84 / 339
第3章
83.傷つける欲
彼の居なくなった席をぼんやりと見つめていた。
馬鹿か。
馬鹿なのか私は。
どうして、あんなに傷つけるようなことをしたんだ。
いくら彼の好意を終わらせたいと思っていたとしても、彼の気持ちを考えてればもう少しうまくできたはずだ。
穏便に彼の気持ちが無意味なものなのだと、悟らせることだってできたはずなのに。
でもそうしなかったのは、彼との関係に亀裂を走らせることができる、と少しだけでも思っていたから。
そうやって先を急ぎ過ぎた結果、私は彼を深く深く傷つけた。
自分の欲望のために、彼の気持ちを軽んじたから。
そうして、彼が居なくなった後こんな風に落ち込んでいるのだから世話がない。
それでも、この沈んだ気持ちを切り替えることはできなかった。
これじゃあ、私が恨んだ彼らと同じだ。
私の気持ちを軽んじて、私を蔑ろにした前世の周りの大人たちと。
あんなに嫌っていた人達と同じことをしてしまうなんて。
しかも、自分の欲望のためという、彼らと動機は全く一緒なのだから皮肉なものだ。
なんだか、もうどうでも良くなってきたかも。
そうしてしばらくぼうっとしていた。
ふと、下をみると彼の頼んでくれたケーキが私の前に置かれていた。
おもむろにスプーンを手に取ると、ケーキを少しだけ切り分け、口へと運ぶ。
「おいしい……」
絶妙に合わさった甘酸っぱさが程よく口の中に広がってすごくおいしい。
こんなにおいしいものだったなら、彼と一緒に食べればよかった。
きっと私がこうして感想を言えばすごく喜んでくれただろう。
その後だって、あの話はできたはずなのに。
せき止めていたものが、次々に零れていく。
それは、きっとこのケーキが、私を想って連れてきてくれたこの味が、彼の優しさが詰まったものだったからかもしれない。
だからこそ、私が泣くのは間違っている。
それでも、頬を伝う雫を止めることはできなかった。
1つ食べ終わると、彼が残していったケーキを自分の方へ手繰り寄せ、またしても口に頬張る。
もうケーキの味なんてどうでもよかった。
ただ、彼の優しさをこれ以上無視していたくなかった。
静かに2人分のケーキを淡々と口に運びながら、味わうケーキの味はいままで食べたどのケーキよりも甘くておいしくて、少しだけ塩辛かった。
***
それからも、私たちの昼食会は続いていた。
しかし、私とヴァリタスとの間に会話は一切無くなってしまった。
メドビン嬢はその変化に敏感に気づいてしまっており、私たちに気を遣っていつも以上に言葉数が多くなっていた。
そんな彼女に申し訳なく思いつつも、ついぞ私たちが言葉を交わすことはなかった。
「ちょっと、どういう事なの?」
放課後、ナタリーに無理やり校舎裏へと連れ出された。
「いやだわナタリー。私たち女の子同士なのよ」
頬を両手で包み、冗談っぽくそういうと、か物凄く冷たい視線がこちらに飛んできた。
いやだわ、冗談なのに。
「昨日今日でこんなに態度が変わるなんて、貴方たち、なにかあったの?」
誰もが私たちの行動に違和感を持っている。
当然だ。彼は昨日まで私に始終笑顔で話し掛けていたのだから。
「良い変化だと思わない? 今日はメドビン嬢とちゃんと会話していたもの」
彼女たちがそのことに対し物凄く気になっていることは分かっているものの、素直に昨日のことをどうしても話したくなかった。
「とぼけないで。ちゃんと話して」
彼女の真剣な瞳が私を射抜く。
これ以上は誤魔化せない。
でも……。
「別に……。ただ話をしただけよ」
顔を背け、冷たく言い放つことしか私にはできなかった。
どうしても、なぜだかどうしても彼女に昨日の事が言い出せなかった。
「ただ話をしただけで、あの王子があそこまで冷たくなるわけないでしょ!」
しかし、ナタリーはどうしてもその理由が聞きたいらしく、私に声を張り上げた。
その気迫はいつもの温厚な彼女らしくなくて、そこでやっと彼女が多少怒っていることに気づいた。
それはきっと、私を思ってのことなのか。
はたまた、彼を思ってのことなのか。
どちらにしろ、彼女が興味本位で聞いているのではないことだけはわかった。
そんな優しさを見せられたら、私は正直に話すしかないじゃない。
「言ったの」
「言ったって、何を?」
「『貴方が私に向ける好意はおかしい』って、はっきり、言ったの」
「……。具体的に話して」
それから、昨日あったことを前世の事を伏せながらナタリーに洗いざらいは話した。
聞き終えたナタリーは、今度は大きなため息を吐いた。
「確かに私は殿下がなぜあなたのことをそこまで好きなのか、知っておくべきだと言ったわ。でも、その気持ちを聞くだけで良かったでしょう?
どうしてそんな風に人の気持ちを壊すようなことしたの? そんなの絶対に間違ってるし、賢いあなたならそんなのわかっていたはずよ。あなた穏便に婚約破棄したいのでしょう? どうしてそんなこと……」
彼女の言っていることは全部正しい。
だから、彼女の疑問に淡々と答えるしか、今の私にはできなかった。
「チャンスだと思ったのよ」
「チャンス?」
「彼に嫌われるチャンス」
そう言った後、少しの沈黙が流れた。
少しして、息を大きく吸う音が聞こえると次の瞬間彼女は大きな声で私に言い放った。
「ばっっっか、じゃないの!!」
馬鹿か。
馬鹿なのか私は。
どうして、あんなに傷つけるようなことをしたんだ。
いくら彼の好意を終わらせたいと思っていたとしても、彼の気持ちを考えてればもう少しうまくできたはずだ。
穏便に彼の気持ちが無意味なものなのだと、悟らせることだってできたはずなのに。
でもそうしなかったのは、彼との関係に亀裂を走らせることができる、と少しだけでも思っていたから。
そうやって先を急ぎ過ぎた結果、私は彼を深く深く傷つけた。
自分の欲望のために、彼の気持ちを軽んじたから。
そうして、彼が居なくなった後こんな風に落ち込んでいるのだから世話がない。
それでも、この沈んだ気持ちを切り替えることはできなかった。
これじゃあ、私が恨んだ彼らと同じだ。
私の気持ちを軽んじて、私を蔑ろにした前世の周りの大人たちと。
あんなに嫌っていた人達と同じことをしてしまうなんて。
しかも、自分の欲望のためという、彼らと動機は全く一緒なのだから皮肉なものだ。
なんだか、もうどうでも良くなってきたかも。
そうしてしばらくぼうっとしていた。
ふと、下をみると彼の頼んでくれたケーキが私の前に置かれていた。
おもむろにスプーンを手に取ると、ケーキを少しだけ切り分け、口へと運ぶ。
「おいしい……」
絶妙に合わさった甘酸っぱさが程よく口の中に広がってすごくおいしい。
こんなにおいしいものだったなら、彼と一緒に食べればよかった。
きっと私がこうして感想を言えばすごく喜んでくれただろう。
その後だって、あの話はできたはずなのに。
せき止めていたものが、次々に零れていく。
それは、きっとこのケーキが、私を想って連れてきてくれたこの味が、彼の優しさが詰まったものだったからかもしれない。
だからこそ、私が泣くのは間違っている。
それでも、頬を伝う雫を止めることはできなかった。
1つ食べ終わると、彼が残していったケーキを自分の方へ手繰り寄せ、またしても口に頬張る。
もうケーキの味なんてどうでもよかった。
ただ、彼の優しさをこれ以上無視していたくなかった。
静かに2人分のケーキを淡々と口に運びながら、味わうケーキの味はいままで食べたどのケーキよりも甘くておいしくて、少しだけ塩辛かった。
***
それからも、私たちの昼食会は続いていた。
しかし、私とヴァリタスとの間に会話は一切無くなってしまった。
メドビン嬢はその変化に敏感に気づいてしまっており、私たちに気を遣っていつも以上に言葉数が多くなっていた。
そんな彼女に申し訳なく思いつつも、ついぞ私たちが言葉を交わすことはなかった。
「ちょっと、どういう事なの?」
放課後、ナタリーに無理やり校舎裏へと連れ出された。
「いやだわナタリー。私たち女の子同士なのよ」
頬を両手で包み、冗談っぽくそういうと、か物凄く冷たい視線がこちらに飛んできた。
いやだわ、冗談なのに。
「昨日今日でこんなに態度が変わるなんて、貴方たち、なにかあったの?」
誰もが私たちの行動に違和感を持っている。
当然だ。彼は昨日まで私に始終笑顔で話し掛けていたのだから。
「良い変化だと思わない? 今日はメドビン嬢とちゃんと会話していたもの」
彼女たちがそのことに対し物凄く気になっていることは分かっているものの、素直に昨日のことをどうしても話したくなかった。
「とぼけないで。ちゃんと話して」
彼女の真剣な瞳が私を射抜く。
これ以上は誤魔化せない。
でも……。
「別に……。ただ話をしただけよ」
顔を背け、冷たく言い放つことしか私にはできなかった。
どうしても、なぜだかどうしても彼女に昨日の事が言い出せなかった。
「ただ話をしただけで、あの王子があそこまで冷たくなるわけないでしょ!」
しかし、ナタリーはどうしてもその理由が聞きたいらしく、私に声を張り上げた。
その気迫はいつもの温厚な彼女らしくなくて、そこでやっと彼女が多少怒っていることに気づいた。
それはきっと、私を思ってのことなのか。
はたまた、彼を思ってのことなのか。
どちらにしろ、彼女が興味本位で聞いているのではないことだけはわかった。
そんな優しさを見せられたら、私は正直に話すしかないじゃない。
「言ったの」
「言ったって、何を?」
「『貴方が私に向ける好意はおかしい』って、はっきり、言ったの」
「……。具体的に話して」
それから、昨日あったことを前世の事を伏せながらナタリーに洗いざらいは話した。
聞き終えたナタリーは、今度は大きなため息を吐いた。
「確かに私は殿下がなぜあなたのことをそこまで好きなのか、知っておくべきだと言ったわ。でも、その気持ちを聞くだけで良かったでしょう?
どうしてそんな風に人の気持ちを壊すようなことしたの? そんなの絶対に間違ってるし、賢いあなたならそんなのわかっていたはずよ。あなた穏便に婚約破棄したいのでしょう? どうしてそんなこと……」
彼女の言っていることは全部正しい。
だから、彼女の疑問に淡々と答えるしか、今の私にはできなかった。
「チャンスだと思ったのよ」
「チャンス?」
「彼に嫌われるチャンス」
そう言った後、少しの沈黙が流れた。
少しして、息を大きく吸う音が聞こえると次の瞬間彼女は大きな声で私に言い放った。
「ばっっっか、じゃないの!!」
あなたにおすすめの小説
亡き姉の身代わりとして嫁いだ私ですが、離縁状を置いた翌朝、夫が私の「真実」に気づいたようです』
まさき
恋愛
「サインはもう、いただきました。あとは私がこの屋敷を出るだけです」
五年間の結婚生活。侯爵令嬢エルゼが演じ続けたのは、亡き姉・ロザリーの「身代わり」という配役だった。
夫であるカイル公爵が愛していたのは、かつて雪の中で自分を救ってくれた初恋の少女・ロザリー。
生き写しの妹であるエルゼを娶りながらも、彼は一度も彼女を「エルゼ」と呼ぶことはなかった。
冷淡な視線、姉と比較される日々。
「君はどこまでいっても、ロザリーの代わりにはなれない」
その言葉を最後に、エルゼは静かに離縁状を置き、屋敷を去る決意をする。
しかし、彼女が消えた翌朝。
カイルは、エルゼが大切に遺していった古い小箱を見つける。
そこにあったのは、十五年前のあの日、彼が「命の恩人」に預けたはずの片方のカフスボタン。
そして、幼いエルゼが綴った、あまりにも切ない真実の日記だった。
――「あの日、雪の中で貴方を抱きしめていたのは、お姉様ではなく、私だったのです」
真実を知り、絶望の中でエルゼを追うカイル。
だが、すべてを捨てて「自分」を取り戻したエルゼは、もう二度と、彼の隣で微笑む仮面の妻には戻らない。
これは、名前を奪われた女が自由を掴み、愚かな夫が真実の愛を失うまでの、静かで鮮やかな再生の物語。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた
nionea
恋愛
ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、
死んだ
と、思ったら目が覚めて、
悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。
ぽっちゃり(控えめな表現です)
うっかり (婉曲的な表現です)
マイペース(モノはいいようです)
略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、
「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」
と、落ち込んでばかりもいられない。
今後の人生がかかっている。
果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。
※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。
’20.3.17 追記
更新ミスがありました。
3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。
本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。
大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
『処刑された悪女は、今度こそ誰も愛さない』
なつめ
恋愛
断頭台の上で、自分の終わりを見た。
公爵令嬢セラフィーナ・エーデルベルク。傲慢で冷酷、嫉妬深い悪女として断罪され、婚約者である王太子に見放され、社交界の嘲笑の中で処刑された女。
けれど次に目を開けた時、彼女はまだ十七歳の春に戻っていた。
処刑まで残された時間は、三年。
もう誰も愛さない。
誰にも期待しない。
誰も傷つけず、誰にも傷つけられず、静かに生きる。
そう決めて、彼女は人との距離を置きはじめる。
婚約者にも、原作の“主人公”にも、騎士にも、侍女にも、未来で自分を断罪するはずの人々すべてに。
けれど、少しだけ優しくした。
少しだけ、相手の話を聞いた。
少しだけ、誤解を解く努力をした。
たったそれだけのことで、なぜか彼らのほうが先に彼女へ心を寄せ始める。
「……あなたは、こんな人だったのですか」
「もう少し、私を頼ってください」
「君が誰も愛さないつもりでも、俺は君を放っておけない」
「ずっと、怖かっただけなんでしょう」
悪女として死んだはずの令嬢が、二度目の人生で手に入れるのは名誉か、友情か、それとも恋か。
これは、誤解に殺された少女が、静かに息を吹き返していく物語。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
あなたがすき、だったから……。
友坂 悠
恋愛
あなたが好きだったから、わたしは身を引いた。
もともと、3年だけの契約婚だった。
恋愛感情なしに、偽装夫婦を演じよう。
そういうあなたに同意をして一緒に暮らし出した日々。
それなのに。
約束の期限の三日前、まさか酔ったあなたとそういう関係になるなんて、思わなかった。
だから。 わたしはそのまま翌朝家を出た。
わたしだけが、どんどんあなたを好きになってしまったことを隠したくて。
こんな気持ちを悟られ、あなたに迷惑がかかるのに、耐えられなくて。
#############
なろうさんで開催されていた、氷雨そら先生、キムラましゅろう先生主催、
シークレットベビー企画参加作品だった、「あなたが好きだったから」という短編に、少し加筆修正して連載化しました。
初めてのシクべ、ちょっと変わったタイプのシクべ作品となりました。
お楽しみいただけると幸いです。