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第1章 「世界の半分をくれてやる」と言われて魔王と契約したらとんでもないことになったんですけど
6:ハーフ&ハーフ
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リナは異空間からバカでかい剣を呼び出して俺に襲いかかってきた。あまりに急すぎて反応が遅れるが、なんとか回避する。
「人殺しっ! 死になさい!」
「言ってることとやってることが真逆だろ!」
俺は拘束魔法でリナの足を地面に接着したが、彼女はそれを思いきり引き千切って剣を突き出してきた。その剣を分解魔法でバラバラにする。
「なんで私を転生させたのよ!」
「俺が選んだわけじゃない! お前がたまたまタイミングよく向こうの世界で死んだだけだ! 不幸だったと思って諦めろ!」
「この死体はなんなのよ!」
リナは叫びながら雷撃を飛ばしてくる。それを防御魔法の光陣で受け止める。こいつ、なかなか戦えるようだ。
「こいつが俺の親父を殺そうとしたんだ!」
「そうやって言い訳するのね! 最低!」
リナは手の中に光を集めた。マズい、破局魔法だ。
「こいつはシリウス! 魔王の手下だ!」
俺が叫ぶと、彼女は目を丸くした。
「へ? 魔王の手下?」
「そうだ。俺は親父を守るためにこいつを倒したんだよ」
リナはその場に尻餅を突いて、さめざめと涙を流した。ようやく落ち着いたか。彼女はシリウスの身体を見つめて、冷静に俺に問い掛けた。
「そのわりには綺麗な顔してるじゃない。死んでるんでしょ?」
なかなか鋭い奴だ。だが、魔王との契約のことは隠しておいた方がいいかもしれない。
「訳あって魔王軍にスパイとして潜り込んでるんだ。だから、今の段階でシリウスが死んだことが魔王にバレるのはマズい。それで、俺はこいつの身体を魔法で作ったんだが、魂の作り方が分からん」
「じゃ、魔王に訊けばいいのよ。行くわよ」
「は? なに言ってんだ?」
「私の前々世の記憶が確かなら、魔王は優秀な手下を自分の魔法で作ったのよ。だから、シリウスも魔王が作ったはず」
そう言って彼女はシリウスの身体をひょいと担ぎ上げ、「さ、案内して」と言いいながら勝手に歩き出した。こいつどんな切り替えの速さしてるんだ?
また面倒なことになってきたぞ……。
***
強引なリナのせいで魔王城の近くまで来てしまった。とりあえず、シリウスの身体を隠し、魔王城の玉座の間に向かった。
魔王が玉座から訝しそうにリナを見つめる。
「ん? 誰だ、この女は?」
「ええと、彼女は……」
「リナといいます。私、魔王様が大好きなんです!」
「ほう」
にやけるのを隠して魔王が相槌を打つ。
「だから、魔王様の手下にしてほしいなと思いまして!」
「人間の中にも理解のある奴がいるものだ。アーガイルよ、さすが私が世界の半分を与えた奴だ。こんな逸材を連れて来るとは」
リナの耳がピクリと動く。これはマズい。
「ねえ、ちょっと、どういうこと?」
リナが俺に小声で話しかけてきた。バレてしまったからには仕方ない。俺は洗いざらいを打ち明けてしまった。リナは小声で怒る。
「あんたバカじゃないの。なに契約してんのよ? 人間の敵ね」
「仕方ないだろ。魔王には勝てん」
リナは何かを閃いたようだった。小声で言う。
「世界の半分の半分を寄越しなさい。そしたら協力してあげる」
「はあ? ふざけんな。ポッと出のくせに」
「何を話している?」
魔王が怪しそうに俺たちを見る。俺は愛想笑いを返してリナを睨みつけた。彼女は小さな声で俺に脅迫めいたことを呟いた。
「断るなら、シリウスのことバラすよ」
「人殺しっ! 死になさい!」
「言ってることとやってることが真逆だろ!」
俺は拘束魔法でリナの足を地面に接着したが、彼女はそれを思いきり引き千切って剣を突き出してきた。その剣を分解魔法でバラバラにする。
「なんで私を転生させたのよ!」
「俺が選んだわけじゃない! お前がたまたまタイミングよく向こうの世界で死んだだけだ! 不幸だったと思って諦めろ!」
「この死体はなんなのよ!」
リナは叫びながら雷撃を飛ばしてくる。それを防御魔法の光陣で受け止める。こいつ、なかなか戦えるようだ。
「こいつが俺の親父を殺そうとしたんだ!」
「そうやって言い訳するのね! 最低!」
リナは手の中に光を集めた。マズい、破局魔法だ。
「こいつはシリウス! 魔王の手下だ!」
俺が叫ぶと、彼女は目を丸くした。
「へ? 魔王の手下?」
「そうだ。俺は親父を守るためにこいつを倒したんだよ」
リナはその場に尻餅を突いて、さめざめと涙を流した。ようやく落ち着いたか。彼女はシリウスの身体を見つめて、冷静に俺に問い掛けた。
「そのわりには綺麗な顔してるじゃない。死んでるんでしょ?」
なかなか鋭い奴だ。だが、魔王との契約のことは隠しておいた方がいいかもしれない。
「訳あって魔王軍にスパイとして潜り込んでるんだ。だから、今の段階でシリウスが死んだことが魔王にバレるのはマズい。それで、俺はこいつの身体を魔法で作ったんだが、魂の作り方が分からん」
「じゃ、魔王に訊けばいいのよ。行くわよ」
「は? なに言ってんだ?」
「私の前々世の記憶が確かなら、魔王は優秀な手下を自分の魔法で作ったのよ。だから、シリウスも魔王が作ったはず」
そう言って彼女はシリウスの身体をひょいと担ぎ上げ、「さ、案内して」と言いいながら勝手に歩き出した。こいつどんな切り替えの速さしてるんだ?
また面倒なことになってきたぞ……。
***
強引なリナのせいで魔王城の近くまで来てしまった。とりあえず、シリウスの身体を隠し、魔王城の玉座の間に向かった。
魔王が玉座から訝しそうにリナを見つめる。
「ん? 誰だ、この女は?」
「ええと、彼女は……」
「リナといいます。私、魔王様が大好きなんです!」
「ほう」
にやけるのを隠して魔王が相槌を打つ。
「だから、魔王様の手下にしてほしいなと思いまして!」
「人間の中にも理解のある奴がいるものだ。アーガイルよ、さすが私が世界の半分を与えた奴だ。こんな逸材を連れて来るとは」
リナの耳がピクリと動く。これはマズい。
「ねえ、ちょっと、どういうこと?」
リナが俺に小声で話しかけてきた。バレてしまったからには仕方ない。俺は洗いざらいを打ち明けてしまった。リナは小声で怒る。
「あんたバカじゃないの。なに契約してんのよ? 人間の敵ね」
「仕方ないだろ。魔王には勝てん」
リナは何かを閃いたようだった。小声で言う。
「世界の半分の半分を寄越しなさい。そしたら協力してあげる」
「はあ? ふざけんな。ポッと出のくせに」
「何を話している?」
魔王が怪しそうに俺たちを見る。俺は愛想笑いを返してリナを睨みつけた。彼女は小さな声で俺に脅迫めいたことを呟いた。
「断るなら、シリウスのことバラすよ」
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