【本編完結】瓦解

星の書庫

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そして二人は、結ばれる。

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 期末考査が終わり、程なくして、夏休みに入った。俺は中間考査の成績がよかったので、見込み点でオール五を取ることができた。緩い高校で助かった。
一方の茉莉はというと、ギリギリ赤点を回避し、補習を受けずに済んだ。俺が勉強を見たのは数回しかなかったので、彼女はやれば出来る人なのだろう。
「あんたが勉強見てくれたからでしょ」
「またまた。怪我もしていたし、俺は何もしてないぞ」
 終業式終わりに、こうして並んで歩く俺たちの関係は、仲の良い友達のままだ。だが、明らかにお互いを意識しあっているように感じる。彼女の気持ちは分からないが、俺は茉莉のことが好きなんだと、自覚し始めている。
「さっきからニヤニヤして、気持ち悪いわねあんた」
「なんだよ、別ににやけてなんかねーよ」
「あっそ。ほら、早く帰ってゲームするわよ」
「え?」
「しないの?」
「いや、どこで?」
「私の家だけど?」
「えぇ……」
もちろん、そんな約束なんてしていなかった。俺は、半ば強制的に茉莉の家へと連行された。
そういえば、前にも同じようなことがあった気がする。茉莉は我が強いので、当然といえば当然なのだろうか。

「ただいまぁ。あ~疲れた」
「疲れたって、お前座ってただけだろ。……お邪魔します」
「まつりちゃんも純くんもお帰りなさぁい。暑かったでしょ?麦茶冷えてるわよ~」
「ありがとうございます。あと……お久しぶりです」
「久しぶりねぇ。あの時は、あんな大怪我させちゃって、ごめんね?もう大丈夫なの?」
「ぼ、僕の方こそ。不注意であんな事故を招いてしまって、すみません」
「あらあら、子供が気を使っちゃダメじゃない。まつりちゃんは怪我してないんだし。大丈夫よぉ」
「そう……ですか」
「はぁい。じゃあ、後でお部屋にお茶とお菓子持っていくわねぇ」
そう言って、茉莉の母、史乃さんはリビングへと消えていった。事故の件で嫌われたと思っていたので、会うのは少し気まずかった。実際に会ってみると、気にしていない様子だったので、安心した。

 茉莉の部屋に入るのは、これが二度目だ。ただ、以前とは緊張の度合いが桁違いだった。
「早く入りなさいよ」
「お、おう……」
おずおずと部屋に入り、中を見回す。前とは打って変わって、部屋が綺麗なまま保たれている。綺麗なだけでなく、少し良い匂いまで漂っていた。まさしく、「女子の部屋」という感じで、余計に緊張する。
「な、何よ」
「……お前、一人で片付けなんてできたのか」
つい、思ってもないことを口に出してしまった。いつもの俺らしくない。いや、今日は仕方ない。頭がおかしくなりそうだ。
「当たり前じゃない。いつあんたが来てもいいようにって、頑張ってるのよ」
「そ、そうなのか」
「そうよ」
茉莉も、今日はいつになく素直だ。いつもこうなら良いのに。
「今何か失礼なこと考えてるでしょ」
「……別に」
「……あっそ」
二人の間を、沈黙が走る。気まずい。何を話せば良いのだろうか。
そんな時、救いの手が差し伸べられた。
「はぁい、今神様が上を通りましたぁ~」
「っ!?」
いつの間にか、背後には史乃さんが立っていた。驚いて飛び退くと、彼女はニコニコと部屋の中に入ってくる。
「静かになると、頭の上を神様が通るんだよぉ。純くん、知ってた?」
「そ、そうなんですね……。勉強になります」
「真面目ねぇ。まつりちゃんも、純くんくらい真面目なら良いのにねぇ」
「もう、うるさい!用が済んだならあっち行ってよ!」
「はいはい、お邪魔虫なお母さんは消えまぁす」
史乃さんは、二人分の麦茶とお菓子の乗ったお盆を置いて、リビングへと帰っていった。
二人の間に、また無言の時間が流れようとしたが、茉莉が口を開いた。
「あんなお母さんでごめんね」
「いや、良いと思うぞ?」
「そう?こっちは困りっぱなしよ」
「そうなのか……」
「さ、早くゲームを始めましょうか」
「そうだな」
 茉莉は家庭用ゲーム機を自室のテレビに繋いだ。俺も彼女の隣に腰掛ける。

 俺たちは、時間を忘れてゲームを楽しんだ。
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