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第3章
68.彼からの贈り物
「まぁヴァリタス殿下。そんなところに座って、これでは私が座る場所がないではありませんか」
本日日直のナタリーは先生に呼び出されていたため遅れてやってきたのだが、ヴァリタスが座った今、4人掛けが限界のベンチではナタリーが座る場所がない。
咄嗟にスクっと立ち上がるミリアを見て、ナタリーは眉をひそめた。
その冷たい視線に気づき、ヴァリタスは居心地悪そうにしていたが彼も引く気はないらしい。
「麗しい女性たちの昼食の邪魔をしてしまったみたいですね、申し訳ありません。しかし、私も久しぶりに婚約者と食事でもしながらゆっくりしたいのですが」
彼の主張に口元に手を当て考えるナタリー。
「それもそうですね。ならば」
スクっと腕を上げ、指を指した方向は……。
「あちらのテラス席で、みんなで、食事をするとしましょう」
食堂のテラスまで移動し、テーブルを囲むように椅子に腰掛ける。
右隣には先ほどと同じように、ヴァリタスが座っている。
彼の隣にメドビン嬢を座らせられたのは良かったが、まさか彼とこんな風に昼食を共にする日が来ようとは。。
とはいえ、彼の隣に座るのはなんだか距離が近くて落ち着かない。
幸い左隣は我が愛しのミリアだからちょっとほっとしているけど。
なんだろう。今日はいつも以上にヴァリタスの近くにいたくない。
さっき記憶を少し思い出したからかしら。
各々用意したランチを口に運ぶ。
私はいつものようにミリアとサンドイッチをつついた。
貴族としてはここで豪華な食事を食べるのが普通なのだろうけれど、私は普通の女性よりも食が細いからサンドイッチ二つ食べればお腹一杯になってしまう。
そのため、軽食のようなものでも十分なのだ。
昔は家族やはじめてヴァリタスやナタリーと食事を共にしたとき心配されたけど、もう皆慣れたのか誰も何も言わなくなった。
流石にメドビン嬢は初めて見たときちょっとびっくりしてたけど、気をまわす性格なのか何も言ってこなかったし。
それに、食事をあまり取らない代わりに結構間食してしまうのよねぇ。
本当はそっちの方が問題なんだろうけど。
しばらく世間話と共に食事を進める。
何とかメドビン嬢とヴァリタスと会話を繋げられないか考えていたが、当のメドビン嬢はナタリーと趣味の話をするのに夢中でヴァリタス会話する気配がない。
まぁ、初めてヴァリタスと食事する機会ではあるし、彼女にとっては身分が違い過ぎる相手だ。
今日のところは隣に座ってもらっただけでも良しとすることにしよう。
皆殆ど食べ終わった頃に、ヴァリタスは思い出したように、しかし口をもごもごさせながら私に顔を向けた。
「あの、エスティ」
「はい?」
「そのリボンとても似合っています」
顔を赤らめながら言う彼の反応に最初は気づかなかったが、そこでハッと気づいた。
そういえば、私の髪を結うために使っているリボン、彼が進学祝いにくれたものだったっけ……。
ああああああ、なんてことなの!
私ってば莫迦⁉ 莫迦なの⁉
いまここでそれに気づくなんて、自分の鈍感具合にほとほと呆れる。
でもだってこのリボン、癪だけれどとても素敵なんだもの。
私の瞳の色に合わせた深い青色の生地に、金色の模様がくどくない程度にあしらわれており可愛らしく気品も持ち合わせた逸品なのだ。
高等科に上がってから使い始めたものの、すでに私のお気に入りの1つとなっており結構頻繁に使っている。
しかし、これが彼に知られてしまうということは彼の好感度を上げることに繋がってしまう。
嫌われたがっているのに、その反対の行動をする間抜けがどこにいるというのか。
いやここにいるけれどもね。
「ありがとうございます。ヴァリタス様」
お礼を言うとさらに顔を真っ赤にしながらも微笑む姿は、なんとも初心な少年のよう。
そんな赤くならんくても。どう反応すれば良いかわからないじゃない。
見てよナタリーとメドビン嬢の反応を。
メドビン嬢は目をキラキラさせて少し紅潮した頬が可愛らしいけれど、ナタリーに至っては眼力がすごすぎて最早怖いぐらいにガン見してきてるじゃない。
もう、本当に恥ずかしいんだから。
「そういえばそのリボン、ヴァリタス殿下が送ったものでしたね」
「「そうなんですか⁈」」
いつもは人見知りから黙っているミリアがなぜだか今日は余計なことを言ってきた。
その言葉を聞いた瞬間、条件反射なのか異口同音に声を揃えて言う2人。
普段は清楚で可愛らしい令嬢のはずの2人が、テーブルに手をついて前のめりに私に顔を近づけてくる。
ああ、貴族令嬢がはしたないって怒られるわよ。
「そうだったのですね。とっても素敵です!」
「でも言われてみれば……。エスティに似合っているし納得だわ」
2人して興奮気味に感想を言ってくれるのは有難いけれど、もうやめて! お願い! 恥ずかしいから!
よりにもよってメドビン嬢の前でその話をしなくても良いのに……。
ヴァリタスが私に好意を持っていると知られてしまったら、メドビン嬢と恋に発展しづらくなるじゃない。
なんだか出鼻をくじかれた気分だわ。
本日日直のナタリーは先生に呼び出されていたため遅れてやってきたのだが、ヴァリタスが座った今、4人掛けが限界のベンチではナタリーが座る場所がない。
咄嗟にスクっと立ち上がるミリアを見て、ナタリーは眉をひそめた。
その冷たい視線に気づき、ヴァリタスは居心地悪そうにしていたが彼も引く気はないらしい。
「麗しい女性たちの昼食の邪魔をしてしまったみたいですね、申し訳ありません。しかし、私も久しぶりに婚約者と食事でもしながらゆっくりしたいのですが」
彼の主張に口元に手を当て考えるナタリー。
「それもそうですね。ならば」
スクっと腕を上げ、指を指した方向は……。
「あちらのテラス席で、みんなで、食事をするとしましょう」
食堂のテラスまで移動し、テーブルを囲むように椅子に腰掛ける。
右隣には先ほどと同じように、ヴァリタスが座っている。
彼の隣にメドビン嬢を座らせられたのは良かったが、まさか彼とこんな風に昼食を共にする日が来ようとは。。
とはいえ、彼の隣に座るのはなんだか距離が近くて落ち着かない。
幸い左隣は我が愛しのミリアだからちょっとほっとしているけど。
なんだろう。今日はいつも以上にヴァリタスの近くにいたくない。
さっき記憶を少し思い出したからかしら。
各々用意したランチを口に運ぶ。
私はいつものようにミリアとサンドイッチをつついた。
貴族としてはここで豪華な食事を食べるのが普通なのだろうけれど、私は普通の女性よりも食が細いからサンドイッチ二つ食べればお腹一杯になってしまう。
そのため、軽食のようなものでも十分なのだ。
昔は家族やはじめてヴァリタスやナタリーと食事を共にしたとき心配されたけど、もう皆慣れたのか誰も何も言わなくなった。
流石にメドビン嬢は初めて見たときちょっとびっくりしてたけど、気をまわす性格なのか何も言ってこなかったし。
それに、食事をあまり取らない代わりに結構間食してしまうのよねぇ。
本当はそっちの方が問題なんだろうけど。
しばらく世間話と共に食事を進める。
何とかメドビン嬢とヴァリタスと会話を繋げられないか考えていたが、当のメドビン嬢はナタリーと趣味の話をするのに夢中でヴァリタス会話する気配がない。
まぁ、初めてヴァリタスと食事する機会ではあるし、彼女にとっては身分が違い過ぎる相手だ。
今日のところは隣に座ってもらっただけでも良しとすることにしよう。
皆殆ど食べ終わった頃に、ヴァリタスは思い出したように、しかし口をもごもごさせながら私に顔を向けた。
「あの、エスティ」
「はい?」
「そのリボンとても似合っています」
顔を赤らめながら言う彼の反応に最初は気づかなかったが、そこでハッと気づいた。
そういえば、私の髪を結うために使っているリボン、彼が進学祝いにくれたものだったっけ……。
ああああああ、なんてことなの!
私ってば莫迦⁉ 莫迦なの⁉
いまここでそれに気づくなんて、自分の鈍感具合にほとほと呆れる。
でもだってこのリボン、癪だけれどとても素敵なんだもの。
私の瞳の色に合わせた深い青色の生地に、金色の模様がくどくない程度にあしらわれており可愛らしく気品も持ち合わせた逸品なのだ。
高等科に上がってから使い始めたものの、すでに私のお気に入りの1つとなっており結構頻繁に使っている。
しかし、これが彼に知られてしまうということは彼の好感度を上げることに繋がってしまう。
嫌われたがっているのに、その反対の行動をする間抜けがどこにいるというのか。
いやここにいるけれどもね。
「ありがとうございます。ヴァリタス様」
お礼を言うとさらに顔を真っ赤にしながらも微笑む姿は、なんとも初心な少年のよう。
そんな赤くならんくても。どう反応すれば良いかわからないじゃない。
見てよナタリーとメドビン嬢の反応を。
メドビン嬢は目をキラキラさせて少し紅潮した頬が可愛らしいけれど、ナタリーに至っては眼力がすごすぎて最早怖いぐらいにガン見してきてるじゃない。
もう、本当に恥ずかしいんだから。
「そういえばそのリボン、ヴァリタス殿下が送ったものでしたね」
「「そうなんですか⁈」」
いつもは人見知りから黙っているミリアがなぜだか今日は余計なことを言ってきた。
その言葉を聞いた瞬間、条件反射なのか異口同音に声を揃えて言う2人。
普段は清楚で可愛らしい令嬢のはずの2人が、テーブルに手をついて前のめりに私に顔を近づけてくる。
ああ、貴族令嬢がはしたないって怒られるわよ。
「そうだったのですね。とっても素敵です!」
「でも言われてみれば……。エスティに似合っているし納得だわ」
2人して興奮気味に感想を言ってくれるのは有難いけれど、もうやめて! お願い! 恥ずかしいから!
よりにもよってメドビン嬢の前でその話をしなくても良いのに……。
ヴァリタスが私に好意を持っていると知られてしまったら、メドビン嬢と恋に発展しづらくなるじゃない。
なんだか出鼻をくじかれた気分だわ。
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お楽しみいただけると幸いです。