵から栄光のユニオンファイターのパイロットになる事ができる。試験管で生まれたクローンが、這い上がって人間として生きるために、決勝戦で勝利しなければならない。
ファイト(fight:戦え)というレフリー(refere:審判)の掛け声が聞こえた。
相手は電撃を得意とする最強の能力者だ。両手を突き出し強力な電撃を浴びせて来る。
俺は超能力で咄嗟に超人になり高速で電撃を避ける。
奴は電撃剣を作り出し瞬間移動で間合いに入って来た。
俺はサイコキネス( psychokinesis:念力)で、パワーの盾を作り辛うじて電撃を防ぐが、少なからずダメージを受ける。だが、間合いに不用意に入って来た事が奴の間違いだ。
パンチを強化しパワーの乗った強烈な打撃を連続して加える。
この攻撃で奴の力を削ぐ事ができた様に思うが、まだ、奴を倒す事は出来ない。
その後、烈しい超能力の応酬が続いた。闘技場の熱狂的な観衆が最高潮に盛り上がった頃、漸く奴に焦りが見えて来た。
奴は全宇宙に名を馳せた程の能力者だが、それが敗因だ。恐らく自分より強い者と戦った事が無かったに違いない。
だが、俺は、降下兵として最前線で戦って来た猛者だ。
この日の為に強い対戦相手を選んで戦い、力を付けて来たのが大きい。それは能力の底上げに繋がった。時間の経過と共に地力の差は歴然と現れた。奴も、それを悟ったに違いない。
奴は焦りから一撃必殺の落雷を幾つも俺を狙って落として来たが、そんな大技を喰らう、へまはしない。
俺は奴が大技を繰り出す隙を見てサイコキネスで奴の心臓を握り潰した。
「ワー、ワー、ワー」大観衆が喝采を上げた。
**********
そこは何処までも星が広がる宇宙の真っ只中だった。
凛太朗は、そこではユニオンファイターと呼ばれる最新鋭の宇宙戦闘機のパイロットだった。向かって来る無数の敵戦闘機とドックファイト(格闘戦)を繰り広げる。
友軍機から女性のパイロットが話掛けて来た。懐かしい声だ。
そうだ俺は彼女に惚れていた。
俺達は戦闘中であるのにも拘わらず、たわいもない会話をした。
その後、俺達は複数のミサイルを打ち込み魔戦艦と呼ばれる巨大戦闘艦に挑んだ。
だが、その戦闘の最中に彼女は突然、戦闘域に現れた巨大魔獣に機体を大破させられ宇宙の藻屑となった。
この戦闘が終わったら地球産のワインを飲みながら乾杯しようという約束は守れなかった。
**********
凛太朗は死の淵を彷徨っていた。
前世、前々世の彼方にあった記憶が走馬灯のように過(よぎ)った。
俺は嘗て、魔族と戦う事を運命付けられた宇宙戦士だった事を思い出す。そうだ、俺は宇宙最強の戦士だった。
俺は愛する人、守りたい人のために戦った。
前世で果たせなかった大切な人を今度こそ、裏切る事は許されない。

冥界の入り口から引き戻されて意識が戻る。赤い悪魔は驚いた表情を見せた。

『ウオー』

体の内部から滾る様なパワーが湧き出して来る。紅蓮の炎で焼爛れた皮膚がみるみる修復するのが分かる。
一瞬、凛太朗は死の世界で死神の顔を見た。だが、フェニックス、不死鳥の血が、宇宙最強の男の能力を持つ不死の戦士として凛太朗を蘇らせたのだ。

「ナンダ、コイツハ、ワガ、ホノオノケンノ、チカラヲウケテ、タチアガルトハ、キサマハナニモノダ・・・」

赤い悪魔は慌てて魔眼で凛太朗の能力のステータス (status:状態)を確認する。

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種族:人種 ジョブ:創造主の眷属 抗魔執行官 LV(レベル 戦闘力):不明 MP(マジックポイント 魔力):なし HP(ヒットポイント ダメージ):不明
剣技:二天一流(宮本武蔵)
 
【装備】 剣:妖刀村正を使える男 幻想銃

【超能力】サイコキネス(念力)・テレポート(瞬間移動)・アポート(物質化 召喚 造形)・未来予知・エレクトロキネシス(電気を操る)・イグニッション(火を操る)・フォトンキネシス(光を操る)・身体能力強化・その他

【ユニークスキル】神の実を食べた男・竜鬼の肝を喰らった男・不死鳥の血を飲んだ男 
LP(ラッキーポイント:幸運数値[∽・無限])
称号:最強の宇宙戦士
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「キサマ、カミノケンゾクナノカ・・・カワッタスキルヲモッテイルガ、ワレラノエサデシカナイ、ニンゲンノ、ノウリョクナド、ジギニヒトシイワ、ナラバワレラアクマノノウリョクヲミセヨウ・・・」

赤い悪魔が宣言した途端に幕を下ろした様に辺りが暗転し闇に包まれた。
悪魔は相手を支配する精神攻撃を仕掛けるつもりだ。
奴は何処かで気配を抑えながら様子を伺っているに違いない。
『そこか・・・いや、こっちか』凛太朗は気配を探った。
『心に侵入し恐怖心を引き出そうとしているのだ。』
暗闇に奴の赤い魔眼が現れた。俺は魔眼をガン見する。
『ならば敢えて、その攻撃を受けてやる。
さあ、俺の心に侵入し恐怖心を煽るがいい』

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