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第6章
295.酷すぎる仕打ち
「なんでこんな事に……」
起こそうなんて、どうしてできるだろうか。
彼女の息づかいは激しいもので息をするごとに肩が上下している。
どう見ても体調が悪い。
だが、僕が驚いたのはそれが理由ではなかった。
昨日掛けたはずの外套はどこにも無く、変わりに体の傷が増えている。
加えてあの長かった髪は無残にも切り刻まれ、肩までの長さになっていた。
暴行を受けたのは明らかだ。
「一体誰が、どういうつもりで……!」
抑えようのない怒りが湧き上がる。
だが、それと同時に自分の愚かさに嫌気がさした。
恐らく彼女がこんな目にあったのは、少なからず昨日僕が置いていった外套が理由にあるのだろう。
掛けてあったはずの外套が無くなっているのがその証拠だ。
推測でしかないが、おそらく見て癇癪を起した誰かが彼女をこんな目に合わせたに違いない。
しかし、それだけでここまでされるいわれなど本来であればなかったはずなのに……。
「どうしていつも、僕は貴方を傷つけてばかりなんでしょうね……」
本当に自分が嫌になる。
何をしても彼女にとって良い方向に進まない。
いっそ自分が傍にいなければこんなところに閉じ込められることもなかっただろうに。
そんな事ばかりが頭の中を駆け巡った。
「いや、今はそんな事を考えている場合じゃない」
しかし、僕が後悔したところで彼女の現状は変わらない。
今更後悔しても遅いのだから、せめて彼女がこの状況から抜け出せるように手回しをするのが今すべきことなのだ。
外套を掛けることはできなかったが、変わりに彼女の体を治癒することにした。
昨日よりも彼女の体は鉄格子に近く、腕を伸ばせばどうにか体に触れることのできる距離だった。
これなら何とか治療ができる!
僕の治療魔法では大したことはできないものの、無いよりかはマシなはずだ。
そう思い触れたところで、嫌な予感が頭の片隅に過った。
もし、回復したのが見つかってまた暴行でもされたら?
今度はもっと酷い怪我を負わされるかもしれない。
なら、このまま何もせず立去ったほうが彼女のためになるのではないか?
伸ばした手がゆるゆると彼女の体から離れていく。
と、彼女から離れた床に何かが置かれているのに気が付いた。
お盆に乗せられた拳大の小さな塊と深皿に入れられた液体。
おかしな色に一瞬それがなんなのかわからなかった。
しかし、添えられたスプーンにおそらく野菜であろう塊が液体の中に入っていたことでそれが食べ物なのだという事を理解する。
魔法を使って手繰り寄せ、鉄格子の前まで持ってくる。
拳大の何かを手に取ると、匂いを嗅いでみる。
鼻に近づけた途端に異臭が漂い顔を顰めた。
「腐ってる」
形状からみておそらくパンなのだろう。
しかし、見たこともない茶色にところどころにカビのような変色が見られるそれはどうみても人間が食べてよい代物ではない。
更に盛られた方はもっと酷い有様で見るのも嫌なぐらいだった。
「まさかこれを彼女に……」
そんなはずはない、と思いたかったがお盆の上が僅かに汚れているのをみるともしかしたら少しは口にしたのかもしれない。
幸いパンの方は口にした形跡はないため大丈夫なのだろうが。
この環境に置かれていることさえ危険なのに加えてこんなものを口にしていたとなれば。
冗談抜きで危険な状態になっていてもおかしくはない。
「やっぱりこのまま放っておくことなんてできない」
もしかしたら、明日はもう彼女と会えないかもしれない。
最悪な状況が目の前に差し迫っている可能性を考えると放置することなどできなかった。
もう一度彼女に手を伸ばし、僅かに体に触れると魔法を発動させる。
外傷を治療してしまえばまた傷を負わされる可能性があるため、できるのは体内の不調を少し治す程度だ。
起こそうなんて、どうしてできるだろうか。
彼女の息づかいは激しいもので息をするごとに肩が上下している。
どう見ても体調が悪い。
だが、僕が驚いたのはそれが理由ではなかった。
昨日掛けたはずの外套はどこにも無く、変わりに体の傷が増えている。
加えてあの長かった髪は無残にも切り刻まれ、肩までの長さになっていた。
暴行を受けたのは明らかだ。
「一体誰が、どういうつもりで……!」
抑えようのない怒りが湧き上がる。
だが、それと同時に自分の愚かさに嫌気がさした。
恐らく彼女がこんな目にあったのは、少なからず昨日僕が置いていった外套が理由にあるのだろう。
掛けてあったはずの外套が無くなっているのがその証拠だ。
推測でしかないが、おそらく見て癇癪を起した誰かが彼女をこんな目に合わせたに違いない。
しかし、それだけでここまでされるいわれなど本来であればなかったはずなのに……。
「どうしていつも、僕は貴方を傷つけてばかりなんでしょうね……」
本当に自分が嫌になる。
何をしても彼女にとって良い方向に進まない。
いっそ自分が傍にいなければこんなところに閉じ込められることもなかっただろうに。
そんな事ばかりが頭の中を駆け巡った。
「いや、今はそんな事を考えている場合じゃない」
しかし、僕が後悔したところで彼女の現状は変わらない。
今更後悔しても遅いのだから、せめて彼女がこの状況から抜け出せるように手回しをするのが今すべきことなのだ。
外套を掛けることはできなかったが、変わりに彼女の体を治癒することにした。
昨日よりも彼女の体は鉄格子に近く、腕を伸ばせばどうにか体に触れることのできる距離だった。
これなら何とか治療ができる!
僕の治療魔法では大したことはできないものの、無いよりかはマシなはずだ。
そう思い触れたところで、嫌な予感が頭の片隅に過った。
もし、回復したのが見つかってまた暴行でもされたら?
今度はもっと酷い怪我を負わされるかもしれない。
なら、このまま何もせず立去ったほうが彼女のためになるのではないか?
伸ばした手がゆるゆると彼女の体から離れていく。
と、彼女から離れた床に何かが置かれているのに気が付いた。
お盆に乗せられた拳大の小さな塊と深皿に入れられた液体。
おかしな色に一瞬それがなんなのかわからなかった。
しかし、添えられたスプーンにおそらく野菜であろう塊が液体の中に入っていたことでそれが食べ物なのだという事を理解する。
魔法を使って手繰り寄せ、鉄格子の前まで持ってくる。
拳大の何かを手に取ると、匂いを嗅いでみる。
鼻に近づけた途端に異臭が漂い顔を顰めた。
「腐ってる」
形状からみておそらくパンなのだろう。
しかし、見たこともない茶色にところどころにカビのような変色が見られるそれはどうみても人間が食べてよい代物ではない。
更に盛られた方はもっと酷い有様で見るのも嫌なぐらいだった。
「まさかこれを彼女に……」
そんなはずはない、と思いたかったがお盆の上が僅かに汚れているのをみるともしかしたら少しは口にしたのかもしれない。
幸いパンの方は口にした形跡はないため大丈夫なのだろうが。
この環境に置かれていることさえ危険なのに加えてこんなものを口にしていたとなれば。
冗談抜きで危険な状態になっていてもおかしくはない。
「やっぱりこのまま放っておくことなんてできない」
もしかしたら、明日はもう彼女と会えないかもしれない。
最悪な状況が目の前に差し迫っている可能性を考えると放置することなどできなかった。
もう一度彼女に手を伸ばし、僅かに体に触れると魔法を発動させる。
外傷を治療してしまえばまた傷を負わされる可能性があるため、できるのは体内の不調を少し治す程度だ。
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お楽しみいただけると幸いです。