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第2章 いきなりロボットアニメみたいな世界に放り込まれたんですけど
5:謎の空隙
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さっき目覚めたのと同じベッドで、同じように目を覚ました。そのせいで、今がいつなのか分からなくなってしまったが、今度はベッドのまわりに司令と殯森が座っていた。
「お前さん、一体何者なんだぁ?」
訝しむというよりは、興味深そうに司令が訊いてくる。
「ええと、私はなんでここに……?」
司令と殯森が視線を交わす。
「ほら、やっぱり記憶がありませんよ」
司令は残念そうに頭を掻き毟る。そして、殯森に合図を送った。私の前にタブレットが差し出される。
建御名方と〝角の異獣〟の戦闘の様子を撮影した映像だった。
光が迸って、異獣が建御名方の腕を掴んで自身の方へ引き寄せようとする。抗うように建御名方が両手を突き出した。眩い光と共に壁のように光陣が現れて、異獣の腕が切断される。青い血が勢いよく流れ出す。
建御名方の足が異獣の胴体を捉えて、その巨体が吹き飛ばされる。空高く飛び上がった建御名方は、上空で異空間から光の剣を引きずり出して急降下し、異獣の脳天に深く突き刺した。
それで戦いは終わり、建御名方が膝を突いた。
「骨骼兵器にこんな力があるなんて、俺は聞いたことがねえ。何が起こった?」
「そんなことを言われても」
「憶えてねえ、か」
「手を突き出した辺りまでは憶えてます」
殯森が私のネックレスを私に差し出した。
「意識を失っても強く握ってた。大切なのね」
何も分からないままネックレスを受け取る。その時、病室のドアが開いた。制服の男だ。
「司令、米国から連絡が。さきほどの戦闘に関してです」
「できるだけはぐらかしといて」
「いえ……。もうこちらに向かっている、と」
司令の舌打ちが部屋の中に響いた。
***
待機していろ、と突っ込まれた部屋で大人しくしていると、私と共にヘリに載せられた少女が姿を現した。伏し目がちな視線が私を捉えて、すぐに床に向いた。私と距離を取った椅子に音もなく腰を下ろした。
「ドライバーの人、ですよね?」
私の問いに彼女は戸惑いながらうなずいた。
「身体の具合は大丈夫ですか?」
他人の気遣いなどできる状況じゃなかったが、目の前の少女の儚げな白い肌と無垢な黒髪が、私の心を疼かせた。
彼女が口を開こうとした時、廊下から慌ただしい足音が近づいてきた。
「お前か!」
銀色の長い髪に灰色の瞳の少女が私の目の前にズンズンと詰め寄って来て、私のスウェットの胸倉をグイっと捻り上げた。ネックレスが引っ張られて、思わず突き飛ばした。
「この場で殺してやるよ!」
少女は隠し持っていたナイフをギラつかせる。なんでこんなに好戦的なんだ?
彼女が私に飛び掛かろうという寸前で、入口にスーツを着たアメリカ人の男が現れた。
「プリシラ、慎みなさい」
プリシラと呼ばれた少女は彼を睨みつける。
「だって、こいつ敵なんでしょ?!」
「そうと決まったわけじゃない。彼女が我々の希望となるかもしれないんだ」
「こんな仏頂面が?!」
状況が飲み込めなかった。私の表情を察してか、男が口を開く。
「すまない。我々は米国の対異獣特務機関・アイギスだ。君と建御名方はこれから我々の管理下に置かれ、米国で詳細な調査を行う。プリシラが代理で日本を守ることになった」
プリシラは不満そうに鼻を鳴らした。
「一体どういうことですか。私は──」
「端的に言うと、君は異獣との関連を疑われている。本当にそうであれば、君は人類の敵だ」
「そんなこと言われても──!!」
司令が殯森を伴って姿を見せた。
その顔は悔しさに歪んでいて、私は途方に暮れた。
「お前さん、一体何者なんだぁ?」
訝しむというよりは、興味深そうに司令が訊いてくる。
「ええと、私はなんでここに……?」
司令と殯森が視線を交わす。
「ほら、やっぱり記憶がありませんよ」
司令は残念そうに頭を掻き毟る。そして、殯森に合図を送った。私の前にタブレットが差し出される。
建御名方と〝角の異獣〟の戦闘の様子を撮影した映像だった。
光が迸って、異獣が建御名方の腕を掴んで自身の方へ引き寄せようとする。抗うように建御名方が両手を突き出した。眩い光と共に壁のように光陣が現れて、異獣の腕が切断される。青い血が勢いよく流れ出す。
建御名方の足が異獣の胴体を捉えて、その巨体が吹き飛ばされる。空高く飛び上がった建御名方は、上空で異空間から光の剣を引きずり出して急降下し、異獣の脳天に深く突き刺した。
それで戦いは終わり、建御名方が膝を突いた。
「骨骼兵器にこんな力があるなんて、俺は聞いたことがねえ。何が起こった?」
「そんなことを言われても」
「憶えてねえ、か」
「手を突き出した辺りまでは憶えてます」
殯森が私のネックレスを私に差し出した。
「意識を失っても強く握ってた。大切なのね」
何も分からないままネックレスを受け取る。その時、病室のドアが開いた。制服の男だ。
「司令、米国から連絡が。さきほどの戦闘に関してです」
「できるだけはぐらかしといて」
「いえ……。もうこちらに向かっている、と」
司令の舌打ちが部屋の中に響いた。
***
待機していろ、と突っ込まれた部屋で大人しくしていると、私と共にヘリに載せられた少女が姿を現した。伏し目がちな視線が私を捉えて、すぐに床に向いた。私と距離を取った椅子に音もなく腰を下ろした。
「ドライバーの人、ですよね?」
私の問いに彼女は戸惑いながらうなずいた。
「身体の具合は大丈夫ですか?」
他人の気遣いなどできる状況じゃなかったが、目の前の少女の儚げな白い肌と無垢な黒髪が、私の心を疼かせた。
彼女が口を開こうとした時、廊下から慌ただしい足音が近づいてきた。
「お前か!」
銀色の長い髪に灰色の瞳の少女が私の目の前にズンズンと詰め寄って来て、私のスウェットの胸倉をグイっと捻り上げた。ネックレスが引っ張られて、思わず突き飛ばした。
「この場で殺してやるよ!」
少女は隠し持っていたナイフをギラつかせる。なんでこんなに好戦的なんだ?
彼女が私に飛び掛かろうという寸前で、入口にスーツを着たアメリカ人の男が現れた。
「プリシラ、慎みなさい」
プリシラと呼ばれた少女は彼を睨みつける。
「だって、こいつ敵なんでしょ?!」
「そうと決まったわけじゃない。彼女が我々の希望となるかもしれないんだ」
「こんな仏頂面が?!」
状況が飲み込めなかった。私の表情を察してか、男が口を開く。
「すまない。我々は米国の対異獣特務機関・アイギスだ。君と建御名方はこれから我々の管理下に置かれ、米国で詳細な調査を行う。プリシラが代理で日本を守ることになった」
プリシラは不満そうに鼻を鳴らした。
「一体どういうことですか。私は──」
「端的に言うと、君は異獣との関連を疑われている。本当にそうであれば、君は人類の敵だ」
「そんなこと言われても──!!」
司令が殯森を伴って姿を見せた。
その顔は悔しさに歪んでいて、私は途方に暮れた。
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