前世の記憶そのままのオッサンが転生したら

ぬっこさん。

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第102話 財産とはなんぞや?

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 帰宅ラッシュで混雑して居る路地をジミに先導されて暫く歩くと、程なくして見覚えのある大通りに出たのであった。

「あれ?此処って……」

 そんなティナの様子に気付いたのか、ジミは声を掛けたのである。

「気付きましたか?ここ、ギルド本部に繋がる大通りデース。」
 と振り返った。

 初めてこの街に着いた時(夕方)、宿を探して延々と回って居た場所なので憶えている。と言うか、何処をどう進んでもこの道にしか出れなかったのであったwww
 (あのヘビーモアのナビがポンコツだから……てか、到着座標が街の入り口て……)

 「やっと解りました!ここまで来れば!」
 (よ、良かった……大分遅くなっちゃったけどマサキ心配してるかなぁ……うむむ……)
 この数日とは云え、見慣れた場所に戻って来れてホッと肩を一息付くティナであった。

 「この道を真っ直ぐ行くとギルド本部になりマース。」
 ジミはそう言いながら、ティナの宿泊先のあるニッチモンドホテルのある路地の方へ脚を向けたのである。

 「 いやぁ~……ジミさんにはお世話になりっぱなしで……でもホント会えて良かった!是非マサキにも会って行って下さいよね!」
 
 嬉しさの余りで、自分でも饒舌になっているとティナは思ったのだった。

 「ワタシもあの時、ああは言いましたが二度と会えないと思ってましたから、最初ティナさんを見た時はビックリでしたよ!
 偶然ってあるもんなんですねぇ。
 またクラタナさんに会えるとは……とても楽しみデース!」

  ジミは、マサキとの再開を本当に楽しみにしている様で、白い歯を見せながらサムアップしたのであった。

 そうこうしてる間にも、帰宅ラッシュの渋滞を避けるように、数台のミリタリーモアが轟音と砂埃を立てて、ギルド本部へ向かっている姿を目にする。

 そんな様子を横目に見ながらジミは話を続けたのだった。

 「やっぱりこのミリタリーモアの多さは、クラタナさんのスキル認定に関係が有るんでしょうか?」

 「ん~……どうなんだろう?
 私はざっとしかスキル認定の事は説明受けて無いんだけど、モアのスキル取得者?だったかな?と支部のギルドマスターの立ち会いでするとかなんとか……言ってた気が……
 それで、全員集まるのに1週間位掛かるみたいな事も言ってたし……」
 
 ティナは遠目にミリタリーモアを見送りながら話したのである。

 「なるほどデース。という事は、最近頻繁に見掛けるミリタリーモアは、各支部のギルドマスター機とそのお付って可能性が高いですねぇ。」

 「そう……なるのかな?
 私はこの街の普段ってのを知らないから、コレが当たり前だと思ってましたよ。
 それに、こんな大きい街に来たの初めてだし、ラスクだとモアも走って無いから(笑)」
 と、ティナはジミの背中に視線を戻し、遅れまいと気を付けながら後を追ったのであった。

 「ああ……HAHAHA……」
 
 ジミはラスクの田舎っぷりを思い出して一瞬視線を空(くう)に漂わせたのだった。

 「とは言え……」とジミが言葉を繋げる。

 「これだけ普段見掛けないミリタリーモアが行き来すると、流石に一般人も只事じゃ無いと感じる訳で……
 これから大変かもデスヨー!」
  ジミは振り返り、おどける様に言ったのだった。

 「大変?と言うと?」

 「いや、仮にも新スキル認定とか公表して認定式が数日、若しくは数ヶ月以内に行われると分かれば、この街はお祭り騒ぎになりマース!
 そして、クラタナさんは一躍有名人デース!
 そうなると当然、何処に行っても人集りになってしまいますよ!
 良くも悪くも……」

 「た、確かに!
 けど、ちょっとそれは困るかも……」

  ティナは特に自分の事では無かったので、そこまで大事に考えて居なかったのだが、良く良く考えて見たら結構大変な事かも知れないとこの時悟ったのであった。(笑)

 とは言え、このティナも、マサキに次いで飛んだ(同乗して)回数が多いので、新スキル取得を、この世の中で一番近い所に居るという事を自覚してはまだ居ないのである。
 
 そもそもティナは、現在(ラスクの自宅に)モアを個人所有して居ない為、新スキルがあっても無くてもどっちでもいいと言う位にしか考えて居なかったのだった。

 「ですよね……ティナさんは今の事態を簡単に見てるかも知れないデース……」
 と、ジミは両腕を拡げて立ち止まり、真剣な眼で向き直ったのだった。

 「ティナさん。よく聞いて下サーイ。
 スキルと言うのは個人の技術ですが、大きく言うと財産なんデース。
 ここで言う大きくとは国家とかデース。」

 「え?財産?国家?何かいきなりスケールが……」

  いきなりの事でティナはポカンである。しかも、それがジミの口から出てるので尚更だった。

 「そう、スケールの大きい話デース。
 そこまで大事な事なんですよ……新スキル認定と言うのは。
 国ってのは、個人の集まりで出来ていますよね?
 いや……個人が集まって村が出来てそれが大きくなると町になり、そして街になり、街が集まって国が出来上がりマース。
 あ~……逆の場合……力のある国、若しくは力のある者が取り込むケースも有りますが、取り敢えずそれは置いておいて……」

 「ええ。まぁ、そんな感じですよね。」

 ジミの眼は何時に無く真剣で、それが事の重要性を物語っているのだった。

 「なので、かなり簡単に言えば、個人個人の技術がその国の財産な訳です。
  ほら、薬とかも薬草を薬にする技術が必要ですよね?
 素材……そこら辺に生えてる草から薬と云う商品に加工するのも技術です。
 
 物の売買も技術ですよね?見える見えないは関係無く、技術という物質では無いスキルがその国を維持したり発展させたりするので財産なんですよ。」

 「そう言われれば確かにそうなんですけど……」

 「個人個人の技術が国の財産なんですが、その技術を軍事転用したらどうなります?」

  ティナはあっ!と思い、ここでジミの言いたかった事が理解できたのである。
 (そう言えば……模擬戦の後の反省会で、戦略がどうのこうの言われてた気が……汗)

  何かに気付いた様子のティナを見てジミは
 「……何か、心当たりがあるんじゃナイデスカ?
 今の状況が今後有り得なく無い事態、という事を肝に銘じて置いて下サーイ。
 以前、ワタシがギルド所属という事も有りますが、ワタシでも考え付く様な事です。
 上層部が考えない訳無いです。
 クラタナさんの新スキルを戦術的に利用したら……と考えると……色々気を付けた方が良いかもデース……」

  (やっぱ、ジミさんも軍人だなぁ……心配して助言をしてくれてるんだからスチュアートさんとかとはちょっと違うんだろうけど……)

  ここら辺も……ここら辺と言うのはマサキの新スキルの軍事利用って事だが、ジミには、ここに来て、教導隊とのやり取りとかあった事とか説明した方が良いのか、ティナは一瞬判断に迷ったのだが、少し躊躇いながらではあるが意を決して口を開いたのである。

 「あ~……その事ねぇ……こんな事ジミさんに言っていいのか分からないのだけれど、実はそう言う話はもう出てるんですよ~。」

 「え?と言いますと?」

 反射的にジミが射抜くような眼差しで視線を向けられた為、やっちまったか?!とでも云う様に伏し目がちにティナはそれに答えた。

「なんて言うか……私もマサキもスキル認定なんて初めての事だし、聞いた事も無かったから言われるがままにそのままの流れで来ちゃったけど……実はここの教導隊に新スキルを教えるって手筈で事が進んでるんだよね……」

 「な、なんでまたそんな事に……」
 ティナの話を聞いた瞬間にジミの眉毛がへの字になる。

 「今更、言い訳にしかならないけど、そう言うもんだって思ってたから……いやぁ……鵜呑みと過信はは禁物って事だよね……ホント今更なんだけど……」

 どうなってるんだ?と言わんばかりに半ば呆れた様子でジミはティナに質問したのである。

 「ティナサーン、その辺の経緯を少し詳しく聞かせて下サーイ。」

 「あ、うん、さっきも言ったけど、スキル認定には、その時点での上限スキル所有者の確認が必要って聞かされてね、マサキが本当に新スキルを持ってるのか?って感じでテストされてさ、そのテスト内容が教導隊との模擬戦だった様な感じ……だった気がするんだけど……
 あれ?違ったかな?なんで模擬戦やったんだっけかな?あれ?」

  視線を斜め上に向けたり地面を見たり、ゆっくりと思い出しながらティナは事の経緯を説明したのであった。

 「アグレッサー部隊と模擬戦をしたんですか?!」

  ジミはティナの模擬戦と云う言葉に敏感に反応して、かぶり付きで話を聴いていたのである。

 「あ、ええ。模擬戦?うん。模擬戦。私達はなんだったかな……?
 300系?二人乗りのモアに乗って教導隊の人達は700系?ってのに乗ってましたよ。
 なんか装備も色々付いてたし。
 まぁ、私達の乗った300系ってのも追加装備付けて貰ったんですけどね!」

 「………………300系で700系を相手に?!
 それ、頭おかしいデース!ミリタリーモアで二世代違うと性能差が雲泥の差デース!
 いくら追加装備つけたと言っても……
 相手の700系も追加装備してるんですよねぇ……?
 スーパーパック?ストライクパック?ん~……
 何を装備していたんでしょうか……」

  ジミは腕を組んで何やら考えて居たが、最後の方は独り言になっていたのだった。 

 「まぁ、その辺はスチュアートさんもエイドリアンさんからも聞いてたんだけど、目的は、本当にスキルが使えるのかって所だと思ってたから……」

 「で、どうなりました?」

 「う~ん……苦戦しながらも撃退?みたいな。」

 「全員ですか?」

 「ええ、まぁ……」

 「と言うか、何人相手だったのですか?」

 「えっと……5人?6人?ちょっと曖昧だけど、それ位だったかなぁ?」

 「アグレッサー部隊5~6人相手に撃退?って……しかも二世代前の機体で最新鋭機を??」
 
 ジミはそれを聞いた途端、固まってしまったのだった。

  (あ、ジミさん固まった……)

 「ま、まぁ……そんな感じです。かなり苦戦したんですよ!最後なんてマサキ自ら……あっ!」
  ティナはハッとなり言葉を途中で切ったのである。

 「どうしましたか?」
  固まった状態から、不意に鋭い視線に切り替わるジミである。

 「あ、いや……マサキのスキルに関わる事だから……すみません!聞かなかった事にしてください!」

 「あ~…………ハイ。ワカリマシタ~!と言うか……色々と驚愕し過ぎて言葉がアリマセーン……」

 「そんなにですか?大変だったのは大変だったんだけど……」

 「いや、普通に考えて見ても下サーイ!二世代のミリタリーモアの性能差を無にする……いや、上回るだけのスキルって……脅威ですって……」

 「まぁ、そうなんでしょうけど……あ、そう言えばアレです!
 教えた所で、その新スキルが出来る出来ないは話は別って言ってましたよ!」

 「いや、それはそうなんですケド……仮に出来た場合を考えると……最新鋭機が買えない貧乏国でも、大国に対してそれなりの対抗手段となるし、大国がその新スキルを保有すれば更に強固な国になって他国は口出し出来なくなるだろうし……う~ん……困った事になりましたねェ……」

 大事とはティナもある程度は自覚していた物の、現在こうやって服役して居ないジミに改めて言われると、若しかしたらとんでもない事になって仕舞うのではないかと不安が過ぎったのであった。

 自分の発言に対して、不安にさせてしまったティナを見て、ジミは「ちょっと大袈裟に言い過ぎたかな?」と一瞬反省をしたのだが、こういう事はハッキリさせた方が良いと自分に言い聞かせて言葉を掛けたのである。

  「まぁ、今からクラタナさんとも会いますし、そこで今後どうするかも考えて行ったら良いんじゃナイデスカネ?」

  ティナは「え、ええ。お世話になります……」
 と伏し目がちに言葉を繋いだのだった。

 「いや、いや!コレも縁ですって!気にする事ナイデース!」
 ジミは何時もの笑顔でそう答えたのである。

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