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第5章
237.教皇の血族
「教会へ来いとは、一体どういう意味なのですか?」
真意を掴みかねた私は直球で聞いてみることにした。自分でうじうじ考えるぐらいならさっさと聞く方が良い。
聖女様は少し視線を泳がせた。
何か躊躇っていたようだが、決心したように顔を上げた。
「貴方は家族に蔑ろにされていると聞きました。それに先ほどの殿下の様子を見るに……。あまり婚約者様からも大事にされていないとお見受けします。ですから、私たちが保護しようと思いましてね」
まさか聖女様にまでそんな情報が届いていたとは……。
教会の影響力は凄まじい。
そりゃこの国のほとんどの人間が信者のようなものなのだ。
ならば、私の内情など調査を依頼すればすぐに情報が手に入るのだろう。
まぁ、お父様に大切にされていないのはもはや周知の事実だから調べればすぐにわかることなのだけど。
しかし、保護ねぇ。
その単語に強い違和感を覚えた。
普通の人に対して、そんな単語は使わない。
それじゃあまるで動植物に対するときに使うものだ。
つまり、彼らにとって私はやっぱり人間とは見えない相手だと認識されているのだろう。
ため息を吐きそうになって飲み込む。
やっぱり、誰が相手でも私は同じようにみられる定めなのだろう。
「はっきり言ってください。私の前世が悪人だから、傍にいて見張っておきたいのですよね?」
どうせ前世を知られているのだ。
こういう時は割り切った関係を築いたほうが得策だろう。
主に私の精神衛生上の問題だけれど。
しかし、私の訝しげな目を嘲笑うかのようにフッと吹き出した。
一体何が可笑しかったのだろうか。
彼女の心のうちがわからず困惑してしまう。
「悪人……? あの方が悪人ですって?」
な、なに?
なんだか様子がおかしいような……。
そう思ったのも一瞬で、彼女は大声で笑いだした。
まるで聖女には似合わないその笑い方にドン引きしてしまう。
「あははっ! おかしくて笑ってしまいますよ。悪人ですって? 莫迦なこと言わないでください」
目じりに涙を浮かべながら、それを指でふき取ると聖女様はテーブルに手を付き体を乗り上げた。
私の耳元まで顔を持ってくると囁く。
「あの方は聖人なのですよ? その生まれ変わりを、教会が放っておくはずがないでしょう」
ゾクリとするような甘く、妖艶な声だった。
その奥に隠された不気味な怖さが、私に襲い掛かる。
何だこの人。
本当に聖女なのか?
聖女様と敬称するにはあまりにも俗世的で、あまりにも欲望に忠実だ。
彼女は椅子から離れるとクルリと回る。
まるでおもちゃを貰った少女のように嬉しさに浮かれているようだった。
「私たちはただ、この世界の、この国の平穏を守りたいのです。そのためには脅威となりそうな貴方を閉じ込めておく必要がある。だから保護する。それだけです」
彼女はこちらに顔を向けると唇に人差し指をつけて笑う。
「表向きはね」
頬を染め、嬉しそうに笑う彼女の姿にうちに秘める恐ろしさを隠しきれていない。
一体何を隠しているのか。
理解できず、ただ目の前にある恐怖を茫然と見つめるだけしかできない。
「貴方を保護するのは、私たちの悲願なのです」
少し落ち着いたのか、椅子に戻ると両肘を付く。
しかし、先ほどから見せる笑顔は変わらず畏怖の念は拭い消えない。
「悲願、とは。また大袈裟な物言いですね」
冷や汗が頬を伝う。
どうしてこんなにも体力を奪われるのだろう。
それほど目の前の彼女に警戒しているということなのだろうか。
「私たちはね、もうこれ以上英雄の血を失うわけにはいかないのですよ」
深くため息を吐くような彼女に揶揄いやふざけたような感じはしない。
俯きがちに伏せられた目からは、憂いが感じられた。
「もうこれ以上、英雄の血族を失うわけにはいかないのですよ。ただでさえ、エヒム教では私と教皇しか血族がいないというのに。貴方まで失ってしまえば、本当の意味でオルフェリウスの誇りと誓約は失われてしまいます」
ティーカップを覗いているようで、どこか遠くを見つめているようだった。
告げられた彼女の言葉には、理解できないことが多すぎてよくわからない。
しかし、1つだけ気になることがあった。
「オルフェリウスの誇りと誓約……?」
オルフェリウスとは、前世であるリヴェリオのファミリーネームだ。
どうして今、彼女の口からその単語が出たのだろう。
それに、教皇と聖女様の血族に一体何の関係が?
「あれ? もしかして知りません? 教皇世襲制ですので、代々同じ血族が継いでいます。そしてその権利があるのはオルフェリウスの一族のみなのですよ。今の教皇は直系ではありませんがね」
「えっ――!」
教皇とオルフェリウスが同じ血族?
しかも、教皇になれる権利があるのが、オルフェリウスだけだなんて……。
おそらくこの国の人々は知らないはずだ。
そうでなければエヒム教の信者になんか、なりはしないだろう。
「その様子だと、そこまで記憶を思い出されていないようですね。少し安心しました」
にんまりとした笑顔を向けられた。
安心した、とは。
まるで彼と同じことを言っている。
「私の記憶が思い出されること、貴方も嫌っているのですね」
ここまで来ると、どうして私の記憶を思い出すのを嫌がるのか流石に気になってくる。
黒龍だけでなく聖女様まで願っているということは、ただ単に可哀そうだからとかいう感情論からくるものではないのだろう。
エヒム教まで私の事を隠している。
その理由が何なのか私には知る権利があるはずだ。
「そりゃそうですよ。貴方の記憶は大事な――――」
バンッ!!
言いかけた聖女様を遮るように大きな音がした。
真意を掴みかねた私は直球で聞いてみることにした。自分でうじうじ考えるぐらいならさっさと聞く方が良い。
聖女様は少し視線を泳がせた。
何か躊躇っていたようだが、決心したように顔を上げた。
「貴方は家族に蔑ろにされていると聞きました。それに先ほどの殿下の様子を見るに……。あまり婚約者様からも大事にされていないとお見受けします。ですから、私たちが保護しようと思いましてね」
まさか聖女様にまでそんな情報が届いていたとは……。
教会の影響力は凄まじい。
そりゃこの国のほとんどの人間が信者のようなものなのだ。
ならば、私の内情など調査を依頼すればすぐに情報が手に入るのだろう。
まぁ、お父様に大切にされていないのはもはや周知の事実だから調べればすぐにわかることなのだけど。
しかし、保護ねぇ。
その単語に強い違和感を覚えた。
普通の人に対して、そんな単語は使わない。
それじゃあまるで動植物に対するときに使うものだ。
つまり、彼らにとって私はやっぱり人間とは見えない相手だと認識されているのだろう。
ため息を吐きそうになって飲み込む。
やっぱり、誰が相手でも私は同じようにみられる定めなのだろう。
「はっきり言ってください。私の前世が悪人だから、傍にいて見張っておきたいのですよね?」
どうせ前世を知られているのだ。
こういう時は割り切った関係を築いたほうが得策だろう。
主に私の精神衛生上の問題だけれど。
しかし、私の訝しげな目を嘲笑うかのようにフッと吹き出した。
一体何が可笑しかったのだろうか。
彼女の心のうちがわからず困惑してしまう。
「悪人……? あの方が悪人ですって?」
な、なに?
なんだか様子がおかしいような……。
そう思ったのも一瞬で、彼女は大声で笑いだした。
まるで聖女には似合わないその笑い方にドン引きしてしまう。
「あははっ! おかしくて笑ってしまいますよ。悪人ですって? 莫迦なこと言わないでください」
目じりに涙を浮かべながら、それを指でふき取ると聖女様はテーブルに手を付き体を乗り上げた。
私の耳元まで顔を持ってくると囁く。
「あの方は聖人なのですよ? その生まれ変わりを、教会が放っておくはずがないでしょう」
ゾクリとするような甘く、妖艶な声だった。
その奥に隠された不気味な怖さが、私に襲い掛かる。
何だこの人。
本当に聖女なのか?
聖女様と敬称するにはあまりにも俗世的で、あまりにも欲望に忠実だ。
彼女は椅子から離れるとクルリと回る。
まるでおもちゃを貰った少女のように嬉しさに浮かれているようだった。
「私たちはただ、この世界の、この国の平穏を守りたいのです。そのためには脅威となりそうな貴方を閉じ込めておく必要がある。だから保護する。それだけです」
彼女はこちらに顔を向けると唇に人差し指をつけて笑う。
「表向きはね」
頬を染め、嬉しそうに笑う彼女の姿にうちに秘める恐ろしさを隠しきれていない。
一体何を隠しているのか。
理解できず、ただ目の前にある恐怖を茫然と見つめるだけしかできない。
「貴方を保護するのは、私たちの悲願なのです」
少し落ち着いたのか、椅子に戻ると両肘を付く。
しかし、先ほどから見せる笑顔は変わらず畏怖の念は拭い消えない。
「悲願、とは。また大袈裟な物言いですね」
冷や汗が頬を伝う。
どうしてこんなにも体力を奪われるのだろう。
それほど目の前の彼女に警戒しているということなのだろうか。
「私たちはね、もうこれ以上英雄の血を失うわけにはいかないのですよ」
深くため息を吐くような彼女に揶揄いやふざけたような感じはしない。
俯きがちに伏せられた目からは、憂いが感じられた。
「もうこれ以上、英雄の血族を失うわけにはいかないのですよ。ただでさえ、エヒム教では私と教皇しか血族がいないというのに。貴方まで失ってしまえば、本当の意味でオルフェリウスの誇りと誓約は失われてしまいます」
ティーカップを覗いているようで、どこか遠くを見つめているようだった。
告げられた彼女の言葉には、理解できないことが多すぎてよくわからない。
しかし、1つだけ気になることがあった。
「オルフェリウスの誇りと誓約……?」
オルフェリウスとは、前世であるリヴェリオのファミリーネームだ。
どうして今、彼女の口からその単語が出たのだろう。
それに、教皇と聖女様の血族に一体何の関係が?
「あれ? もしかして知りません? 教皇世襲制ですので、代々同じ血族が継いでいます。そしてその権利があるのはオルフェリウスの一族のみなのですよ。今の教皇は直系ではありませんがね」
「えっ――!」
教皇とオルフェリウスが同じ血族?
しかも、教皇になれる権利があるのが、オルフェリウスだけだなんて……。
おそらくこの国の人々は知らないはずだ。
そうでなければエヒム教の信者になんか、なりはしないだろう。
「その様子だと、そこまで記憶を思い出されていないようですね。少し安心しました」
にんまりとした笑顔を向けられた。
安心した、とは。
まるで彼と同じことを言っている。
「私の記憶が思い出されること、貴方も嫌っているのですね」
ここまで来ると、どうして私の記憶を思い出すのを嫌がるのか流石に気になってくる。
黒龍だけでなく聖女様まで願っているということは、ただ単に可哀そうだからとかいう感情論からくるものではないのだろう。
エヒム教まで私の事を隠している。
その理由が何なのか私には知る権利があるはずだ。
「そりゃそうですよ。貴方の記憶は大事な――――」
バンッ!!
言いかけた聖女様を遮るように大きな音がした。
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お楽しみいただけると幸いです。