前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

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出頭要請

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 水汲みから戻ると、どういう訳だかクロスビーさんが待っており一枚の書類を二人に見せてこう言った。

「お二人に、ギルド本部へ出頭要請が来ました!」

 書類にはギルド本部長の署名と出頭の旨だけ書かれていた。

「何これ」
(めんどくさい……)

 よっぼど嫌な顔をしていたのか、横に居たティナに突っつかれる。

 ティナがフォローする様に、内容の意図をクロスビーさんに聞いた。

「いや、私もこう言った事は初めてで良く状況を把握して無いんですが、恐らくこの間のスキル関係の事じゃ無いのかと……」

 頭を掻きながら困惑顔のクロスビー。

「え?だって派遣の人が来て、とか言ってませんでした?」
 
 極力自分が動いたりするのが嫌なマサキは、ささやかな抵抗を試みる。

「ええ……いつもならそういった手続きで済む筈なんですけど……」
(だったらそうなるようにしてくれよ……)

「でも急になんで?」とティナが言葉を挟んだ。

「私も本店でどうなっているのかよく分からなくて……やった事と言えばスキル申請と、民間払い下げのモアにライセンスが必要なのか?と云う事を投げ掛けただけですので…」
(仕事はちゃんとしたって事か。)

「で、出頭日は?」
  
 渋々マサキはその内容の情報を聞く。

「急なのですが……明後日になってますね。」

「明後日!!」
ティナとマサキは大きな声でハモった。


 クロスビーさんがギルドに戻り二人は食卓についている。

「……………………」

「……………………」

 何となく重苦しい沈黙を破ってティナが話を始めた。

「マサキ、めんどくさいとか思ってるでしょ。」

「そらそーだよ!行くのめんどくさいよ!元々は向こうから来るって言ってたのに。しかも明後日って……用事があるならそっちから来いや~!て感じだわ。」

「まぁ、マサキの気持ちも解るけどさ、行かないともっと面倒な事になっちゃうよ。」

「雰囲気で何となくそれは解ってるけど…こっちの予定とかもあるじゃん。」
(マジ行きたくねぇ……めんどくせぇ……)

「そうなんだよね……」

「てかさ、ギルド本部あるとこってどこ?遠いの?」

「ギルド本部はローズって言う名前で、ここからモアに乗って普通に行くと1日かかかるよ。すっごく大きな街だよ。」

 マサキは溜息を吐いて、ポケットから煙草を取り出して吸い始める。その動きに合わせてティナは石で出来た灰皿を前に出してくれた。

「さんきゅ。一日かかるって事は明日には出発しないとダメじゃん。支度とかモアの手配とかもあるし、何よりティナは納品があるだろ?」
(うわ……自分で言ってて、やる事沢山で余計ヤル気無くなったわ……)

「それなんだよね……じゃ、今日迄にできた分を今晩納品して、帰りにギルドよったらどうかな?」

「いや、まぁ……それでも良いけど……」
(何かバタバタし過ぎて聞きたい事もままならないし、魔法の練習も井戸掘りも途中だし……)

「つーか、やっぱり行かんとダメ?」

「ダメ!(ビシッ)」

「でもさ、井戸掘りとか途中でどうすんの?まだ始めたばっかなのに、俺の魔法もイマイチだし……」
 考え付いた事をそのまま言って抵抗するマサキ。

「井戸掘りはそんなに直ぐには終わらないんでしょ?それに、もうイマジナリーが使えるんだから問題無いと思うけど。」
 簡単そうに言うティナ。

「いやいや……井戸掘りはそうなんだけど、イマジナリーなぁ……怪しいもんだぞ………だって俺じゃん?」
(確かに実包を作り出せた。けど魔力消費が酷いってのもあるし、何より射撃訓練もしたいのに…)

「大丈夫でしょ!」
 ティナは屈託のない笑顔でそう言った

(俺自身が不安だわ………自分が、自分の能力を一番信用出来んもん(笑)


 何となく急な事ではあったが話がまとまり、各々、今できる事をやっている。ティナはハーヴィーに納品の為のお香を大急ぎで作り、マサキはもしもの時の為に実包を、休憩を挟みながら魔法で作っていた。

 アルフレッドさんの書き残した資料を見て思い付いた事があった。今までは元々あるフルメタルジャケットの弾を見本として造っていたのだが、資料には、他にも何種類かの弾頭が記されていた。

「ホローポイントって、確か人道的にどうのって聞いた事あるけど…魔物相手なら関係無いから作っとくか。後、躊躇無く人を撃てる様に非致死性弾も作っとかないとなぁ……」
そう独り言を言って、黙々と実包を造り出して行くのであった。

  まだ魔法にも慣れていないので、弾頭部に凹みだけ有る比較的簡単に出来そうなスーパーXホローソフトポイントを十発程造り、非致死性弾も十五発作った。
「ゴム弾とかっても、ゴムはイメージ出来るけど素材構成が解らんよなぁ……だったらスライムの硬いイメージでできるかな?」と、何とも安直なイメージで非致死性弾が出来た。

(試し撃ちも出来んわ……)

 敵と遭遇した時、一番の問題となるのがリロードだ。オートマチックよりも遥かに装弾数の少ないリボルバーなので、どうしようかとアレコレ考えるも思い付かなかった。

(クイックローダーも良いんだけど、アレは作るのがめんどくさい。それに弾の種類を替えるには、全部出さないと行けなくなるし……)

 と、そこまで考えて思い出したのがクリップである。実包の底にあるリムに、薄い板を引っ掛けて保持する物だ。
(コレなら簡単に造れるし三発用と二発用に分けれる。)

「魔法でリロードとか出来ないもんなのかな?」
 そんな事を思うマサキであったが、ティナの言葉を思いだす。

「戦う時意外はなるべく魔法を使わない様に…」

(う~ん……実際、リロードも戦ってる時なんだろうけど、何回もリロードして魔力切れとか、実包造れなくなったとかじゃシャレにならんしなぁ……)

そう思い、魔法を使ってのリロードは諦める。

 水汲みから帰って、話し合いの後からずっと「弾造り」をしていた為、かなり魔力消費が激しかった。

 マサキは部屋から出て、ティナが作業しているリビングに向かうと、納品の準備をしているティナがこちらに気付き「そろそろ行こう?」と言ってきた。

「ああ。そうだな。」
若干の魔力切れを起こしているマサキはローテンションである。

「大丈夫?疲れてるんだったら私一人で行ってくるけど……」
と気遣いながらも寂しそうな顔をするティナ。

「いや、もう遅いから俺も着いてくよ。」
 マサキがそう言うと、パァっと笑顔になり張り切りながら荷物を抱えドアに向かった。

「チャっと済ませてチャっと帰ってこようね!」


 辺りは既に薄暗くなり始めていた。

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