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第2章
22.兄妹
馬車を走らせ屋敷に戻る。
お昼前には着いて一安心だ。
(確かお父様が返ってくるのは15時ごろと言っていたわよね)
ならばおそらく気づかれないだろう。
使用人たちには口止めしたし。
ぐぅとなったお腹を押さえ、昼食はなんだろうと心躍らせていた。
ガチャリと玄関の扉を開け、ルンルン気分で足を踏み込もうとしたとき。
開いた扉の先で、仁王立ちで腕組みをし鬼の形相でこちらを睨みつける一人の青年がそこに立っていた。
「グレスお兄様……」
4つ年上の兄は2年前の春、国立タリエスタ学園の中等部を卒業し、それと同時に寮生活から別れを告げた。
それからは進学した高等部へは自宅から通っている。
今年の春同学園の中等部に入学した私は、中等部の学生は寮に必ず入るという学園の規則に則り寮生活が始まっていた。
しかし今は夏季休暇の真っ最中。ということで実家に帰ってきているのだ。
今日は寮生活をしていた間にできなかった取材を、思う存分行うチャンスと思い父が朝早く用事で外出するのを見計らって出掛けたのだ。
しかし、両親の目は盗めても兄の目は盗めなかったらしい。
優しいそうな顔立ちは父にそっくりだが、性格は両親のどちらにも似ず、神経質でくそ真面目。
こうして私が言いつけを守らなかったのを目くじら立てて怒っている。
ため息ばかりがでる父の説教よりかは愛が感じられるからまだましだけれど。
「エスティ、また父上の言いつけを守らずに外出したな」
「だってお兄様、久しぶりに外に自由に出掛けられるのよ。お父様が許可した時以外はずっと家に居ろ、だなんて窮屈すぎてストレスが溜まってしまいますわ」
「それは……、そうかもしれないが」
兄も寮生活の経験から私の窮屈さはわかっているのだろう。
父の言いつけを守っていたら寮にいるときとなにも変わらない。
これが普通の令嬢だったら父だって外出するのを頑なに禁止することもないだろう。
しかし、私は普通の令嬢じゃない。
いつ私がボロを出すのか父は気が気でないのだろう。それは、5年間父と接してきて十分理解している。
だが私だって意志がある人間だ。こんな風に閉じ込められるのに苦痛を感じないわけがない。
それに鳥籠の中に囚われたまま世間を知らずに育ってしまっては、私の目的は果たせない。
「とにかく、父上の言うことには素直に従っていろ。これ以上窮屈な生活になってもいいのか?」
「それは……」
痛いところを付かれ、言葉に詰まる。
確かに言いつけを破っていたのがバレれば、更に行動を制限されるだろう。
どうにか対策を考えねば。
言いつけを破っても父に干渉されない方法を。
どうしたものかと考えているとどこからか、パタパタと何かがこちらに向かって走ってくるような音が聞こえてきた。
「おねぇ~さま!」
「きゃあ!」
今年10歳になる妹、シルビアが走ってきた勢いそのままに私の胸に飛び込んできた。
何とか倒れずに済んだが、もう妹を受けとめるのは限界だろう。
「こらシルビア!行儀が悪いぞ!」
7つ下の妹にも容赦なく怒りの鉄槌を落とす兄に、シルビアは私の後ろに隠れて顔を少しだけだす。
「だってお兄様怖いんだもの……」
ひょっこりと出した表情は不満顔なのにそのかわいらしさはちっとも歪んでいないから驚きだ。
私と同じブロンドのなびく髪をしてるが、顔立ちは父と母を足して2で割ったような欲張りセット。
瞳は大きく、唇は桜色に染まっていてその可愛らしい姿はどこからどう見ても美少女だ。
(かわいい……)
恐らくこの場にいた兄以外の人間はそう思ったに違いない。
しかし、兄にはそれが全く効いていないらしい。
これだから妹に懐かれないの、分かっていないのかしら。
まぁ本人が気にしていないみたいだからいいけれど。
隠れたシルビアを睨みつけていたが、何かを思い出したかのか睨みつけるのをやめると、おもむろに胸ポケットから何かを取り出した。
「そういえばこれが届いていたぞ」
「なんですか?」
兄が差し出した封筒を受け取る。
形からしてパーティーか何かの招待状だろう。
(あら、王家の封蠟だわ)
ということは王家主催のパーティーか何かの招待状だろう。
中身を確認すると、案の定パーティーの招待状だった。
しかし、開催は1週間後。
どうしてこんなに直前になって招待状が届いたのだろう。
「どうやら第2王子は予定では視察の用事があって出られないとのことだったみたいだがな。急遽その視察が中止になったようで、参加することになったそうだ。
そこで婚約者もしようとなってだな」
兄が頼んでもいないのに勝手に説明してくれる。
なるほど。
う~ん、まだ少し疑問ではあるけれど、おそらく彼女の力も働いているのだろう。
少し行くのは面倒だけれど仕方ないか。
「お兄様は出席するのでしょう?」
「あぁ、それはもちろん」
当然とでも言うように肯定する。
第1王子の1つ上、ということもあり学園では彼の指導係のようなものを担っていた。
つまり、兄は第1王子とは先輩後輩の仲であり仲の良い友人のような関係なのである。
加えて公爵家の跡取りである兄を呼ぶのは当たり前といえば当たり前だ。
お昼前には着いて一安心だ。
(確かお父様が返ってくるのは15時ごろと言っていたわよね)
ならばおそらく気づかれないだろう。
使用人たちには口止めしたし。
ぐぅとなったお腹を押さえ、昼食はなんだろうと心躍らせていた。
ガチャリと玄関の扉を開け、ルンルン気分で足を踏み込もうとしたとき。
開いた扉の先で、仁王立ちで腕組みをし鬼の形相でこちらを睨みつける一人の青年がそこに立っていた。
「グレスお兄様……」
4つ年上の兄は2年前の春、国立タリエスタ学園の中等部を卒業し、それと同時に寮生活から別れを告げた。
それからは進学した高等部へは自宅から通っている。
今年の春同学園の中等部に入学した私は、中等部の学生は寮に必ず入るという学園の規則に則り寮生活が始まっていた。
しかし今は夏季休暇の真っ最中。ということで実家に帰ってきているのだ。
今日は寮生活をしていた間にできなかった取材を、思う存分行うチャンスと思い父が朝早く用事で外出するのを見計らって出掛けたのだ。
しかし、両親の目は盗めても兄の目は盗めなかったらしい。
優しいそうな顔立ちは父にそっくりだが、性格は両親のどちらにも似ず、神経質でくそ真面目。
こうして私が言いつけを守らなかったのを目くじら立てて怒っている。
ため息ばかりがでる父の説教よりかは愛が感じられるからまだましだけれど。
「エスティ、また父上の言いつけを守らずに外出したな」
「だってお兄様、久しぶりに外に自由に出掛けられるのよ。お父様が許可した時以外はずっと家に居ろ、だなんて窮屈すぎてストレスが溜まってしまいますわ」
「それは……、そうかもしれないが」
兄も寮生活の経験から私の窮屈さはわかっているのだろう。
父の言いつけを守っていたら寮にいるときとなにも変わらない。
これが普通の令嬢だったら父だって外出するのを頑なに禁止することもないだろう。
しかし、私は普通の令嬢じゃない。
いつ私がボロを出すのか父は気が気でないのだろう。それは、5年間父と接してきて十分理解している。
だが私だって意志がある人間だ。こんな風に閉じ込められるのに苦痛を感じないわけがない。
それに鳥籠の中に囚われたまま世間を知らずに育ってしまっては、私の目的は果たせない。
「とにかく、父上の言うことには素直に従っていろ。これ以上窮屈な生活になってもいいのか?」
「それは……」
痛いところを付かれ、言葉に詰まる。
確かに言いつけを破っていたのがバレれば、更に行動を制限されるだろう。
どうにか対策を考えねば。
言いつけを破っても父に干渉されない方法を。
どうしたものかと考えているとどこからか、パタパタと何かがこちらに向かって走ってくるような音が聞こえてきた。
「おねぇ~さま!」
「きゃあ!」
今年10歳になる妹、シルビアが走ってきた勢いそのままに私の胸に飛び込んできた。
何とか倒れずに済んだが、もう妹を受けとめるのは限界だろう。
「こらシルビア!行儀が悪いぞ!」
7つ下の妹にも容赦なく怒りの鉄槌を落とす兄に、シルビアは私の後ろに隠れて顔を少しだけだす。
「だってお兄様怖いんだもの……」
ひょっこりと出した表情は不満顔なのにそのかわいらしさはちっとも歪んでいないから驚きだ。
私と同じブロンドのなびく髪をしてるが、顔立ちは父と母を足して2で割ったような欲張りセット。
瞳は大きく、唇は桜色に染まっていてその可愛らしい姿はどこからどう見ても美少女だ。
(かわいい……)
恐らくこの場にいた兄以外の人間はそう思ったに違いない。
しかし、兄にはそれが全く効いていないらしい。
これだから妹に懐かれないの、分かっていないのかしら。
まぁ本人が気にしていないみたいだからいいけれど。
隠れたシルビアを睨みつけていたが、何かを思い出したかのか睨みつけるのをやめると、おもむろに胸ポケットから何かを取り出した。
「そういえばこれが届いていたぞ」
「なんですか?」
兄が差し出した封筒を受け取る。
形からしてパーティーか何かの招待状だろう。
(あら、王家の封蠟だわ)
ということは王家主催のパーティーか何かの招待状だろう。
中身を確認すると、案の定パーティーの招待状だった。
しかし、開催は1週間後。
どうしてこんなに直前になって招待状が届いたのだろう。
「どうやら第2王子は予定では視察の用事があって出られないとのことだったみたいだがな。急遽その視察が中止になったようで、参加することになったそうだ。
そこで婚約者もしようとなってだな」
兄が頼んでもいないのに勝手に説明してくれる。
なるほど。
う~ん、まだ少し疑問ではあるけれど、おそらく彼女の力も働いているのだろう。
少し行くのは面倒だけれど仕方ないか。
「お兄様は出席するのでしょう?」
「あぁ、それはもちろん」
当然とでも言うように肯定する。
第1王子の1つ上、ということもあり学園では彼の指導係のようなものを担っていた。
つまり、兄は第1王子とは先輩後輩の仲であり仲の良い友人のような関係なのである。
加えて公爵家の跡取りである兄を呼ぶのは当たり前といえば当たり前だ。
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お楽しみいただけると幸いです。