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懸案事項
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「まさか!?嘘でしょ?」
眼を見開いてマサキに問い掛けるティナ。
マサキは勢い良く言われて、危うく持っていたカップを落しそうになりながら話を続けた。
「本人から聞いた訳じゃ無いから、まだ何とも言えないけど、十中八九は間違いない……と思う。」
ゆっくりと口にしていたカップを離し、ティナから視線を外してタバコに火をつけた。
「なんでそれが解ったの?」
ティナは落ち着きを取り戻し、いつものトーンで疑問を口にした。
「いや、正直、今だよ。ティナが電話知らないって言ったから。」
マサキはタバコで輪っかを作りながらそう答えた。
「ん?」
ティナは動きを止め、マサキの言った《今》の、どの部分にアリシアが異世界から来た確信があったのか、この時はまだ解らずに居た。
「さっき話したじゃん!ルームサービスで飯食ったって。」
マサキは、咄嗟に話の順番を脳内で組み立て、ティナに解りやすく伝わる様に努めた。
「うん。」
「その時もさ、今みたいに電話を探したんだよ。でアリシアに電話どこだ?って聞いたら普通に電話ここですって言ったから。」と煙突の様に煙を吐きながら話を続けた。
(タバコ吸いすぎとか言われそうだけど、喫煙者なんて皆こんなもんだよな……)
「そうなんだ……」
そう答えると、ティナは納得行ったのかマサキから視線を外して、先程のクッキーに手を伸ばし口に入れた。
「いや、俺さ電話の掛け方……その通話機のな、使い方が解らなくてアリシアに掛けてもらったから、良く憶えてるんだよ。」
とタバコを口に咥えて通話機(電話)に視線を移しながら、その時の状況を思い出す。
よくよく考えればおかしな事が他にもあった。ボーイがルームサービスを持って来て帰った後、俺の冷汗の理由を聞いた時、アリシアは映画の見過ぎとも言ってた。そもそも、蓋の中に武器を隠すシーンをイメージ出来るのは、映画と銃の存在を元々知ってたからだ。まぁ、銃に関しては俺の持ってるのを見て、想像した可能性も否定は出来ないけど……ずっと小骨が喉の奥に引っ掛かった感じがしてたけど、その時感じた違和感ってこの事だったんだな……
「どうするの?」
ティナは、クッキーを食べていた手を止めて、真剣な表情でマサキに問い掛けた。
「どうするって?」
(その問い掛けは、アリシア本人に異世界から来たのかを聞くのか聞かないなのか、それともアリシアへの今後の対応をどうする?なのか、疑問しか浮かばんなぁ……)
「アリシアに直接、貴方は異世界から来たんですか?って聞くの?って事よ。」
(あ~……そっちね。そっちなぁ……)
マサキは傍にある灰皿を手に持って席を立ち、窓辺に移動してティナに向きながら逆に質問をした。
「どうしたらいいと思う?」
それを聞いた途端ティナの眼が座り
「質問を質問で返すなし!」と強めの口調で反論された。
(うん。解ってた。多分そう言うだろうなって思ってた。)
「ごめん」
言葉とは裏腹に、予想通りの返答がティナから返って来て、少しは自分もティナの事が解って来たな!と嬉しく思う反面、解った気になってるだけなんじゃ無いのかと、マサキは悟られない様に密かに自問自答を繰り返した。
「まぁ、彼女にも彼女なりの理由があって言わないのかもしれないしねぇ。」
そう言うとティナは、何かを考える様に視線を空(くう)に向けて、両手を組んで、上に挙げ伸びをしながら答えた。
「どうなんだろう?普通に考えてさ、俺がこの世界で銃を持ってるってのをアリシアが知ってるって事は、当然、俺が異世界から来たってのを承知してる事にならないか?」
マサキはティナを横目で見ながら、短くなったタバコを持ち替えて、一吸いしてから火を消した。
(……なにやってんだ?……ストレッチか?…………つーか、伸びすると胸が強調されて……よし!今だ!盗み見スキル発動!)
「……んっんん……!はぁ……うん……まぁ、そうなるよね。私はさ、たまたまお父さんが持ってたから銃の存在は知ってたけど。」
(何、急に色っぽい声出してんのさ、この娘ったら……)
マサキは傍から見ても普通にティナを見ているのだが、実はスキルを使って居て、ティナにはマサキが普通に会話をしている様に見えていた。
「なぁ、ティナ。」
(うわ、普通に見てても相手から目線気付かれないとか、盗み見スキルめっちゃつかえるやーん……)
「ん?」
とティナは視線をマサキに向けて、ストレッチを終え、手を膝の上に置いて通常モードである。
マサキはティナから視線をはずして、何と無く窓から見える道行く人々に眼をやりながら、脳裏にふと浮かんだ疑問をティナに質問した。
「相手の素性を知ってて、敢えて言わない時ってどんな時?」
マサキはティナに聞いた質問を自問自答していた。
相手の素性を知ってて敢えて聞かない場合って……その相手に遠慮がある時?聞くのは申し訳無いと思う時?同じか……自分だけ相手が自分と同等な立場と知ってて敢えて聞かない時って……解らん……
「ん~……なんだろ?気遣い?とか、ん~……後は……それを言うと逆に聞かれると不味い事があるから……とか?」
とティナは小首を傾げ視線を空(くう)に彷徨わせながら答えた。
「意味がわからん……」
マサキはそう言いながらベッドに移動して縁に座り、両腕を高く開いて身体を倒した。
「いやいや、簡単だよ。マサキにさ、貴方は異世界から来たんですねって彼女が言ったとするでしょ?」
そんなマサキの様子からティナは視線を外して席を立ち、窓際に移動して外を眺めた。
「うん。」
マサキは倒れたまま、天井を見ながら返事をする。
「それで、実は私もなんですぅ~!と答えたとしたらさ……」
ティナはアリシアの声色を真似して、祈りを捧げる様なポーズを取り縋(すが)る様な眼差しで空(くう)を見つめて話を続ける。
「うん。」
マサキはそんなティナを、首だけ起こして見ていたのだが《あ~、ここにもアホの子おるわ~》と思いながら答えた。
「当然、マサキはマジで?!ってなって彼女に根掘り葉掘り聞くでしょ?マサキってば普通に色んな事ズケズケ聞くからさ。」
今度は、マサキの声色を真似しながらも、鋭いツッコミを説明の中に盛り込んで、ティナはマサキに対して囁かな抗議をした。
「あ~……うん。申し訳無い……」
(何これ、なんで怒られてんの?俺……)
脱力しているマサキは、天井に視線を固定したままそんな事を思った。
「いや、まぁ、それが嫌なんじゃないの?嫌と言うか……どう言えば良いのかな……マサキ自身の事が嫌とか云う意味じゃなくてさ、嫌じゃないけど話したくない……みたいな?ほら、その時の気持ちとか思い出したりしたくない時ってあるでしょ?」
と言いながら、ティナはマサキの寝ている向かいのベッドに移動して腰を降ろした。
「ん~……解るようで解らん。」
そんな様子を、マサキは首だけ起こして眺めた。
(何と無くティナが言いたい事は解るけど、素性がバレて聞かれたくない事ってなんなんだ?利益に関する事……とか?いや、そうは言っても立場は同じだからなぁ……)
「なんて言えば良いのかなぁ……例えば忘れたい記憶とかあってさ、わざわざ他人に掘り返されたく無い、蒸し返したくない……みたいな?」
(……そっちか!物理的な損得勘定とかじゃ無いのか。そうやって改めて言われてみればなぁ……確かになぁ……)
確かに誰でも一つや二つ忘れたい記憶があるのは確かだ。でもどうなんだろう?アリシアは、この世界の家族や街の人からも信用され無かった為に、近衛兵隊に入らざる得なかった。誰からも信用され無かったとか言う事自体、俺からすれば、それこそ忘れたい位の嫌な出来事だと思うんだが……でもそれは俺に話してくれたから、恐らく本人からすれば忘れたい嫌な記憶って程では無いんだよな。それ以上に忘れたい記憶って一体何なんだろう?色恋沙汰とか?ん~……前世の家族とか人間関係?病気か何かだったとか?……不幸ネタは考えれば幾らでも思い付くけど………何か傷が深そうな感じがする。
「まぁ、それは理解できる……かな。」
マサキは起き上がり、アリシアの事を思い出しながら、ティナから目を逸らしてそれに答えた。
「そんな感じじゃないの?」
(そんな感じと言われても……言わんとしてる事は理解出来るけど……)
「異世界から来たのを忘れたいって感じ?」
マサキは、すかさずテーブルに置いてある灰皿を持ち、窓際に移動しながらティナに視線を向けてそう答えたものの、自分でもこれは違う気がすると何と無く理解できる。。
「ん~……それとは微妙に違う気がするんだけどなぁ……来たのをじゃ無くて、前の世界の記憶を……の方が雰囲気的に合ってるかも……」
ティナも何と無くは解ってるのだろう、直感的にアリシアのタブーに触れると言う事を。
解らない事が有っても、誰かと話して居れば漠然と解らない成にも解る事がある。今回の事がいい例だ。
ボッと無詠唱でマサキは咥えたタバコに火をつけて話を進めた。
「ああ……理解した。ならどうすりゃ良いんだ?」
こう云った事に滅法弱いマサキは真剣にティナに先為を仰ぐが、それに対しての返答は
「取り敢えずほっとけば?」
であった。
「マジで?」
マサキは吸って居たタバコを持つ手が止まる。
「マジで。」
ティナの表情は笑顔であったが、眼は真剣そのものだった。
「言いたくなったら自分から言うだろうから、それ迄は見て見ぬ振りが一番。」
そしてティナはドヤ顔で言い切った。
「そんなんで本当に良いの?」
それに対しマサキは火を消して、ティナに訝しげな視線を送りながら確認を取る。
(まぁ、何もしないってのは、省エネ主義の俺からすれば願ったり叶ったりなんだが……)
「まぁ、正確かどうかは本人じゃ無いから解らないけど、私だったらそうして欲しいかな……?」
「ん~……何か難しいな……結局どうすれば良いの?」
ベッドに倒れ込みマサキは頭を悩ます。
「だから、どうもしなくて良いんだってば!何もしない。普通に今迄通り接する。ただそれだけの事だよ。」
(いや、あんた、簡単に言ってるけど、俺にしてはかなりハードル高いよ!その普通に今迄通り接するってのが特に!)
「普通に……かぁ……気付いてしまった以上、それが一番難しいんだけどな~……」
マサキは、上体を起こして後ろに手をやり、両腕で支えて仰ぐように天井を見ていた。
「まぁ……そうなんだけど、それを言ったら私もなんだよ!」
そう言って、ティナはベッドから窓際に移動して、窓から見える街の店などをチェックしていた 。
「え?なんで?」
(普通に何故だかわからん……)
「なんで?って……だってそうでしょ?私はマサキが違う世界から来た事を知ってるし、今こうやって、彼女もマサキと同じ世界から来たかもってのを知ったんだよ。まぁ、私は元々ここの住人だから、そこまで異世界?に興味……と言うか執着?は無いけどさ……」
「あ~……まぁ……そうか。なら当面は見て見ぬ振りを実行するとするか……俺苦手なんだけどなぁ……こういうの……」
「知ってる~!(笑)でもやるしかないでしょ。」
「確かに。」
(全くヤレヤレだぜ……)
こうして取り敢えず、今後のアリシアに対する対応の方向は決まったのだが、以前、普通に生活してれば、そう易々とイベントは起きないとか思っていたのだが、ココ最近は、何故か次から次へと悩み事が発生してる状況に、スローライフを送っていた頃がとても懐かしく思うマサキであった。
眼を見開いてマサキに問い掛けるティナ。
マサキは勢い良く言われて、危うく持っていたカップを落しそうになりながら話を続けた。
「本人から聞いた訳じゃ無いから、まだ何とも言えないけど、十中八九は間違いない……と思う。」
ゆっくりと口にしていたカップを離し、ティナから視線を外してタバコに火をつけた。
「なんでそれが解ったの?」
ティナは落ち着きを取り戻し、いつものトーンで疑問を口にした。
「いや、正直、今だよ。ティナが電話知らないって言ったから。」
マサキはタバコで輪っかを作りながらそう答えた。
「ん?」
ティナは動きを止め、マサキの言った《今》の、どの部分にアリシアが異世界から来た確信があったのか、この時はまだ解らずに居た。
「さっき話したじゃん!ルームサービスで飯食ったって。」
マサキは、咄嗟に話の順番を脳内で組み立て、ティナに解りやすく伝わる様に努めた。
「うん。」
「その時もさ、今みたいに電話を探したんだよ。でアリシアに電話どこだ?って聞いたら普通に電話ここですって言ったから。」と煙突の様に煙を吐きながら話を続けた。
(タバコ吸いすぎとか言われそうだけど、喫煙者なんて皆こんなもんだよな……)
「そうなんだ……」
そう答えると、ティナは納得行ったのかマサキから視線を外して、先程のクッキーに手を伸ばし口に入れた。
「いや、俺さ電話の掛け方……その通話機のな、使い方が解らなくてアリシアに掛けてもらったから、良く憶えてるんだよ。」
とタバコを口に咥えて通話機(電話)に視線を移しながら、その時の状況を思い出す。
よくよく考えればおかしな事が他にもあった。ボーイがルームサービスを持って来て帰った後、俺の冷汗の理由を聞いた時、アリシアは映画の見過ぎとも言ってた。そもそも、蓋の中に武器を隠すシーンをイメージ出来るのは、映画と銃の存在を元々知ってたからだ。まぁ、銃に関しては俺の持ってるのを見て、想像した可能性も否定は出来ないけど……ずっと小骨が喉の奥に引っ掛かった感じがしてたけど、その時感じた違和感ってこの事だったんだな……
「どうするの?」
ティナは、クッキーを食べていた手を止めて、真剣な表情でマサキに問い掛けた。
「どうするって?」
(その問い掛けは、アリシア本人に異世界から来たのかを聞くのか聞かないなのか、それともアリシアへの今後の対応をどうする?なのか、疑問しか浮かばんなぁ……)
「アリシアに直接、貴方は異世界から来たんですか?って聞くの?って事よ。」
(あ~……そっちね。そっちなぁ……)
マサキは傍にある灰皿を手に持って席を立ち、窓辺に移動してティナに向きながら逆に質問をした。
「どうしたらいいと思う?」
それを聞いた途端ティナの眼が座り
「質問を質問で返すなし!」と強めの口調で反論された。
(うん。解ってた。多分そう言うだろうなって思ってた。)
「ごめん」
言葉とは裏腹に、予想通りの返答がティナから返って来て、少しは自分もティナの事が解って来たな!と嬉しく思う反面、解った気になってるだけなんじゃ無いのかと、マサキは悟られない様に密かに自問自答を繰り返した。
「まぁ、彼女にも彼女なりの理由があって言わないのかもしれないしねぇ。」
そう言うとティナは、何かを考える様に視線を空(くう)に向けて、両手を組んで、上に挙げ伸びをしながら答えた。
「どうなんだろう?普通に考えてさ、俺がこの世界で銃を持ってるってのをアリシアが知ってるって事は、当然、俺が異世界から来たってのを承知してる事にならないか?」
マサキはティナを横目で見ながら、短くなったタバコを持ち替えて、一吸いしてから火を消した。
(……なにやってんだ?……ストレッチか?…………つーか、伸びすると胸が強調されて……よし!今だ!盗み見スキル発動!)
「……んっんん……!はぁ……うん……まぁ、そうなるよね。私はさ、たまたまお父さんが持ってたから銃の存在は知ってたけど。」
(何、急に色っぽい声出してんのさ、この娘ったら……)
マサキは傍から見ても普通にティナを見ているのだが、実はスキルを使って居て、ティナにはマサキが普通に会話をしている様に見えていた。
「なぁ、ティナ。」
(うわ、普通に見てても相手から目線気付かれないとか、盗み見スキルめっちゃつかえるやーん……)
「ん?」
とティナは視線をマサキに向けて、ストレッチを終え、手を膝の上に置いて通常モードである。
マサキはティナから視線をはずして、何と無く窓から見える道行く人々に眼をやりながら、脳裏にふと浮かんだ疑問をティナに質問した。
「相手の素性を知ってて、敢えて言わない時ってどんな時?」
マサキはティナに聞いた質問を自問自答していた。
相手の素性を知ってて敢えて聞かない場合って……その相手に遠慮がある時?聞くのは申し訳無いと思う時?同じか……自分だけ相手が自分と同等な立場と知ってて敢えて聞かない時って……解らん……
「ん~……なんだろ?気遣い?とか、ん~……後は……それを言うと逆に聞かれると不味い事があるから……とか?」
とティナは小首を傾げ視線を空(くう)に彷徨わせながら答えた。
「意味がわからん……」
マサキはそう言いながらベッドに移動して縁に座り、両腕を高く開いて身体を倒した。
「いやいや、簡単だよ。マサキにさ、貴方は異世界から来たんですねって彼女が言ったとするでしょ?」
そんなマサキの様子からティナは視線を外して席を立ち、窓際に移動して外を眺めた。
「うん。」
マサキは倒れたまま、天井を見ながら返事をする。
「それで、実は私もなんですぅ~!と答えたとしたらさ……」
ティナはアリシアの声色を真似して、祈りを捧げる様なポーズを取り縋(すが)る様な眼差しで空(くう)を見つめて話を続ける。
「うん。」
マサキはそんなティナを、首だけ起こして見ていたのだが《あ~、ここにもアホの子おるわ~》と思いながら答えた。
「当然、マサキはマジで?!ってなって彼女に根掘り葉掘り聞くでしょ?マサキってば普通に色んな事ズケズケ聞くからさ。」
今度は、マサキの声色を真似しながらも、鋭いツッコミを説明の中に盛り込んで、ティナはマサキに対して囁かな抗議をした。
「あ~……うん。申し訳無い……」
(何これ、なんで怒られてんの?俺……)
脱力しているマサキは、天井に視線を固定したままそんな事を思った。
「いや、まぁ、それが嫌なんじゃないの?嫌と言うか……どう言えば良いのかな……マサキ自身の事が嫌とか云う意味じゃなくてさ、嫌じゃないけど話したくない……みたいな?ほら、その時の気持ちとか思い出したりしたくない時ってあるでしょ?」
と言いながら、ティナはマサキの寝ている向かいのベッドに移動して腰を降ろした。
「ん~……解るようで解らん。」
そんな様子を、マサキは首だけ起こして眺めた。
(何と無くティナが言いたい事は解るけど、素性がバレて聞かれたくない事ってなんなんだ?利益に関する事……とか?いや、そうは言っても立場は同じだからなぁ……)
「なんて言えば良いのかなぁ……例えば忘れたい記憶とかあってさ、わざわざ他人に掘り返されたく無い、蒸し返したくない……みたいな?」
(……そっちか!物理的な損得勘定とかじゃ無いのか。そうやって改めて言われてみればなぁ……確かになぁ……)
確かに誰でも一つや二つ忘れたい記憶があるのは確かだ。でもどうなんだろう?アリシアは、この世界の家族や街の人からも信用され無かった為に、近衛兵隊に入らざる得なかった。誰からも信用され無かったとか言う事自体、俺からすれば、それこそ忘れたい位の嫌な出来事だと思うんだが……でもそれは俺に話してくれたから、恐らく本人からすれば忘れたい嫌な記憶って程では無いんだよな。それ以上に忘れたい記憶って一体何なんだろう?色恋沙汰とか?ん~……前世の家族とか人間関係?病気か何かだったとか?……不幸ネタは考えれば幾らでも思い付くけど………何か傷が深そうな感じがする。
「まぁ、それは理解できる……かな。」
マサキは起き上がり、アリシアの事を思い出しながら、ティナから目を逸らしてそれに答えた。
「そんな感じじゃないの?」
(そんな感じと言われても……言わんとしてる事は理解出来るけど……)
「異世界から来たのを忘れたいって感じ?」
マサキは、すかさずテーブルに置いてある灰皿を持ち、窓際に移動しながらティナに視線を向けてそう答えたものの、自分でもこれは違う気がすると何と無く理解できる。。
「ん~……それとは微妙に違う気がするんだけどなぁ……来たのをじゃ無くて、前の世界の記憶を……の方が雰囲気的に合ってるかも……」
ティナも何と無くは解ってるのだろう、直感的にアリシアのタブーに触れると言う事を。
解らない事が有っても、誰かと話して居れば漠然と解らない成にも解る事がある。今回の事がいい例だ。
ボッと無詠唱でマサキは咥えたタバコに火をつけて話を進めた。
「ああ……理解した。ならどうすりゃ良いんだ?」
こう云った事に滅法弱いマサキは真剣にティナに先為を仰ぐが、それに対しての返答は
「取り敢えずほっとけば?」
であった。
「マジで?」
マサキは吸って居たタバコを持つ手が止まる。
「マジで。」
ティナの表情は笑顔であったが、眼は真剣そのものだった。
「言いたくなったら自分から言うだろうから、それ迄は見て見ぬ振りが一番。」
そしてティナはドヤ顔で言い切った。
「そんなんで本当に良いの?」
それに対しマサキは火を消して、ティナに訝しげな視線を送りながら確認を取る。
(まぁ、何もしないってのは、省エネ主義の俺からすれば願ったり叶ったりなんだが……)
「まぁ、正確かどうかは本人じゃ無いから解らないけど、私だったらそうして欲しいかな……?」
「ん~……何か難しいな……結局どうすれば良いの?」
ベッドに倒れ込みマサキは頭を悩ます。
「だから、どうもしなくて良いんだってば!何もしない。普通に今迄通り接する。ただそれだけの事だよ。」
(いや、あんた、簡単に言ってるけど、俺にしてはかなりハードル高いよ!その普通に今迄通り接するってのが特に!)
「普通に……かぁ……気付いてしまった以上、それが一番難しいんだけどな~……」
マサキは、上体を起こして後ろに手をやり、両腕で支えて仰ぐように天井を見ていた。
「まぁ……そうなんだけど、それを言ったら私もなんだよ!」
そう言って、ティナはベッドから窓際に移動して、窓から見える街の店などをチェックしていた 。
「え?なんで?」
(普通に何故だかわからん……)
「なんで?って……だってそうでしょ?私はマサキが違う世界から来た事を知ってるし、今こうやって、彼女もマサキと同じ世界から来たかもってのを知ったんだよ。まぁ、私は元々ここの住人だから、そこまで異世界?に興味……と言うか執着?は無いけどさ……」
「あ~……まぁ……そうか。なら当面は見て見ぬ振りを実行するとするか……俺苦手なんだけどなぁ……こういうの……」
「知ってる~!(笑)でもやるしかないでしょ。」
「確かに。」
(全くヤレヤレだぜ……)
こうして取り敢えず、今後のアリシアに対する対応の方向は決まったのだが、以前、普通に生活してれば、そう易々とイベントは起きないとか思っていたのだが、ココ最近は、何故か次から次へと悩み事が発生してる状況に、スローライフを送っていた頃がとても懐かしく思うマサキであった。
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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