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第6章
321.私刑
私はどんな表情をしてたのだろう。
多分また、ヴァリタスを傷つけるような表情だったのだろう。
彼は目を細めると、下を向いて廊下へと顔を向けた。
ガチャリと音がして、扉が閉まる。
しばらく上を向いて、時間が経つを待った。
ヴァリタスの顔を見ると、いつも物悲しくなる。
なぜ、彼は私を生かしたのだろう。
なぜ、彼はいつも私の様子を見に来るのだろう。
酷く心配している様子なのに先生と共にしかやって来ないのはきっと、私を怯えさせないため。
そうまでして私を思う彼の心がわからない。
徐々に薬が回ってきたのか、強い眠気が襲ってくる。
そろそろ良いだろう。
重くなる瞼をどうにか押し上げ、腕に力を込める。
5日前までとは打って変わって簡単に起き上がることができた。
ベッドの側面に移動し、足を降ろす。
床の感触を感じたところで足に力を込めると、思いきりお尻と腕に力を込めた。
体が左右に揺れたが、何とか立つことができた。
やった!
そのまま少しだけ歩いてみる。
覚束ないけれど、移動できないこともない。
安堵したのも束の間、ゆっくりしてもいられない。
夜までには時間はあるけれど、確実に終わらせるためには実行してからかなり時間を絶たせたかった。
ベッドの方へ向き直ると、ベッドカバーに手を掛ける。
薄い布ならば何でもよかった。
しかし、キッチリとセットされたベッドカバーは病み上がりで力も体力もない私にとっては非常に厄介なものだった。
外すのに、一体どれほど時間が掛かっただろう。
加えて眠気も襲ってくるのだから、常人の10倍は掛かったのではないだろうか。
それでも何とかそれを外すことができた。
これだけでもすごく疲れた。
はぁ、と短く息を吐くとそれを持ったまま歩き出す。
目指すはベッドの正面に位置するクローゼットだ。
とはいえ、今の私では頼りがないままにあそこに行きつくのは相当難しい。
壁の方へ足を向けると、そちらへ向かった。
いつもなら5歩もかからず行ける距離ではあるけれど、今の私ではそうもいかない。
結局十歩以上もかかってやっとたどり着くことができた。
ここまで来るのに、もう1時間もかかっているかも。
急がなくては。
壁伝いにクローゼットへ向かう。
出発点から目的地まで半分ほど進んだところで、すでに息は上がっていた。
一週間ほどで良くなると聞いていたからもっと回復しているものと思っていたけれど、もしかしたら私って相当体が弱いのかしら。
自分の体を睨みつけたくなる衝動に駆られるものの、口を曲げるだけに留まらせた。
でも、私の体が弱いのって私の所為じゃないわよね。
恨むなら、私を生んだ両親を恨むべきよね。
それより、早くしなくちゃ。
このままじゃ夕方になっちゃう。
足に力を込め、先を急ぐ。
目的のクローゼットに着いた時、時間はすでにお昼ごろだった。
無事に辿りつけたことの安堵感と、自分の情けなさに溜息が出た。
しかし、本番はこれから。
持ってきたベッドカバーをクローゼットの取っ手部分に引っかける。
頭一つ分入るぐらいの輪っかを作る。
何重にかにすると、体を支えることが出来るぐらいの強度になった。
よし。
解けないように、余った布を輪っか部分に巻き付けた。
これで準備は完了。
あとは……。
扉の方へ目を向け、一瞬彼を思い出したが首を横に振り頭の中から追い出した。
あの感情は夢の中で満足したのだから、もう良いだろう。
今度は脇に置いてあるサイドテーブルの方へ目を向ける。
本当は遺書か何かを書くべきなのだろうけど、いまさら伝えたいことなんてない。
あれだけ騒ぎを起こしたんだから、きっと誰も惜しんだりしないだろう。
1人だけ気になるのは、我が愛しい、妹の存在。
裁判の時あの子、泣いてた。
私を見て、恐ろしさよりもずっと苦しい罪悪感で。
この後私のしでかすことが、あの子の耳に入らなければ良いのだけど。
そう静かに願いながら、私は自分で作った輪っかに首を引っかけた。
多分また、ヴァリタスを傷つけるような表情だったのだろう。
彼は目を細めると、下を向いて廊下へと顔を向けた。
ガチャリと音がして、扉が閉まる。
しばらく上を向いて、時間が経つを待った。
ヴァリタスの顔を見ると、いつも物悲しくなる。
なぜ、彼は私を生かしたのだろう。
なぜ、彼はいつも私の様子を見に来るのだろう。
酷く心配している様子なのに先生と共にしかやって来ないのはきっと、私を怯えさせないため。
そうまでして私を思う彼の心がわからない。
徐々に薬が回ってきたのか、強い眠気が襲ってくる。
そろそろ良いだろう。
重くなる瞼をどうにか押し上げ、腕に力を込める。
5日前までとは打って変わって簡単に起き上がることができた。
ベッドの側面に移動し、足を降ろす。
床の感触を感じたところで足に力を込めると、思いきりお尻と腕に力を込めた。
体が左右に揺れたが、何とか立つことができた。
やった!
そのまま少しだけ歩いてみる。
覚束ないけれど、移動できないこともない。
安堵したのも束の間、ゆっくりしてもいられない。
夜までには時間はあるけれど、確実に終わらせるためには実行してからかなり時間を絶たせたかった。
ベッドの方へ向き直ると、ベッドカバーに手を掛ける。
薄い布ならば何でもよかった。
しかし、キッチリとセットされたベッドカバーは病み上がりで力も体力もない私にとっては非常に厄介なものだった。
外すのに、一体どれほど時間が掛かっただろう。
加えて眠気も襲ってくるのだから、常人の10倍は掛かったのではないだろうか。
それでも何とかそれを外すことができた。
これだけでもすごく疲れた。
はぁ、と短く息を吐くとそれを持ったまま歩き出す。
目指すはベッドの正面に位置するクローゼットだ。
とはいえ、今の私では頼りがないままにあそこに行きつくのは相当難しい。
壁の方へ足を向けると、そちらへ向かった。
いつもなら5歩もかからず行ける距離ではあるけれど、今の私ではそうもいかない。
結局十歩以上もかかってやっとたどり着くことができた。
ここまで来るのに、もう1時間もかかっているかも。
急がなくては。
壁伝いにクローゼットへ向かう。
出発点から目的地まで半分ほど進んだところで、すでに息は上がっていた。
一週間ほどで良くなると聞いていたからもっと回復しているものと思っていたけれど、もしかしたら私って相当体が弱いのかしら。
自分の体を睨みつけたくなる衝動に駆られるものの、口を曲げるだけに留まらせた。
でも、私の体が弱いのって私の所為じゃないわよね。
恨むなら、私を生んだ両親を恨むべきよね。
それより、早くしなくちゃ。
このままじゃ夕方になっちゃう。
足に力を込め、先を急ぐ。
目的のクローゼットに着いた時、時間はすでにお昼ごろだった。
無事に辿りつけたことの安堵感と、自分の情けなさに溜息が出た。
しかし、本番はこれから。
持ってきたベッドカバーをクローゼットの取っ手部分に引っかける。
頭一つ分入るぐらいの輪っかを作る。
何重にかにすると、体を支えることが出来るぐらいの強度になった。
よし。
解けないように、余った布を輪っか部分に巻き付けた。
これで準備は完了。
あとは……。
扉の方へ目を向け、一瞬彼を思い出したが首を横に振り頭の中から追い出した。
あの感情は夢の中で満足したのだから、もう良いだろう。
今度は脇に置いてあるサイドテーブルの方へ目を向ける。
本当は遺書か何かを書くべきなのだろうけど、いまさら伝えたいことなんてない。
あれだけ騒ぎを起こしたんだから、きっと誰も惜しんだりしないだろう。
1人だけ気になるのは、我が愛しい、妹の存在。
裁判の時あの子、泣いてた。
私を見て、恐ろしさよりもずっと苦しい罪悪感で。
この後私のしでかすことが、あの子の耳に入らなければ良いのだけど。
そう静かに願いながら、私は自分で作った輪っかに首を引っかけた。
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