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第1章
16.黒き守護龍
散々歩き回って花を観察して一息つく。少しだけ満足したと感じたとき、ふと誰かに見られているような気がした。顔を上げて辺りを見渡す。
すると、お花畑の向こう側、100メートルほどさきの距離はあるだろうか、遠くに誰かが立っているのを見つけた。全身真っ黒の服に、黒い髪が見える。パンツを着ているのと髪の長さから、恐らく男の子だろう。歳はそんなに私たちと離れていない。12~3歳ぐらいだろうか。
その少年がどうにも気になる。
「殿下少しお聞きしたいことが」
「どうしました?」
「こちらです」
王子の元へ駆け寄ると今度が私が彼を引っ張って行ってた。
少年を見つけた場所まで戻ると、まだあの少年変わらずにこちらを見つめている。
「殿下、あの方はどなた?」
しばし目を細めて見ていたが、何かに気づいたのか彼は私に向き直る。
「え~と……。あぁ、彼は黒龍様です。この国と宮殿を守ってくださっているのですよ」
「こくりゅう……?ではあの方は人ではないのですか?」
「はい」
もう一度彼を見るが、どう見ても人間にしか見えない。あれが本当は人間の何倍も大きな龍の姿をしているなんて、実際に見なければ信じられないだろう。そもそも龍を見る機会など早々ないのだ。龍に関わる仕事をしているならばまだしも、一般人であるならば人生で1度見られればラッキーなほど。それぐらい人との関わりを遮断している。
そんな貴重な存在を見られるなんて少し興奮する。
そのためか、いままでさほど興味がなかったのに、どうしてか龍のことが気になりはじめていた。
「それではあの黒龍様は国王陛下と契約した方なのですか?」
龍と関わる機会がある人間の中に、この国の国王陛下も含まれる。
というのも、この国には代々、国王が国を守るのを援助してもらうため龍と契約する決まりになっている。
龍というのは魔力が人の何倍もあり、支援してもらうにはもってこいなのである。
基本的に呼び出される龍は成獣していないものが多く、契約した龍は主人が死ぬまで守り、命令を聞いてくれる。
その代わり、成獣になるまで身の回りの世話をして守り通すのが契約の条件になる。龍というのは成獣になるまでに亡くなる可能性が非常に高いらしく、お互いを守り通すため、龍と人とが昔交わした契約なのだそうだ。また、血を媒体にして呼び出すため、どのようなものがくるのかは人によって様々だ。魔力の強さも呼び出した主人に比例する。
その制度は私の前世が統治していた時から儀式として存在していたが、まさかオルタリア王国に変わってもその伝統が受け継がれていると知ったときは驚いた。それ程、龍と契約するということは国を維持するのに必要なことなのだろう。
「いいえ、父上が契約された方は他にいるのです」
「え?ではあの方は?」
「あの黒龍様はこの国が建国されてからずっと、この国を守ってくださっているそうです」
「ずっとですか?!」
龍とは契約者がいなくなれば自動的に契約が破棄され、姿を消す。
それは龍の性質上、あまり他の種と共にいるのを好まないためだ。
だから人がこんなにいる場所に、しかも建国からということは200年も国に居続けるなんて普通だったらありえない。王子の話ではこの国をずっと守っている、ということは契約が破棄された今もそれに従い続けているということだろう。
そんな奇特な龍が存在するなんて驚きだ。
「へぇ、忠誠心の強い龍様なのですね」
そんな大層な龍がなぜこんなところで私を見つめていたのだろうか。
もしかして不審者にでも間違えられたんじゃ?
(待てよ……)
嫌な考えが私の頭を駆け巡る。
龍は人の何倍も魔力を持っていると聞く。
もし私の前世を王子のように感じるだけでなく、誰だかもわかってしまっていたとしたら。
建国からずっとこの国を守ってきた龍だ。
ということは、この国ができて間もなく契約した龍なのだろう。
もしかしたら私の前世がまだ生きている時代を知っていて、私の悪行に少なからず恨みを持っている可能性も無きにしもあらず。
だってこの国を200年も守るぐらい、この国か、かつての主人を大切にしていたのだから。
いやいや、これ以上敵が増えるのはまじで駄目よ。
しかも相手は龍とか勝ち目がないじゃない。
少し興味があるけれど、あの黒龍には近づかないようにしよう。
すると、お花畑の向こう側、100メートルほどさきの距離はあるだろうか、遠くに誰かが立っているのを見つけた。全身真っ黒の服に、黒い髪が見える。パンツを着ているのと髪の長さから、恐らく男の子だろう。歳はそんなに私たちと離れていない。12~3歳ぐらいだろうか。
その少年がどうにも気になる。
「殿下少しお聞きしたいことが」
「どうしました?」
「こちらです」
王子の元へ駆け寄ると今度が私が彼を引っ張って行ってた。
少年を見つけた場所まで戻ると、まだあの少年変わらずにこちらを見つめている。
「殿下、あの方はどなた?」
しばし目を細めて見ていたが、何かに気づいたのか彼は私に向き直る。
「え~と……。あぁ、彼は黒龍様です。この国と宮殿を守ってくださっているのですよ」
「こくりゅう……?ではあの方は人ではないのですか?」
「はい」
もう一度彼を見るが、どう見ても人間にしか見えない。あれが本当は人間の何倍も大きな龍の姿をしているなんて、実際に見なければ信じられないだろう。そもそも龍を見る機会など早々ないのだ。龍に関わる仕事をしているならばまだしも、一般人であるならば人生で1度見られればラッキーなほど。それぐらい人との関わりを遮断している。
そんな貴重な存在を見られるなんて少し興奮する。
そのためか、いままでさほど興味がなかったのに、どうしてか龍のことが気になりはじめていた。
「それではあの黒龍様は国王陛下と契約した方なのですか?」
龍と関わる機会がある人間の中に、この国の国王陛下も含まれる。
というのも、この国には代々、国王が国を守るのを援助してもらうため龍と契約する決まりになっている。
龍というのは魔力が人の何倍もあり、支援してもらうにはもってこいなのである。
基本的に呼び出される龍は成獣していないものが多く、契約した龍は主人が死ぬまで守り、命令を聞いてくれる。
その代わり、成獣になるまで身の回りの世話をして守り通すのが契約の条件になる。龍というのは成獣になるまでに亡くなる可能性が非常に高いらしく、お互いを守り通すため、龍と人とが昔交わした契約なのだそうだ。また、血を媒体にして呼び出すため、どのようなものがくるのかは人によって様々だ。魔力の強さも呼び出した主人に比例する。
その制度は私の前世が統治していた時から儀式として存在していたが、まさかオルタリア王国に変わってもその伝統が受け継がれていると知ったときは驚いた。それ程、龍と契約するということは国を維持するのに必要なことなのだろう。
「いいえ、父上が契約された方は他にいるのです」
「え?ではあの方は?」
「あの黒龍様はこの国が建国されてからずっと、この国を守ってくださっているそうです」
「ずっとですか?!」
龍とは契約者がいなくなれば自動的に契約が破棄され、姿を消す。
それは龍の性質上、あまり他の種と共にいるのを好まないためだ。
だから人がこんなにいる場所に、しかも建国からということは200年も国に居続けるなんて普通だったらありえない。王子の話ではこの国をずっと守っている、ということは契約が破棄された今もそれに従い続けているということだろう。
そんな奇特な龍が存在するなんて驚きだ。
「へぇ、忠誠心の強い龍様なのですね」
そんな大層な龍がなぜこんなところで私を見つめていたのだろうか。
もしかして不審者にでも間違えられたんじゃ?
(待てよ……)
嫌な考えが私の頭を駆け巡る。
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もし私の前世を王子のように感じるだけでなく、誰だかもわかってしまっていたとしたら。
建国からずっとこの国を守ってきた龍だ。
ということは、この国ができて間もなく契約した龍なのだろう。
もしかしたら私の前世がまだ生きている時代を知っていて、私の悪行に少なからず恨みを持っている可能性も無きにしもあらず。
だってこの国を200年も守るぐらい、この国か、かつての主人を大切にしていたのだから。
いやいや、これ以上敵が増えるのはまじで駄目よ。
しかも相手は龍とか勝ち目がないじゃない。
少し興味があるけれど、あの黒龍には近づかないようにしよう。
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