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第6章
326.私の罪
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最初は彼と同じ時間を過ごすのが嫌だからだと思っていた。
私を一番恨む彼の傍にいるのが嫌なのだと。
けれど本当は違うって、ずっと前から知ってた。
例えどんなに彼が私を責めても。
憎まれていたとしても。
彼がくれた貴い想いの方がずっと大切だった。
どんな事があっても忘れないほど。
だからこそ、私は今まで味わいことのなかった想いを知ることが出来た。
彼だけが教えてくれた想い。
それがどれほど大切で大事なのものなのか。
わからないほど馬鹿じゃない。
だからこそ、私は彼の人生を左右する存在にはなりたくなった。
縛られてほしくなかった。
解放してあげたかった。
もうこれ以上、憎しみと苦しみだけしか上げられない私が傍にいるべきじゃない。
彼はもっと自由であるべきだから。
そんな彼を遠い世界で見てみたいから。
どれくらい暗い夜道を彷徨っただろう。
夜も更けて、ところどころ灯っていた光が静かに消えていた。
これなら歩ける場所が増える。
襲われる危険も格段に上がるけれど、そんな事を気にしている状況ではない。
今の内に行けるところまで行かなければ。
夜が明け、朝が来れば見つかる可能性は高くなる。
そのため、昼間はどこか暗い路地に入り休息を取ろうと考えていた。
夜に移動し、昼間は休む。
完全に昼夜逆転した生活を繰り返し、見つかることなく城下町から抜け出すことができればあとは自分の死に場所を探すだけだ。
必死に足を動かし、息を切らしたら少し休む。
多少体力が回復すればまた歩き出す。
そんな事を何度か繰り返した時だった。
また少し息が切れて建物の壁に手を付いて休んだ。
しばらくして歩き出したとき、視界の端で何かを捉えたような気がした。
瞬間、足を止め数歩後ずさる。
狭い路地の向こう側。
その先で何かが呼んでいる。
そんな気がした。
路地の方へ足を向け、暗い先へと歩いていく。
心の端で、寄り道なんてしている場合じゃないと訴える声がする。
しかし、そんな言葉など路地を抜けた瞬間すっかり消え去っていた。
「ここは……」
そこは小さな空き地。
見覚えのある更地がそこにあった。
ついこの間も訪れた、わたしの最期の場所。
リヴェリオの処刑跡地。
ゆっくりとその場所に近づいていく。
空き地の土を踏んだところで足を止めた。
処刑された時の事は、はっきりと覚えている。
思い出せない記憶はたくさんあるのによりにもよって自分が殺される時の事は鮮明に思い出されるのだ。
もし、幸せな時間だけを思い出していたならばもっと楽に生きられたのかもしれないのに。
その場にしゃがみこむと、硬く乾いた土に触れた。
ここで死んだとき、私はどう感じていたんだろう。
何を思っていたんだろう。
ちゃんと私が未来を選択していたら、今頃こんな風にならなかったのかな。
リヴェリオはきっともっと生きていたかったはず。
それなのに、生まれ変わった私は彼が生きた時間よりももっと短くして人生を終わらそうとしている。
この生に意味はあったのかな。
私は生まれてきてよかったのかな。
きっとちゃんと記憶を思い出していたら、違う未来があったはずだ。
リヴェリオが望むような、自由で暖かで幸せな時間をどうにかして手に入れる術があったんじゃないかな。
どれだけささやかなものだったとしても、私よりはずっとうまくやっていけたはずなのに。
ポロポロと涙が地面に落ちていく。
あんなに辛い目にあったリヴェリオが折角手に入れた未来をこんな風に台無しにするなんて。
どれほど私は愚かなんだろう。
なんて最低なんだろう。
「ごめん……、ごめん、ね」
謝ることしかできなかった。
ここにリヴェリオはいない。
私として、彼はどこかへ消えてしまった。
こんな何もできない、最低な存在へとリヴェリオは落ちてしまった。
そして、そこまで堕落させたのは間違いなく私だった。
私を一番恨む彼の傍にいるのが嫌なのだと。
けれど本当は違うって、ずっと前から知ってた。
例えどんなに彼が私を責めても。
憎まれていたとしても。
彼がくれた貴い想いの方がずっと大切だった。
どんな事があっても忘れないほど。
だからこそ、私は今まで味わいことのなかった想いを知ることが出来た。
彼だけが教えてくれた想い。
それがどれほど大切で大事なのものなのか。
わからないほど馬鹿じゃない。
だからこそ、私は彼の人生を左右する存在にはなりたくなった。
縛られてほしくなかった。
解放してあげたかった。
もうこれ以上、憎しみと苦しみだけしか上げられない私が傍にいるべきじゃない。
彼はもっと自由であるべきだから。
そんな彼を遠い世界で見てみたいから。
どれくらい暗い夜道を彷徨っただろう。
夜も更けて、ところどころ灯っていた光が静かに消えていた。
これなら歩ける場所が増える。
襲われる危険も格段に上がるけれど、そんな事を気にしている状況ではない。
今の内に行けるところまで行かなければ。
夜が明け、朝が来れば見つかる可能性は高くなる。
そのため、昼間はどこか暗い路地に入り休息を取ろうと考えていた。
夜に移動し、昼間は休む。
完全に昼夜逆転した生活を繰り返し、見つかることなく城下町から抜け出すことができればあとは自分の死に場所を探すだけだ。
必死に足を動かし、息を切らしたら少し休む。
多少体力が回復すればまた歩き出す。
そんな事を何度か繰り返した時だった。
また少し息が切れて建物の壁に手を付いて休んだ。
しばらくして歩き出したとき、視界の端で何かを捉えたような気がした。
瞬間、足を止め数歩後ずさる。
狭い路地の向こう側。
その先で何かが呼んでいる。
そんな気がした。
路地の方へ足を向け、暗い先へと歩いていく。
心の端で、寄り道なんてしている場合じゃないと訴える声がする。
しかし、そんな言葉など路地を抜けた瞬間すっかり消え去っていた。
「ここは……」
そこは小さな空き地。
見覚えのある更地がそこにあった。
ついこの間も訪れた、わたしの最期の場所。
リヴェリオの処刑跡地。
ゆっくりとその場所に近づいていく。
空き地の土を踏んだところで足を止めた。
処刑された時の事は、はっきりと覚えている。
思い出せない記憶はたくさんあるのによりにもよって自分が殺される時の事は鮮明に思い出されるのだ。
もし、幸せな時間だけを思い出していたならばもっと楽に生きられたのかもしれないのに。
その場にしゃがみこむと、硬く乾いた土に触れた。
ここで死んだとき、私はどう感じていたんだろう。
何を思っていたんだろう。
ちゃんと私が未来を選択していたら、今頃こんな風にならなかったのかな。
リヴェリオはきっともっと生きていたかったはず。
それなのに、生まれ変わった私は彼が生きた時間よりももっと短くして人生を終わらそうとしている。
この生に意味はあったのかな。
私は生まれてきてよかったのかな。
きっとちゃんと記憶を思い出していたら、違う未来があったはずだ。
リヴェリオが望むような、自由で暖かで幸せな時間をどうにかして手に入れる術があったんじゃないかな。
どれだけささやかなものだったとしても、私よりはずっとうまくやっていけたはずなのに。
ポロポロと涙が地面に落ちていく。
あんなに辛い目にあったリヴェリオが折角手に入れた未来をこんな風に台無しにするなんて。
どれほど私は愚かなんだろう。
なんて最低なんだろう。
「ごめん……、ごめん、ね」
謝ることしかできなかった。
ここにリヴェリオはいない。
私として、彼はどこかへ消えてしまった。
こんな何もできない、最低な存在へとリヴェリオは落ちてしまった。
そして、そこまで堕落させたのは間違いなく私だった。
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