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第4章
134.運命の血筋
しかし、本当に彼女が聖女候補までの実力を持った人だったならばおばあ様の主張には1つの疑問が生まれる。
それはリヴェリオと契約した、あの黒龍の存在だ。
龍は神聖な存在と言われているが、その中でも黒龍は白龍に並ぶほど神様に近い存在とまで言われている。
俗にいう、神の使いのような存在だ。
そんな黒龍が邪悪な存在と契約を結ぶわけがない。
「でも、皇帝は黒龍と契約していましたよね。
黒龍といえば神様に近いとされる龍の中でもさらに神聖力の高い龍の一種。
そんな龍と契約していたならば、皇帝はそこまで悪い人間ではなかったのではないですか?」
ありのままに疑問に思ったことを口に出してみた。
するとおばあ様は一瞬驚いたように目を見開くと、信じられないものでも見たかのような顔で私を見つめた。
「まさかそんな……。確か龍との契約を皇帝は交わせなかったと聞いています。
今でこそ、即位してから龍と契約を交わしますが、当時では幼少のころより契約を交わすしきたりとなっていました。
幼少期に体の弱かった皇帝は龍を呼び出す力さえなかったと聞いていますよ。一体どこでそんなことを……」
おばあ様は信じられないとでもいうように、顔を青ざめながらそう言った。
確かに、彼の事はどこの文献にも載っていなかった事実だ。
あの時彼と話しをしたときは信じていたが、おばあ様に言われた途端急に不安になった。
しかし、彼を疑いそうになったときふと彼の顔が頭に浮かんだ。
あの時の私に向けた顔は、寂しさと懐かしさ。
そしてふと垣間見えた深い愛情だった。
私を騙そうとして浮かべる表情では決してなかった。
それに、彼を信じられなくなるのはなんだか可哀そうな気がして気が進まない。
ふと、おばあ様の視線が私に向けられていることに気づいた。
それは私を疑っているようでありながら、その反面私を心配しているような、そんな瞳だった。
その表情に私が嘘を付いているのではないかという疑念が見えて、慌てて付け加えた。
「ち、違うんですおばあ様! 私、確かに聞いたんです! 本当なんです」
「聞いたって、一体誰から?」
「えっ、それは……」
王宮にいる、黒龍の事を打ち明けようとしてハッとする。
そもそも王宮に黒龍が住んでいることをおばあ様はご存じなのだろうか。
それにそれを知っていたとして、彼から聞いたと言ってもおばあ様が信じるかどうか。
今まで見てきた文献にはリヴェリオが龍と契約したなんて、どこにも記されていない。
たとえ彼の言っていたことが本当だったとしても、リヴェリオにとって優位になりそうなことを私が言って、おばあ様が本当に信じてくれる訳はなかった。
「話がそれてしまいましたね。
皇帝とその方が結婚してすぐは、皇帝もそこまで悪い方ではないようにも見えたようです。
しかし、彼が即位してから悪夢が始まりました。知っていますよね。皇帝は戦争を起こしたり、国民の飢餓を無視したりと、皇帝としてあるまじき行為を重ねていきました。
それに加え、その方がまだ15歳のとき、先代の皇后様、つまり皇帝にとっての実のお母さまを殺害なさったことが明るみになったのです」
おばあ様は、まるで目の前にいる私がリヴェリオの生まれ変わりなのだと知らないかのように、淡々と史実を語っていく。
もし、それが事実であったとしても、そんなことを本人の目の前でするなんて、正気の沙汰ではないように思えた。
やっぱり、おばあ様もリヴェリオの事が嫌いなのかもしれない。
そう思えてならなかった。
「彼女は聖女候補になるほど心の綺麗な方でした。そのため、皇帝の悪行に日々心を痛めていたそうです。
このままでは良心が蝕まれていくと感じた彼女は王宮から逃げだすことを決意しました。
そうして、何とか彼の監視の隙をみて逃げ出したのです。それが、彼女と皇帝が結婚してから7年後、22の時でした」
私はもうおばあ様の話を真剣に聞くことをしていなかった。
おばあ様が何を伝えたいのかわからなかったこともあるけれど、それ以前に私の事が嫌いなのだと思わずにはいられなかったのだ。
しかし、私はリヴァリオの奥さんの事など少しも知らなかった。
その人物には少し興味があった。
一体どんな人物だったのか。
どうして私は彼女を忘れていたのか。
どうしても気になっていたのだ。
「彼女が王宮を去った後の消息は不明だと言われています。
しかし、彼女は国外には逃げずこの国のとある街に身を隠し生き延びていました。
そしてそこで子供を生み、子孫を残しました。
その子孫こそが、ベルヘルス家なのです」
「え――――」
思いがけないおばあ様の言葉に驚きが隠せない。
まさか、そんな人の血が流れているなんて。
「彼女を助けた当時の当主である方の日記には、彼女について言及している部分が多々ありました。
そこに書かれていたのは、とても残酷なことだったのです。
彼女をベルヘルス家に迎えたのち、彼女は子供を生みました。
そしてその子が後にベルヘルス家を継いだのです。しかし、その子とベルヘルス家には血の繋がりはありませんでした。
そう、彼女がこの街に逃げてきたときにはすでに彼女が身籠っていたのです。
つまり、我がベルヘルス家は……」
「皇帝の血が流れている、ということですか?」
「ええ、その通りです」
それはリヴェリオと契約した、あの黒龍の存在だ。
龍は神聖な存在と言われているが、その中でも黒龍は白龍に並ぶほど神様に近い存在とまで言われている。
俗にいう、神の使いのような存在だ。
そんな黒龍が邪悪な存在と契約を結ぶわけがない。
「でも、皇帝は黒龍と契約していましたよね。
黒龍といえば神様に近いとされる龍の中でもさらに神聖力の高い龍の一種。
そんな龍と契約していたならば、皇帝はそこまで悪い人間ではなかったのではないですか?」
ありのままに疑問に思ったことを口に出してみた。
するとおばあ様は一瞬驚いたように目を見開くと、信じられないものでも見たかのような顔で私を見つめた。
「まさかそんな……。確か龍との契約を皇帝は交わせなかったと聞いています。
今でこそ、即位してから龍と契約を交わしますが、当時では幼少のころより契約を交わすしきたりとなっていました。
幼少期に体の弱かった皇帝は龍を呼び出す力さえなかったと聞いていますよ。一体どこでそんなことを……」
おばあ様は信じられないとでもいうように、顔を青ざめながらそう言った。
確かに、彼の事はどこの文献にも載っていなかった事実だ。
あの時彼と話しをしたときは信じていたが、おばあ様に言われた途端急に不安になった。
しかし、彼を疑いそうになったときふと彼の顔が頭に浮かんだ。
あの時の私に向けた顔は、寂しさと懐かしさ。
そしてふと垣間見えた深い愛情だった。
私を騙そうとして浮かべる表情では決してなかった。
それに、彼を信じられなくなるのはなんだか可哀そうな気がして気が進まない。
ふと、おばあ様の視線が私に向けられていることに気づいた。
それは私を疑っているようでありながら、その反面私を心配しているような、そんな瞳だった。
その表情に私が嘘を付いているのではないかという疑念が見えて、慌てて付け加えた。
「ち、違うんですおばあ様! 私、確かに聞いたんです! 本当なんです」
「聞いたって、一体誰から?」
「えっ、それは……」
王宮にいる、黒龍の事を打ち明けようとしてハッとする。
そもそも王宮に黒龍が住んでいることをおばあ様はご存じなのだろうか。
それにそれを知っていたとして、彼から聞いたと言ってもおばあ様が信じるかどうか。
今まで見てきた文献にはリヴェリオが龍と契約したなんて、どこにも記されていない。
たとえ彼の言っていたことが本当だったとしても、リヴェリオにとって優位になりそうなことを私が言って、おばあ様が本当に信じてくれる訳はなかった。
「話がそれてしまいましたね。
皇帝とその方が結婚してすぐは、皇帝もそこまで悪い方ではないようにも見えたようです。
しかし、彼が即位してから悪夢が始まりました。知っていますよね。皇帝は戦争を起こしたり、国民の飢餓を無視したりと、皇帝としてあるまじき行為を重ねていきました。
それに加え、その方がまだ15歳のとき、先代の皇后様、つまり皇帝にとっての実のお母さまを殺害なさったことが明るみになったのです」
おばあ様は、まるで目の前にいる私がリヴェリオの生まれ変わりなのだと知らないかのように、淡々と史実を語っていく。
もし、それが事実であったとしても、そんなことを本人の目の前でするなんて、正気の沙汰ではないように思えた。
やっぱり、おばあ様もリヴェリオの事が嫌いなのかもしれない。
そう思えてならなかった。
「彼女は聖女候補になるほど心の綺麗な方でした。そのため、皇帝の悪行に日々心を痛めていたそうです。
このままでは良心が蝕まれていくと感じた彼女は王宮から逃げだすことを決意しました。
そうして、何とか彼の監視の隙をみて逃げ出したのです。それが、彼女と皇帝が結婚してから7年後、22の時でした」
私はもうおばあ様の話を真剣に聞くことをしていなかった。
おばあ様が何を伝えたいのかわからなかったこともあるけれど、それ以前に私の事が嫌いなのだと思わずにはいられなかったのだ。
しかし、私はリヴァリオの奥さんの事など少しも知らなかった。
その人物には少し興味があった。
一体どんな人物だったのか。
どうして私は彼女を忘れていたのか。
どうしても気になっていたのだ。
「彼女が王宮を去った後の消息は不明だと言われています。
しかし、彼女は国外には逃げずこの国のとある街に身を隠し生き延びていました。
そしてそこで子供を生み、子孫を残しました。
その子孫こそが、ベルヘルス家なのです」
「え――――」
思いがけないおばあ様の言葉に驚きが隠せない。
まさか、そんな人の血が流れているなんて。
「彼女を助けた当時の当主である方の日記には、彼女について言及している部分が多々ありました。
そこに書かれていたのは、とても残酷なことだったのです。
彼女をベルヘルス家に迎えたのち、彼女は子供を生みました。
そしてその子が後にベルヘルス家を継いだのです。しかし、その子とベルヘルス家には血の繋がりはありませんでした。
そう、彼女がこの街に逃げてきたときにはすでに彼女が身籠っていたのです。
つまり、我がベルヘルス家は……」
「皇帝の血が流れている、ということですか?」
「ええ、その通りです」
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