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第1章 「世界の半分をくれてやる」と言われて魔王と契約したらとんでもないことになったんですけど
14:魔王vs魔王
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「どうすんの?!」彼方から迫る魔王の魔力の波の中でリナが叫んだ。「ここで魔王をぶっ倒せれば、あんたの懸念してることは一応解消できるんじゃないの?!」
リナの言う通りだった。第四魔王を見る。凄まじい力の持ち主だ。彼女の力を借りれば、俺は晴れて自由の身となるかもしれない。
「なに? アタシに戦えって?」彼女は笑った。「じゃあ、アタシに命令して。暴れたくて堪らないのよ、今」
魔王の魔力が接近してきていた。俺は意を決して叫んだ。
「やってくれ! 初っ端から全力で行け!」
「了解、マスター」
狂気に満ちた笑みを浮かべると、彼女のまわりに魔力の渦が発生する。その小さな身体がひび割れて、顕現した鈍色の巨体が現れる。曲がった角に女性らしいプロポーション。魔力でできた鎧が彼女を包み込んでいた。
「来た……!」
リナが叫んだ。城壁の外から魔王の小さな身体が飛来する。
第四魔王が片手を挙げると、城壁の周囲から雷を伴った光が迸って、破壊をもたらした。
「醜い姿をしおって──」
第四魔王の背後に巨大な鎌を持った魔王が立っていた。と思う間もなく、第四魔王の右腕が根元から弾け飛んだ。
「第四の四は、四流の四っ!!」
魔王の魔力が第四魔王を上空へ吹き飛ばした。そして、空中で大爆発を起こす。
「こんな所にいたのか、アーガイルよ」
爆発の轟音の中で魔王が微笑んでいた。俺は言葉を発することができなかった。
次の瞬間、魔王の周囲の地面から長い骨の腕が無数に突き出して、魔王を襲った。俺はリナの手を掴んで少し離れた場所に簡易転移魔法で飛んだ。
「感動的な再会の邪魔をするな」
魔王が言って、骨の腕がバラバラに砕け散った。自分が乗ってきた巨大な剣を振り下ろして第四魔王が大地を轟かせる。
魔王は軽く後退して斬撃を回避していた。第四魔王はやや痛手を受けていたが、余裕そうに笑い声を漏らす。
「アタシのマスターだぞ。お前のものじゃない」
魔王の魔力が爆発的に膨れ上がった。マズい気がする……!
突然現れた魔力の渦が第四魔王をズタズタに切り刻む。
「アーガイルは私のものだっ!」
魔王がその鎌で第四魔王の首を撥ねた。
第四魔王の巨体が音を立てて倒れる。
「奴の言葉は、どういうことだ──?」
魔王が俺との距離を一瞬でゼロにして、手のひらを俺の顔面に翳していた。
凄まじい衝撃が俺を襲った。否応なしに吹き飛ばされて、城の壁に叩きつけられた。俺を守ろうとしたリナが炎に包まれる。
「リナ!」
彼女を飲み込む炎を魔法で相殺して助け出す。
第四魔王の剣が魔王に高速で降りかかった。凄まじい衝撃波が辺りを包み込む。向こうで第四魔王が身体を再生している。
その剣撃をかわしていた魔王が上空から俺たちを睥睨していた。無言のままその手に星の輝きが現れて、膨れ上がる。この周辺ごと消し去る気だ。
その時、目にも止まらない速さで何かが魔王を貫いた。槍を手にしたエミリアだった。
魔王の手から星の輝きが天高く離れて行って、破滅の光で空と大地を照らした。
「エミリア!」
リナが走り出す。魔王が一瞬で傷を回復して、落下していくエミリアに狙いを定めた。命を命と思わないその眼光──。
「魔王っ!」俺は声を張り上げた。「第四魔王が逃げたぞっ!」
転移魔法で姿を消す第四魔王を指さした。魔王がその空間を謎の力で削り取ったが、遅かった。魔王が俺の目の前に瞬間移動する。その眼は怒りに燃えていた。
「回答次第ではこの場でお前を殺す」
「あ、あいつが魔王様を欺こうとしてウソを……」
そう答えるしかなかった。
魔王の魔力が急激に萎んで、その顔に笑顔が戻った。
「やっぱりそうか。心配したんだぞ」
「そ、そりゃあ、どうも……」
「お前は私のものなんだから、誰のものにもなっちゃいけないんだぞ」
リナの言う通りだった。第四魔王を見る。凄まじい力の持ち主だ。彼女の力を借りれば、俺は晴れて自由の身となるかもしれない。
「なに? アタシに戦えって?」彼女は笑った。「じゃあ、アタシに命令して。暴れたくて堪らないのよ、今」
魔王の魔力が接近してきていた。俺は意を決して叫んだ。
「やってくれ! 初っ端から全力で行け!」
「了解、マスター」
狂気に満ちた笑みを浮かべると、彼女のまわりに魔力の渦が発生する。その小さな身体がひび割れて、顕現した鈍色の巨体が現れる。曲がった角に女性らしいプロポーション。魔力でできた鎧が彼女を包み込んでいた。
「来た……!」
リナが叫んだ。城壁の外から魔王の小さな身体が飛来する。
第四魔王が片手を挙げると、城壁の周囲から雷を伴った光が迸って、破壊をもたらした。
「醜い姿をしおって──」
第四魔王の背後に巨大な鎌を持った魔王が立っていた。と思う間もなく、第四魔王の右腕が根元から弾け飛んだ。
「第四の四は、四流の四っ!!」
魔王の魔力が第四魔王を上空へ吹き飛ばした。そして、空中で大爆発を起こす。
「こんな所にいたのか、アーガイルよ」
爆発の轟音の中で魔王が微笑んでいた。俺は言葉を発することができなかった。
次の瞬間、魔王の周囲の地面から長い骨の腕が無数に突き出して、魔王を襲った。俺はリナの手を掴んで少し離れた場所に簡易転移魔法で飛んだ。
「感動的な再会の邪魔をするな」
魔王が言って、骨の腕がバラバラに砕け散った。自分が乗ってきた巨大な剣を振り下ろして第四魔王が大地を轟かせる。
魔王は軽く後退して斬撃を回避していた。第四魔王はやや痛手を受けていたが、余裕そうに笑い声を漏らす。
「アタシのマスターだぞ。お前のものじゃない」
魔王の魔力が爆発的に膨れ上がった。マズい気がする……!
突然現れた魔力の渦が第四魔王をズタズタに切り刻む。
「アーガイルは私のものだっ!」
魔王がその鎌で第四魔王の首を撥ねた。
第四魔王の巨体が音を立てて倒れる。
「奴の言葉は、どういうことだ──?」
魔王が俺との距離を一瞬でゼロにして、手のひらを俺の顔面に翳していた。
凄まじい衝撃が俺を襲った。否応なしに吹き飛ばされて、城の壁に叩きつけられた。俺を守ろうとしたリナが炎に包まれる。
「リナ!」
彼女を飲み込む炎を魔法で相殺して助け出す。
第四魔王の剣が魔王に高速で降りかかった。凄まじい衝撃波が辺りを包み込む。向こうで第四魔王が身体を再生している。
その剣撃をかわしていた魔王が上空から俺たちを睥睨していた。無言のままその手に星の輝きが現れて、膨れ上がる。この周辺ごと消し去る気だ。
その時、目にも止まらない速さで何かが魔王を貫いた。槍を手にしたエミリアだった。
魔王の手から星の輝きが天高く離れて行って、破滅の光で空と大地を照らした。
「エミリア!」
リナが走り出す。魔王が一瞬で傷を回復して、落下していくエミリアに狙いを定めた。命を命と思わないその眼光──。
「魔王っ!」俺は声を張り上げた。「第四魔王が逃げたぞっ!」
転移魔法で姿を消す第四魔王を指さした。魔王がその空間を謎の力で削り取ったが、遅かった。魔王が俺の目の前に瞬間移動する。その眼は怒りに燃えていた。
「回答次第ではこの場でお前を殺す」
「あ、あいつが魔王様を欺こうとしてウソを……」
そう答えるしかなかった。
魔王の魔力が急激に萎んで、その顔に笑顔が戻った。
「やっぱりそうか。心配したんだぞ」
「そ、そりゃあ、どうも……」
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