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第3章 この世界が思ってた以上にやばかったんですけど
幕間:聖都脱出
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~魔族の襲撃によって混乱に陥る聖都~
聖都の塔群から爆発音と黒煙が巻き上がる。聖教本部の執務室で各地の信徒たちからの報告書に目を通していたレヴィトは驚いて立ち上がり、窓の外の惨状に息を飲んだ。
──いったい何が……。
本部のほとんどの人間にとっても、聖都中心区にあるあの塔群は何があるのか分からない未知のエリアだった。四六時中、厳重な警備態勢が敷かれ、そこを通るには特殊な権限を持った者に限られた。
聖都の空に竜人の翼が舞っていた。そして、空を自在に駆ける者たち……レヴィトは直感する。
──魔族だ。
なぜ人は魔族と敵対するのかを考えるよりも先に執務室を飛び出して、みんなを避難させようと声を張り上げた。
「みんな、落ち着いて建物の外へ!」
声を上げながら廊下を駆けていたレヴィトの前に慌ただしい靴音が近づいてきた。曲がり角から現れたのは、汗だくのファレルだった。彼は足を滑らせ転び、それでも両手を使いながら獣のようにレヴィトのもとへ駆け寄ってくる。
「れっ、れ、れれれ……、レヴィト様ぁ!!」
「どうしたの、ファレル!」
いつもと違う、と言おうとして、レヴィトは思い留まった。ファレルはいつもこんな調子だ。
「たっ、た、たたた……、隊長が──!!」
「ファレル、落ち着いて。汗だくよ。何があったの?」
「隊長がみんなを……」
ファレルがそこまで言ったところで、階下から恐怖心を煽るような低い叫喚が響いてくる。
「聖女は執務室だ!」
階段の方から大勢の足音が駆け上がってくる。ファレルが怯えた表情でレヴィトを見つめる。
「レヴィト様、逃げましょう!」
ファレルがレヴィトの手を取って、足音で満たされたのとは別の階段の方へ走り出した。
「ファレル、何が──」
レヴィトはそう言いかけて、ファレルの手が震えていることに気づいた。よく見れば、黒い警護服にはところどころ血がついている。
ファレルと共に階段を駆け下りて廊下に躍り出ると、レヴィトはその惨状に口元を押さえて絶句してしまった。
血が流れていた。横たわる人々の中には、レヴィトの身の回りの世話をしてくれる者や剣を手にした聖都騎士隊の姿もある。レヴィトは息のない世話係たちのそばに駆け寄っていく。
「みんな起きて!」
「レヴィト様……! 見つかる前に逃げましょうよ……!」
「どうして……こんなことに……!」
「魔族が現れてから、隊長が──」
***
「魔族が現れました!」
聖都騎士隊の隊員が血相を変えて隊舎の詰め所に駆け込んできた。待機していた隊員たちが我先にと外に飛び出す。ファレルもその中のひとりだ。誰かが指さす空に竜人と二人の人影、聖都の塔群から立ち上る黒煙が見える。
「せ、聖都が……!」
数人が絶望的な表情を浮かべて項垂れている。ファレルは夢でも見ているような感覚に襲われつつも、レヴィトのいる聖教本部の建物に目をやった。
「やはりか」
聖都騎士隊の隊長ヴォネガンが重々しく口を開く。それに呼応するかのように彼の腰巾着たちが揃ってうなずいた。彼らは一斉にいつも携帯している警笛とは別の笛を取り出して思い切り吹いた。
ヴォネガンが彼の愛剣を抜く。
「聖女が魔族を引き入れたのだ。今こそあの女を討つ時だ」
「な、何を言って……!」
異論を唱えようとした隊員が前触れもなくひと太刀を浴びて、ヴォネガンの剣の露と消える。ファレルは身体が芯から震えて、言葉を失ってしまった。
「何をしてるんだ、あんた!」
何人かの隊員が隊長たちへ剣を向ける。
──逃げなきゃ……!
ファレルは青ざめた顔で身を翻した。背後から仲間たちの悲鳴が追いすがるように聞こえる中、ファレルはガクガクと震える膝を押さえながら走り出した。
しかし、その足は自然とレヴィトのいる聖教本部の方へ向かっていた。
***
「みんな、私を守るために……?」
目に涙を浮かべるレヴィトの腕を取って、ファレルは本部の建物の外へ飛び出す。
魔族の襲来は、聖女レヴィトを排除しようとする反聖女派とも呼ばれるベルヌ派にとっては渡りに船の出来事だったのだ。聖女が魔族と通じているとなれば、彼女を討つ大義ができる。つまり、聖都を守るべき聖都騎士隊の隊長が聖女を拝しようとする一派の者だったというわけだ。
ファレルの耳朶に、血塗られた廊下に静かに漂った仲間の最期の言葉が蘇る。
「レヴィト様を……守るんだ……」
口から流れた血に泡が浮いて虚しく弾けた。その言葉を残した男とは、訓練を共にした仲だった。ただでさえ苦手だった戦いのにおいを感じるたび、ファレルの脳裏にその姿がチラついて膝が笑ってしまう。
「みんなを手当てしないと……!」
レヴィトもまたパニックに陥っていた。切断された腕を拾い上げようとする彼女をファレルは泣きながら引っ張っていく。
「やめてください、レヴィト様! 死んでるんですよ、みんな!」
ハッとしたように目を丸くして、レヴィトはファレルの顔を見つめた。
孤児だったファレルにとっては、レヴィトはこの荒んだ世界における希望の星のようなものだった。「夢見がちだ」と揶揄されることもあるその瞳が見つめるものを、ファレルも見たかった。
「今は逃げることを最優先に考えて下さい!」
その声はレヴィトを正気に戻した。見る見るうちに彼女に落ち着きが戻っていく。
市街地との境にある門を目指そうとするファレルにレヴィトは言った。行く手から剣のぶつかり合う音が聞こえていた。
「この先に行けば、あなたの身も危ないわ、ファレル」
「じゃ、じゃあ、どうすれば……」
市街地は聖都を取り囲むように広がっている。聖女を追う者たちが二人を取り囲んでいるのは明白なことだった。
レヴィトは辺りを見渡して、今度はファレルの手を引いて進み始めた。
「外に通じる地下水路があったはず」
二人は身を低くして、死に追い立てられるように聖都の中でも古い建物が並ぶ旧都街へ向かって行った。
聖都の塔群から爆発音と黒煙が巻き上がる。聖教本部の執務室で各地の信徒たちからの報告書に目を通していたレヴィトは驚いて立ち上がり、窓の外の惨状に息を飲んだ。
──いったい何が……。
本部のほとんどの人間にとっても、聖都中心区にあるあの塔群は何があるのか分からない未知のエリアだった。四六時中、厳重な警備態勢が敷かれ、そこを通るには特殊な権限を持った者に限られた。
聖都の空に竜人の翼が舞っていた。そして、空を自在に駆ける者たち……レヴィトは直感する。
──魔族だ。
なぜ人は魔族と敵対するのかを考えるよりも先に執務室を飛び出して、みんなを避難させようと声を張り上げた。
「みんな、落ち着いて建物の外へ!」
声を上げながら廊下を駆けていたレヴィトの前に慌ただしい靴音が近づいてきた。曲がり角から現れたのは、汗だくのファレルだった。彼は足を滑らせ転び、それでも両手を使いながら獣のようにレヴィトのもとへ駆け寄ってくる。
「れっ、れ、れれれ……、レヴィト様ぁ!!」
「どうしたの、ファレル!」
いつもと違う、と言おうとして、レヴィトは思い留まった。ファレルはいつもこんな調子だ。
「たっ、た、たたた……、隊長が──!!」
「ファレル、落ち着いて。汗だくよ。何があったの?」
「隊長がみんなを……」
ファレルがそこまで言ったところで、階下から恐怖心を煽るような低い叫喚が響いてくる。
「聖女は執務室だ!」
階段の方から大勢の足音が駆け上がってくる。ファレルが怯えた表情でレヴィトを見つめる。
「レヴィト様、逃げましょう!」
ファレルがレヴィトの手を取って、足音で満たされたのとは別の階段の方へ走り出した。
「ファレル、何が──」
レヴィトはそう言いかけて、ファレルの手が震えていることに気づいた。よく見れば、黒い警護服にはところどころ血がついている。
ファレルと共に階段を駆け下りて廊下に躍り出ると、レヴィトはその惨状に口元を押さえて絶句してしまった。
血が流れていた。横たわる人々の中には、レヴィトの身の回りの世話をしてくれる者や剣を手にした聖都騎士隊の姿もある。レヴィトは息のない世話係たちのそばに駆け寄っていく。
「みんな起きて!」
「レヴィト様……! 見つかる前に逃げましょうよ……!」
「どうして……こんなことに……!」
「魔族が現れてから、隊長が──」
***
「魔族が現れました!」
聖都騎士隊の隊員が血相を変えて隊舎の詰め所に駆け込んできた。待機していた隊員たちが我先にと外に飛び出す。ファレルもその中のひとりだ。誰かが指さす空に竜人と二人の人影、聖都の塔群から立ち上る黒煙が見える。
「せ、聖都が……!」
数人が絶望的な表情を浮かべて項垂れている。ファレルは夢でも見ているような感覚に襲われつつも、レヴィトのいる聖教本部の建物に目をやった。
「やはりか」
聖都騎士隊の隊長ヴォネガンが重々しく口を開く。それに呼応するかのように彼の腰巾着たちが揃ってうなずいた。彼らは一斉にいつも携帯している警笛とは別の笛を取り出して思い切り吹いた。
ヴォネガンが彼の愛剣を抜く。
「聖女が魔族を引き入れたのだ。今こそあの女を討つ時だ」
「な、何を言って……!」
異論を唱えようとした隊員が前触れもなくひと太刀を浴びて、ヴォネガンの剣の露と消える。ファレルは身体が芯から震えて、言葉を失ってしまった。
「何をしてるんだ、あんた!」
何人かの隊員が隊長たちへ剣を向ける。
──逃げなきゃ……!
ファレルは青ざめた顔で身を翻した。背後から仲間たちの悲鳴が追いすがるように聞こえる中、ファレルはガクガクと震える膝を押さえながら走り出した。
しかし、その足は自然とレヴィトのいる聖教本部の方へ向かっていた。
***
「みんな、私を守るために……?」
目に涙を浮かべるレヴィトの腕を取って、ファレルは本部の建物の外へ飛び出す。
魔族の襲来は、聖女レヴィトを排除しようとする反聖女派とも呼ばれるベルヌ派にとっては渡りに船の出来事だったのだ。聖女が魔族と通じているとなれば、彼女を討つ大義ができる。つまり、聖都を守るべき聖都騎士隊の隊長が聖女を拝しようとする一派の者だったというわけだ。
ファレルの耳朶に、血塗られた廊下に静かに漂った仲間の最期の言葉が蘇る。
「レヴィト様を……守るんだ……」
口から流れた血に泡が浮いて虚しく弾けた。その言葉を残した男とは、訓練を共にした仲だった。ただでさえ苦手だった戦いのにおいを感じるたび、ファレルの脳裏にその姿がチラついて膝が笑ってしまう。
「みんなを手当てしないと……!」
レヴィトもまたパニックに陥っていた。切断された腕を拾い上げようとする彼女をファレルは泣きながら引っ張っていく。
「やめてください、レヴィト様! 死んでるんですよ、みんな!」
ハッとしたように目を丸くして、レヴィトはファレルの顔を見つめた。
孤児だったファレルにとっては、レヴィトはこの荒んだ世界における希望の星のようなものだった。「夢見がちだ」と揶揄されることもあるその瞳が見つめるものを、ファレルも見たかった。
「今は逃げることを最優先に考えて下さい!」
その声はレヴィトを正気に戻した。見る見るうちに彼女に落ち着きが戻っていく。
市街地との境にある門を目指そうとするファレルにレヴィトは言った。行く手から剣のぶつかり合う音が聞こえていた。
「この先に行けば、あなたの身も危ないわ、ファレル」
「じゃ、じゃあ、どうすれば……」
市街地は聖都を取り囲むように広がっている。聖女を追う者たちが二人を取り囲んでいるのは明白なことだった。
レヴィトは辺りを見渡して、今度はファレルの手を引いて進み始めた。
「外に通じる地下水路があったはず」
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