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ミッションスタート?
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漸く会議が終わり本番の時間だ!(俺にとっては)
ティナは女子隊員達と珍しくお洒落(笑)をして来た、今日のコーディネートについて会話に花が咲いてるみたいだった。
「クラタナさん……」
何となく憔悴しているスチュアートが話しかけて来た。
「お、待ってました!言ったからには俺の「お気に入り」探して貰っちゃうぞぃ!」
(会議中に、ある程度お気に入りを脳内シュミレートしたからバッチリだ!)
「なんて言うか、元気ですよね。」
「え?何で?普通元気になる所じゃないの?ここは!あ、別の所も元気になって来たけどさwww」
「はぁ~……クラタナさん、もう貴方は国の要人の立ち位置に居るんですよ?その事を理解してますか?」
少し間を置いてマサキが口を開いた。
「要人とか……言ってる意味は解るけど…………逆に聞くけど、今から俺の右腕になれ!って言ったら君も要人の括りになるんだけど、それでスチュアートは納得出来たり、簡単に現在の役割を変える事ってできる?」
「そ、それは、急に言われても……命令とあらば仕方ないのですが……」
スチュアートは、眼を伏せて口篭りながら、苦虫を噛んだ様になってしまった。
「ですよねぇ……それだよ。はい!この話は終わり!俺のお気に入りオーダー聞き逃すなよ!聴き逃したら次の訓練は全力で駆逐するぞ!」
パンと手を叩き、マサキは無理やり話題を変えるようにニヤケ顔で話を続けた。
「り、了解であります!」
スチュアートはその言葉に呼応したのだが、スミスとアクセルは先程の話と訓練映像のダブルパンチで殆ど廃人と化したように生気が抜けている。
「おーい!スミスー!アクセルー!聞いてるかー!」
そんな様子を見て、マサキは極力おどけて目の前で手を振ってみるが反応が薄い。
「そのままで居ると、お前らの存在価値も薄くなっちゃうぞ~!」
その瞬間、ビクッと二人は反応を見せたが、依然自信喪失の穴からは戻って来れないようだった。
「ブフォ!ちょ、クラタナさん!余りいじめてやらんでくださいよ!」
吹きながら慌ててスチュアートは間に入って止める。
(吹くなし!この人も結構大概だよなぁ~……それだから副隊長を任されたんだろう……)
「うん。なら話は真面目に聞こうな!」
(まぁ、二人の気持ちは解る……今迄狩る方だったのが、一瞬で狩られる方に立場が変わったんだから、しかもそれを理解してるからしんどいのはしんどいだろうなぁ……今、俺が変にフォローした所で逆効果になるだろうし……)
「もうスチュアートで良いから、取り敢えず俺の好みを聞いてくれよ……」
そして一時間が経ち、話は纏まった。
後半はスミス、アクセルも大分持ち直して会話に乗る様になっていた。
「では、ミッションスタートと行きますか!」
男性隊員達は何やら三人、眼で合図を送り、意思疎通をして行動に移すらしい。
(ずっと疑問だったけど、物って、「本」だよね?)
敢えて野暮な事は聞かなかったのだが、これが後々の間違いの元であった。
「取り敢えずは一旦解散という事で!クラタナさん任せて下さい!(サムアップ)」
とスチュアートが場を開いた。
「おうよ!楽しみにしてるぞ!(サムアップ)」
こちらがお開きになった所で、部屋の端で談笑しているティナに声を掛けた。
「ティナ~!帰るぞ~!」
「あ、うん解った!」
「うん、じゃぁまたねぇ~!ばい~!」
遠くからティナ達の一部始終を見て思った。
(JKかよっ!ノリがまんまJKだよっ!君達見た目もJKだよっ!とは言え、何か新鮮だよな、今迄って同じ歳位の友達とか居なかったもんなぁ。こんなシチュを見られる日が来ようとは……まぁ、アレが本当の年相応ってのかも知れんなぁ……)
「お待たせ~!」
と女性隊員達と別れたティナが来て、ティナ越しに隊員達が会釈をしていたのでマサキは照れ臭そうに手を挙げて、それに応じた。
「話の腰折って悪かったな。」
「いや、また直ぐに会えるし大丈~夫!そうそう、マサキのこのコーディネート、評判良かったよぉ~!」
スカートの裾を手で少し上げて、ティナは嬉しそうにクルッと回った。
(おいおい!勢いよく回ると、パンツ見えてしまいますぞ!おぜうさん!俺的にはグッジョブだが。)
「まじで?(視線は下で)あんま考え無しに選んだんだけどなぁ……もし良かったら休みの日さぁ、またあいつらと買い物とかしてくれば?今迄こういう機会って余り無かっただろ?」
「ん~……ま、それは追追ね!取り敢えずそれはそれ、コレはコレだもん。それとも、私とじゃ練習したくないの?」
(ズイっと寄って来られると色々「圧」を感じますぞ!色々と……)
「そう云う訳じゃ無いけど、遊びに行くんだったら行きたいって言えば良いよって事だ。」
(ニットの破壊力ヤバいわ……)
「うん、解った。そうしたくなった時は言うね!」
時間が時間だからなのか、教導隊のある館は人も疎らで人影も少ないのだが、会う人会う人見知らぬ人から会釈をされる。
(何この状況は……何で知らん人から会釈されてんだ?)
「ところで、晩飯は外で食べて帰るか?」
高い天井の長い廊下を歩き、受付の巨乳のオネーサンに挨拶をしてギルドの外に出ると既に空は薄暗くなっており、魔石を使った屋台の裸電球が通りを照らしていた。
幸いまだ早い時間なので、何処の店も賑わっていて宛ら(さながら)お祭り気分である。
「うん!そうしよ!」
ティナは早速物色モードに入り、何処の店にしようかとテンションが上がったのも相まって挙動不審になった。
(キョロキョロし過ぎだよ……あれじゃ迷子になるぞ……)
人がゴミ……いや、人混みで、はぐれないように咄嗟にティナの手を掴み話し掛ける。
「つーかさ、お金大丈夫なの?俺、全くお金の事には関与してないから解らないんだけど……てか、凄い人だなぁ……迷子になるなよ!」
「わ、解ってるって!お金の方はまぁ、大丈夫……かな?何よ今更……あ、何か買いたい物とか欲しい物あった?」
何と無く頬を染めながら一層挙動不審になるティナがそう答えた。
「いや、そう云うのじゃ無いんだけど、向こうでも俺って居候じゃん?ニートだし。」
(ん?棒に肉が巻いてある。コッチの肉ってなんなんだろう?牛とか豚って居るのか?)
「ぶふぉっ!そんなに開き直られて言われても……ホント今更何を言ってるのよ?でも居候とかニートとか言っててもさ、実際、硬竹の採取クエスト関連の報酬とかあったから、マイナスな訳じゃ無いんだよ。治安的な意味で危ないから、手持ちはそんなに持たないけど、足りない時はこっちのギルドでも下ろせるし。うん。報酬の残りを預けてる時マサキもいたでしょ?忘れちゃった?」
(あ、また馬鹿な子見る様な眼で見られてる……)
「あ。うん。一応憶えてる。特に経済的に心配が無いならそれで良いや。特に欲しい物とかって、タバコ位だし。」
「まぁ、その位ならねぇ。マサキの取り分も一緒にしちゃったからさぁ……ソレこそ一緒にしちゃって良かったのかなぁ?とか思ったけど。」
少し俯いて歩みが遅くなった。
「クエスト報酬はあれで良いんだよ、どっちにしろ貨幣価値の基準が俺には解らんし……それもあって大丈夫かなって思っただけだから。それに俺が現金持ってると、何か騙されて変な物買っちゃいそうだからなぁ(笑)」
「もしそうなったら、それはそれで勉強したって事で……ぷぷぷ……」
「厳しいなぁ~それは……(笑)」
(言うようになったなぁ……)
ティナは相変わらずキョロキョロと店を探して居るのだが、如何せん背が低い為に人影に遮られ、よく見えないようだった。そんな姿をぼんやり見ていると、出逢った頃の事をマサキは思い出していた。
(ティナって、いつもなんか探してるイメージ強いよなぁ……)
「マサキは何か食べたい物あるの?」
「ん~……ピザ?……とか?」
「ほう!ピザとな!良いんじゃない?ならピザ屋探すね!」
(何人だよ……いつの人間だよ……平安時代かよ……)
知らない夜の街を迷子になりながら暫く歩くと、やっとピザ屋を見つけたので、砂漠でオアシスを見付けたかの如く、そこに飛び込んで結局36cmのピザを三枚、二人で平らげてしまった。
(三枚目は流石にキツかったっす……)
そして、帰りも自分等の位置が解らず、延々歩いてどうにかホテルに辿り着いた頃、既に時間は二十二時過ぎであった。
ホテルに着くと何故かロビーのソファーでスチュアートが待っていた。
「あれ?どうしたの?」
「おかえりなさいませ、あれから今まで?」
俺の顔を見るなり直ぐ様ソファーから立ち上がり、少し驚いたようにスチュアートが言った。
「うん。晩飯はピザにしようってなったんだけど、中々ピザ屋が見つからなくてさ……迷った迷った!で、帰りも何処なんだか解らなくてやっと帰ってきたって所だよ!」
「うんうん!」とティナも同意している。
「そうだったんですか、ピザ屋なら向かいの三軒隣がそうだったんですが……」
とスチュアートは窓の外を指さした。
「えっ!?」とマサキとティナは窓に駆け寄って確認すると、紛うことなきピザ屋の看板がぶら下がっていた。
「マサキ……あの苦労は……」
ティナはその場にへたりこんでしまう。
「皆迄言う無い……一気に疲れた……で、スチュアートはこんな所で何してたの?」
立ち話も疲れるのでスチュアートが座っていた横のソファーに腰を下ろし、タバコに火をつけた。
「火急の用事であります!」
チラッ!
「どしたの?畏(かしこ)まっちゃって。てかスチュアートも座れば?」
(やっぱ座るとM500って邪魔だわ……ちょっと外そ。)
マサキはおもむろにガンベルトを外して横のテーブルに置いた。
「失礼します。」とスチュアートもマサキに習い、腰を降ろして話を続けた。
「緊急の用件に伴い、一度ギルドへと云う命令でしたのでお迎えに上がりました。」
チラッ!
「え?今から?ヤダよ~。またギルド行くなんて……明日で良いじゃん…どうせ明日も行くんじゃん?」
「命令ですので御足労をお掛けしますが……」
チラッ!
と言葉の上では申し訳無さそうな体を繕ってはいるが、全く本来の意味の雰囲気は伝わってはこなかった。
(話を聞け~!)
先程迄へたりこんでいたティナが、いつの間にか横に来て会話に加わり
「マサキ、行ってあげたら?こんな事してるとスチュアートさんも帰れなくなるんだよ。」
と、全くの正論を言われてぐうの音も出ないマサキである。
「解った解った……行きゃ良いんじゃん?行きますとも!」
大きいため息と共にタバコの煙を吐き出して、仕方が無いと言わんばかりにソファーから立ち上がった。
「ティナさん助かりました。緊急を要する内容で、今晩はクラタナさんが戻れるか解りません。呉々もお気を付け下さい。一人護衛をロビーに置いて行きますので、何かあれば伝えて下さい。」
立ち上がりボーッ……っとスチュアートとティナのやり取りを見ていたマサキであったが、危機感と云うよりも、なにか事が強引に運ばれている様な気がしてならなかった。
「わ、分かりました。何か危ない事とかじゃ無いんですか?」
護衛を置いて行くと言われた所で、只事じゃ無いと感じ取ったのか、ティナは少し緊張気味にスチュアートに質問した。
「禁則事項なので自分からは何とも……申し訳有りません。」
「解りました。」
ティナも、ある程度はスチュアートの立場を理解していた為、それ以上は追求せず納得していた。
「明日は恐らく、クラタナさんもお疲れだと思いますので休日にするとの事です。」
「了解しました。」
一瞬、何かを聞きたそうな素振りを見せたが、スチュアートの返答を悟ったのか、何も言わず目を伏せながらマサキの方に視線を移した。
「では、クラタナさん参りましょう!」
「じゃティナ、行ってくるわ戸締りキチンとな!あ、それと……」と近くに寄ってティナの手にM360を手渡した。
「使わんに越したことないけど、これの使い方は解るな。今は殺傷能力の低いエセスライム弾を装填して有るけど、実弾も保険で渡しておく。撃つ時は迷うなよ!」
マサキはそう言うと、ポンポンとティナの頭を叩いてスチュアートと共に外に出ていった。
ティナは一抹の不安を感じながら、後ろ姿を見送る他術は無かったのであった。
ティナは女子隊員達と珍しくお洒落(笑)をして来た、今日のコーディネートについて会話に花が咲いてるみたいだった。
「クラタナさん……」
何となく憔悴しているスチュアートが話しかけて来た。
「お、待ってました!言ったからには俺の「お気に入り」探して貰っちゃうぞぃ!」
(会議中に、ある程度お気に入りを脳内シュミレートしたからバッチリだ!)
「なんて言うか、元気ですよね。」
「え?何で?普通元気になる所じゃないの?ここは!あ、別の所も元気になって来たけどさwww」
「はぁ~……クラタナさん、もう貴方は国の要人の立ち位置に居るんですよ?その事を理解してますか?」
少し間を置いてマサキが口を開いた。
「要人とか……言ってる意味は解るけど…………逆に聞くけど、今から俺の右腕になれ!って言ったら君も要人の括りになるんだけど、それでスチュアートは納得出来たり、簡単に現在の役割を変える事ってできる?」
「そ、それは、急に言われても……命令とあらば仕方ないのですが……」
スチュアートは、眼を伏せて口篭りながら、苦虫を噛んだ様になってしまった。
「ですよねぇ……それだよ。はい!この話は終わり!俺のお気に入りオーダー聞き逃すなよ!聴き逃したら次の訓練は全力で駆逐するぞ!」
パンと手を叩き、マサキは無理やり話題を変えるようにニヤケ顔で話を続けた。
「り、了解であります!」
スチュアートはその言葉に呼応したのだが、スミスとアクセルは先程の話と訓練映像のダブルパンチで殆ど廃人と化したように生気が抜けている。
「おーい!スミスー!アクセルー!聞いてるかー!」
そんな様子を見て、マサキは極力おどけて目の前で手を振ってみるが反応が薄い。
「そのままで居ると、お前らの存在価値も薄くなっちゃうぞ~!」
その瞬間、ビクッと二人は反応を見せたが、依然自信喪失の穴からは戻って来れないようだった。
「ブフォ!ちょ、クラタナさん!余りいじめてやらんでくださいよ!」
吹きながら慌ててスチュアートは間に入って止める。
(吹くなし!この人も結構大概だよなぁ~……それだから副隊長を任されたんだろう……)
「うん。なら話は真面目に聞こうな!」
(まぁ、二人の気持ちは解る……今迄狩る方だったのが、一瞬で狩られる方に立場が変わったんだから、しかもそれを理解してるからしんどいのはしんどいだろうなぁ……今、俺が変にフォローした所で逆効果になるだろうし……)
「もうスチュアートで良いから、取り敢えず俺の好みを聞いてくれよ……」
そして一時間が経ち、話は纏まった。
後半はスミス、アクセルも大分持ち直して会話に乗る様になっていた。
「では、ミッションスタートと行きますか!」
男性隊員達は何やら三人、眼で合図を送り、意思疎通をして行動に移すらしい。
(ずっと疑問だったけど、物って、「本」だよね?)
敢えて野暮な事は聞かなかったのだが、これが後々の間違いの元であった。
「取り敢えずは一旦解散という事で!クラタナさん任せて下さい!(サムアップ)」
とスチュアートが場を開いた。
「おうよ!楽しみにしてるぞ!(サムアップ)」
こちらがお開きになった所で、部屋の端で談笑しているティナに声を掛けた。
「ティナ~!帰るぞ~!」
「あ、うん解った!」
「うん、じゃぁまたねぇ~!ばい~!」
遠くからティナ達の一部始終を見て思った。
(JKかよっ!ノリがまんまJKだよっ!君達見た目もJKだよっ!とは言え、何か新鮮だよな、今迄って同じ歳位の友達とか居なかったもんなぁ。こんなシチュを見られる日が来ようとは……まぁ、アレが本当の年相応ってのかも知れんなぁ……)
「お待たせ~!」
と女性隊員達と別れたティナが来て、ティナ越しに隊員達が会釈をしていたのでマサキは照れ臭そうに手を挙げて、それに応じた。
「話の腰折って悪かったな。」
「いや、また直ぐに会えるし大丈~夫!そうそう、マサキのこのコーディネート、評判良かったよぉ~!」
スカートの裾を手で少し上げて、ティナは嬉しそうにクルッと回った。
(おいおい!勢いよく回ると、パンツ見えてしまいますぞ!おぜうさん!俺的にはグッジョブだが。)
「まじで?(視線は下で)あんま考え無しに選んだんだけどなぁ……もし良かったら休みの日さぁ、またあいつらと買い物とかしてくれば?今迄こういう機会って余り無かっただろ?」
「ん~……ま、それは追追ね!取り敢えずそれはそれ、コレはコレだもん。それとも、私とじゃ練習したくないの?」
(ズイっと寄って来られると色々「圧」を感じますぞ!色々と……)
「そう云う訳じゃ無いけど、遊びに行くんだったら行きたいって言えば良いよって事だ。」
(ニットの破壊力ヤバいわ……)
「うん、解った。そうしたくなった時は言うね!」
時間が時間だからなのか、教導隊のある館は人も疎らで人影も少ないのだが、会う人会う人見知らぬ人から会釈をされる。
(何この状況は……何で知らん人から会釈されてんだ?)
「ところで、晩飯は外で食べて帰るか?」
高い天井の長い廊下を歩き、受付の巨乳のオネーサンに挨拶をしてギルドの外に出ると既に空は薄暗くなっており、魔石を使った屋台の裸電球が通りを照らしていた。
幸いまだ早い時間なので、何処の店も賑わっていて宛ら(さながら)お祭り気分である。
「うん!そうしよ!」
ティナは早速物色モードに入り、何処の店にしようかとテンションが上がったのも相まって挙動不審になった。
(キョロキョロし過ぎだよ……あれじゃ迷子になるぞ……)
人がゴミ……いや、人混みで、はぐれないように咄嗟にティナの手を掴み話し掛ける。
「つーかさ、お金大丈夫なの?俺、全くお金の事には関与してないから解らないんだけど……てか、凄い人だなぁ……迷子になるなよ!」
「わ、解ってるって!お金の方はまぁ、大丈夫……かな?何よ今更……あ、何か買いたい物とか欲しい物あった?」
何と無く頬を染めながら一層挙動不審になるティナがそう答えた。
「いや、そう云うのじゃ無いんだけど、向こうでも俺って居候じゃん?ニートだし。」
(ん?棒に肉が巻いてある。コッチの肉ってなんなんだろう?牛とか豚って居るのか?)
「ぶふぉっ!そんなに開き直られて言われても……ホント今更何を言ってるのよ?でも居候とかニートとか言っててもさ、実際、硬竹の採取クエスト関連の報酬とかあったから、マイナスな訳じゃ無いんだよ。治安的な意味で危ないから、手持ちはそんなに持たないけど、足りない時はこっちのギルドでも下ろせるし。うん。報酬の残りを預けてる時マサキもいたでしょ?忘れちゃった?」
(あ、また馬鹿な子見る様な眼で見られてる……)
「あ。うん。一応憶えてる。特に経済的に心配が無いならそれで良いや。特に欲しい物とかって、タバコ位だし。」
「まぁ、その位ならねぇ。マサキの取り分も一緒にしちゃったからさぁ……ソレこそ一緒にしちゃって良かったのかなぁ?とか思ったけど。」
少し俯いて歩みが遅くなった。
「クエスト報酬はあれで良いんだよ、どっちにしろ貨幣価値の基準が俺には解らんし……それもあって大丈夫かなって思っただけだから。それに俺が現金持ってると、何か騙されて変な物買っちゃいそうだからなぁ(笑)」
「もしそうなったら、それはそれで勉強したって事で……ぷぷぷ……」
「厳しいなぁ~それは……(笑)」
(言うようになったなぁ……)
ティナは相変わらずキョロキョロと店を探して居るのだが、如何せん背が低い為に人影に遮られ、よく見えないようだった。そんな姿をぼんやり見ていると、出逢った頃の事をマサキは思い出していた。
(ティナって、いつもなんか探してるイメージ強いよなぁ……)
「マサキは何か食べたい物あるの?」
「ん~……ピザ?……とか?」
「ほう!ピザとな!良いんじゃない?ならピザ屋探すね!」
(何人だよ……いつの人間だよ……平安時代かよ……)
知らない夜の街を迷子になりながら暫く歩くと、やっとピザ屋を見つけたので、砂漠でオアシスを見付けたかの如く、そこに飛び込んで結局36cmのピザを三枚、二人で平らげてしまった。
(三枚目は流石にキツかったっす……)
そして、帰りも自分等の位置が解らず、延々歩いてどうにかホテルに辿り着いた頃、既に時間は二十二時過ぎであった。
ホテルに着くと何故かロビーのソファーでスチュアートが待っていた。
「あれ?どうしたの?」
「おかえりなさいませ、あれから今まで?」
俺の顔を見るなり直ぐ様ソファーから立ち上がり、少し驚いたようにスチュアートが言った。
「うん。晩飯はピザにしようってなったんだけど、中々ピザ屋が見つからなくてさ……迷った迷った!で、帰りも何処なんだか解らなくてやっと帰ってきたって所だよ!」
「うんうん!」とティナも同意している。
「そうだったんですか、ピザ屋なら向かいの三軒隣がそうだったんですが……」
とスチュアートは窓の外を指さした。
「えっ!?」とマサキとティナは窓に駆け寄って確認すると、紛うことなきピザ屋の看板がぶら下がっていた。
「マサキ……あの苦労は……」
ティナはその場にへたりこんでしまう。
「皆迄言う無い……一気に疲れた……で、スチュアートはこんな所で何してたの?」
立ち話も疲れるのでスチュアートが座っていた横のソファーに腰を下ろし、タバコに火をつけた。
「火急の用事であります!」
チラッ!
「どしたの?畏(かしこ)まっちゃって。てかスチュアートも座れば?」
(やっぱ座るとM500って邪魔だわ……ちょっと外そ。)
マサキはおもむろにガンベルトを外して横のテーブルに置いた。
「失礼します。」とスチュアートもマサキに習い、腰を降ろして話を続けた。
「緊急の用件に伴い、一度ギルドへと云う命令でしたのでお迎えに上がりました。」
チラッ!
「え?今から?ヤダよ~。またギルド行くなんて……明日で良いじゃん…どうせ明日も行くんじゃん?」
「命令ですので御足労をお掛けしますが……」
チラッ!
と言葉の上では申し訳無さそうな体を繕ってはいるが、全く本来の意味の雰囲気は伝わってはこなかった。
(話を聞け~!)
先程迄へたりこんでいたティナが、いつの間にか横に来て会話に加わり
「マサキ、行ってあげたら?こんな事してるとスチュアートさんも帰れなくなるんだよ。」
と、全くの正論を言われてぐうの音も出ないマサキである。
「解った解った……行きゃ良いんじゃん?行きますとも!」
大きいため息と共にタバコの煙を吐き出して、仕方が無いと言わんばかりにソファーから立ち上がった。
「ティナさん助かりました。緊急を要する内容で、今晩はクラタナさんが戻れるか解りません。呉々もお気を付け下さい。一人護衛をロビーに置いて行きますので、何かあれば伝えて下さい。」
立ち上がりボーッ……っとスチュアートとティナのやり取りを見ていたマサキであったが、危機感と云うよりも、なにか事が強引に運ばれている様な気がしてならなかった。
「わ、分かりました。何か危ない事とかじゃ無いんですか?」
護衛を置いて行くと言われた所で、只事じゃ無いと感じ取ったのか、ティナは少し緊張気味にスチュアートに質問した。
「禁則事項なので自分からは何とも……申し訳有りません。」
「解りました。」
ティナも、ある程度はスチュアートの立場を理解していた為、それ以上は追求せず納得していた。
「明日は恐らく、クラタナさんもお疲れだと思いますので休日にするとの事です。」
「了解しました。」
一瞬、何かを聞きたそうな素振りを見せたが、スチュアートの返答を悟ったのか、何も言わず目を伏せながらマサキの方に視線を移した。
「では、クラタナさん参りましょう!」
「じゃティナ、行ってくるわ戸締りキチンとな!あ、それと……」と近くに寄ってティナの手にM360を手渡した。
「使わんに越したことないけど、これの使い方は解るな。今は殺傷能力の低いエセスライム弾を装填して有るけど、実弾も保険で渡しておく。撃つ時は迷うなよ!」
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