前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

文字の大きさ
84 / 127

ミッションスタート?

しおりを挟む
 漸く会議が終わり本番の時間だ!(俺にとっては)
 ティナは女子隊員達と珍しくお洒落(笑)をして来た、今日のコーディネートについて会話に花が咲いてるみたいだった。

 「クラタナさん……」
 何となく憔悴しているスチュアートが話しかけて来た。

 「お、待ってました!言ったからには俺の「お気に入り」探して貰っちゃうぞぃ!」
(会議中に、ある程度お気に入りを脳内シュミレートしたからバッチリだ!)

 「なんて言うか、元気ですよね。」

 「え?何で?普通元気になる所じゃないの?ここは!あ、別の所も元気になって来たけどさwww」

 「はぁ~……クラタナさん、もう貴方は国の要人の立ち位置に居るんですよ?その事を理解してますか?」

 少し間を置いてマサキが口を開いた。
「要人とか……言ってる意味は解るけど…………逆に聞くけど、今から俺の右腕になれ!って言ったら君も要人の括りになるんだけど、それでスチュアートは納得出来たり、簡単に現在の役割を変える事ってできる?」

 「そ、それは、急に言われても……命令とあらば仕方ないのですが……」
  スチュアートは、眼を伏せて口篭りながら、苦虫を噛んだ様になってしまった。

 「ですよねぇ……それだよ。はい!この話は終わり!俺のお気に入りオーダー聞き逃すなよ!聴き逃したら次の訓練は全力で駆逐するぞ!」
 パンと手を叩き、マサキは無理やり話題を変えるようにニヤケ顔で話を続けた。

  「り、了解であります!」

 スチュアートはその言葉に呼応したのだが、スミスとアクセルは先程の話と訓練映像のダブルパンチで殆ど廃人と化したように生気が抜けている。

 「おーい!スミスー!アクセルー!聞いてるかー!」
  そんな様子を見て、マサキは極力おどけて目の前で手を振ってみるが反応が薄い。

 「そのままで居ると、お前らの存在価値も薄くなっちゃうぞ~!」
 その瞬間、ビクッと二人は反応を見せたが、依然自信喪失の穴からは戻って来れないようだった。

 「ブフォ!ちょ、クラタナさん!余りいじめてやらんでくださいよ!」
 吹きながら慌ててスチュアートは間に入って止める。
 (吹くなし!この人も結構大概だよなぁ~……それだから副隊長を任されたんだろう……)

 「うん。なら話は真面目に聞こうな!」
 (まぁ、二人の気持ちは解る……今迄狩る方だったのが、一瞬で狩られる方に立場が変わったんだから、しかもそれを理解してるからしんどいのはしんどいだろうなぁ……今、俺が変にフォローした所で逆効果になるだろうし……)

 「もうスチュアートで良いから、取り敢えず俺の好みを聞いてくれよ……」


 そして一時間が経ち、話は纏まった。
 後半はスミス、アクセルも大分持ち直して会話に乗る様になっていた。
 「では、ミッションスタートと行きますか!」

 男性隊員達は何やら三人、眼で合図を送り、意思疎通をして行動に移すらしい。

 (ずっと疑問だったけど、物って、「本」だよね?)
 敢えて野暮な事は聞かなかったのだが、これが後々の間違いの元であった。

 「取り敢えずは一旦解散という事で!クラタナさん任せて下さい!(サムアップ)」
 とスチュアートが場を開いた。

 「おうよ!楽しみにしてるぞ!(サムアップ)」

 こちらがお開きになった所で、部屋の端で談笑しているティナに声を掛けた。
 「ティナ~!帰るぞ~!」
 
 「あ、うん解った!」
  
 「うん、じゃぁまたねぇ~!ばい~!」
 遠くからティナ達の一部始終を見て思った。
 (JKかよっ!ノリがまんまJKだよっ!君達見た目もJKだよっ!とは言え、何か新鮮だよな、今迄って同じ歳位の友達とか居なかったもんなぁ。こんなシチュを見られる日が来ようとは……まぁ、アレが本当の年相応ってのかも知れんなぁ……)

 「お待たせ~!」
 と女性隊員達と別れたティナが来て、ティナ越しに隊員達が会釈をしていたのでマサキは照れ臭そうに手を挙げて、それに応じた。

 「話の腰折って悪かったな。」

 「いや、また直ぐに会えるし大丈~夫!そうそう、マサキのこのコーディネート、評判良かったよぉ~!」
 スカートの裾を手で少し上げて、ティナは嬉しそうにクルッと回った。
 (おいおい!勢いよく回ると、パンツ見えてしまいますぞ!おぜうさん!俺的にはグッジョブだが。)

「まじで?(視線は下で)あんま考え無しに選んだんだけどなぁ……もし良かったら休みの日さぁ、またあいつらと買い物とかしてくれば?今迄こういう機会って余り無かっただろ?」

 「ん~……ま、それは追追ね!取り敢えずそれはそれ、コレはコレだもん。それとも、私とじゃ練習したくないの?」
 (ズイっと寄って来られると色々「圧」を感じますぞ!色々と……)

 「そう云う訳じゃ無いけど、遊びに行くんだったら行きたいって言えば良いよって事だ。」
 (ニットの破壊力ヤバいわ……)
 
 「うん、解った。そうしたくなった時は言うね!」

 時間が時間だからなのか、教導隊のある館は人も疎らで人影も少ないのだが、会う人会う人見知らぬ人から会釈をされる。
 (何この状況は……何で知らん人から会釈されてんだ?)

 「ところで、晩飯は外で食べて帰るか?」
 高い天井の長い廊下を歩き、受付の巨乳のオネーサンに挨拶をしてギルドの外に出ると既に空は薄暗くなっており、魔石を使った屋台の裸電球が通りを照らしていた。
 幸いまだ早い時間なので、何処の店も賑わっていて宛ら(さながら)お祭り気分である。

 「うん!そうしよ!」
 ティナは早速物色モードに入り、何処の店にしようかとテンションが上がったのも相まって挙動不審になった。
 (キョロキョロし過ぎだよ……あれじゃ迷子になるぞ……)

 人がゴミ……いや、人混みで、はぐれないように咄嗟にティナの手を掴み話し掛ける。
 「つーかさ、お金大丈夫なの?俺、全くお金の事には関与してないから解らないんだけど……てか、凄い人だなぁ……迷子になるなよ!」

 「わ、解ってるって!お金の方はまぁ、大丈夫……かな?何よ今更……あ、何か買いたい物とか欲しい物あった?」
 何と無く頬を染めながら一層挙動不審になるティナがそう答えた。

 「いや、そう云うのじゃ無いんだけど、向こうでも俺って居候じゃん?ニートだし。」
 (ん?棒に肉が巻いてある。コッチの肉ってなんなんだろう?牛とか豚って居るのか?)

 「ぶふぉっ!そんなに開き直られて言われても……ホント今更何を言ってるのよ?でも居候とかニートとか言っててもさ、実際、硬竹の採取クエスト関連の報酬とかあったから、マイナスな訳じゃ無いんだよ。治安的な意味で危ないから、手持ちはそんなに持たないけど、足りない時はこっちのギルドでも下ろせるし。うん。報酬の残りを預けてる時マサキもいたでしょ?忘れちゃった?」
 (あ、また馬鹿な子見る様な眼で見られてる……)

 「あ。うん。一応憶えてる。特に経済的に心配が無いならそれで良いや。特に欲しい物とかって、タバコ位だし。」

 「まぁ、その位ならねぇ。マサキの取り分も一緒にしちゃったからさぁ……ソレこそ一緒にしちゃって良かったのかなぁ?とか思ったけど。」
 少し俯いて歩みが遅くなった。

 「クエスト報酬はあれで良いんだよ、どっちにしろ貨幣価値の基準が俺には解らんし……それもあって大丈夫かなって思っただけだから。それに俺が現金持ってると、何か騙されて変な物買っちゃいそうだからなぁ(笑)」

「もしそうなったら、それはそれで勉強したって事で……ぷぷぷ……」

「厳しいなぁ~それは……(笑)」
 (言うようになったなぁ……)

 ティナは相変わらずキョロキョロと店を探して居るのだが、如何せん背が低い為に人影に遮られ、よく見えないようだった。そんな姿をぼんやり見ていると、出逢った頃の事をマサキは思い出していた。
 (ティナって、いつもなんか探してるイメージ強いよなぁ……)

 「マサキは何か食べたい物あるの?」

 「ん~……ピザ?……とか?」

 「ほう!ピザとな!良いんじゃない?ならピザ屋探すね!」
 (何人だよ……いつの人間だよ……平安時代かよ……)

 知らない夜の街を迷子になりながら暫く歩くと、やっとピザ屋を見つけたので、砂漠でオアシスを見付けたかの如く、そこに飛び込んで結局36cmのピザを三枚、二人で平らげてしまった。
 (三枚目は流石にキツかったっす……)

 そして、帰りも自分等の位置が解らず、延々歩いてどうにかホテルに辿り着いた頃、既に時間は二十二時過ぎであった。


 ホテルに着くと何故かロビーのソファーでスチュアートが待っていた。

 「あれ?どうしたの?」

 「おかえりなさいませ、あれから今まで?」
 俺の顔を見るなり直ぐ様ソファーから立ち上がり、少し驚いたようにスチュアートが言った。

 「うん。晩飯はピザにしようってなったんだけど、中々ピザ屋が見つからなくてさ……迷った迷った!で、帰りも何処なんだか解らなくてやっと帰ってきたって所だよ!」

 「うんうん!」とティナも同意している。

 「そうだったんですか、ピザ屋なら向かいの三軒隣がそうだったんですが……」
 とスチュアートは窓の外を指さした。

 「えっ!?」とマサキとティナは窓に駆け寄って確認すると、紛うことなきピザ屋の看板がぶら下がっていた。

 「マサキ……あの苦労は……」
 ティナはその場にへたりこんでしまう。

 「皆迄言う無い……一気に疲れた……で、スチュアートはこんな所で何してたの?」
 立ち話も疲れるのでスチュアートが座っていた横のソファーに腰を下ろし、タバコに火をつけた。

 「火急の用事であります!」
 チラッ!

 「どしたの?畏(かしこ)まっちゃって。てかスチュアートも座れば?」
  (やっぱ座るとM500って邪魔だわ……ちょっと外そ。)
 マサキはおもむろにガンベルトを外して横のテーブルに置いた。

 「失礼します。」とスチュアートもマサキに習い、腰を降ろして話を続けた。
「緊急の用件に伴い、一度ギルドへと云う命令でしたのでお迎えに上がりました。」
 チラッ!

 「え?今から?ヤダよ~。またギルド行くなんて……明日で良いじゃん…どうせ明日も行くんじゃん?」

 「命令ですので御足労をお掛けしますが……」
チラッ!
 と言葉の上では申し訳無さそうな体を繕ってはいるが、全く本来の意味の雰囲気は伝わってはこなかった。
 (話を聞け~!)

  先程迄へたりこんでいたティナが、いつの間にか横に来て会話に加わり
 「マサキ、行ってあげたら?こんな事してるとスチュアートさんも帰れなくなるんだよ。」
 と、全くの正論を言われてぐうの音も出ないマサキである。

 「解った解った……行きゃ良いんじゃん?行きますとも!」
 大きいため息と共にタバコの煙を吐き出して、仕方が無いと言わんばかりにソファーから立ち上がった。

 「ティナさん助かりました。緊急を要する内容で、今晩はクラタナさんが戻れるか解りません。呉々もお気を付け下さい。一人護衛をロビーに置いて行きますので、何かあれば伝えて下さい。」

 立ち上がりボーッ……っとスチュアートとティナのやり取りを見ていたマサキであったが、危機感と云うよりも、なにか事が強引に運ばれている様な気がしてならなかった。

 「わ、分かりました。何か危ない事とかじゃ無いんですか?」

 護衛を置いて行くと言われた所で、只事じゃ無いと感じ取ったのか、ティナは少し緊張気味にスチュアートに質問した。

 「禁則事項なので自分からは何とも……申し訳有りません。」

 「解りました。」
 ティナも、ある程度はスチュアートの立場を理解していた為、それ以上は追求せず納得していた。

 「明日は恐らく、クラタナさんもお疲れだと思いますので休日にするとの事です。」

 「了解しました。」
 一瞬、何かを聞きたそうな素振りを見せたが、スチュアートの返答を悟ったのか、何も言わず目を伏せながらマサキの方に視線を移した。
 
 「では、クラタナさん参りましょう!」

 「じゃティナ、行ってくるわ戸締りキチンとな!あ、それと……」と近くに寄ってティナの手にM360を手渡した。
 
 「使わんに越したことないけど、これの使い方は解るな。今は殺傷能力の低いエセスライム弾を装填して有るけど、実弾も保険で渡しておく。撃つ時は迷うなよ!」
 マサキはそう言うと、ポンポンとティナの頭を叩いてスチュアートと共に外に出ていった。

 ティナは一抹の不安を感じながら、後ろ姿を見送る他術は無かったのであった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...