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第6章
327.貴方をもう一度
死にたい。
ここで死にしたい。
貴方と同じ場所で死ねたら、少しはマシな存在に成れる気がする。
この何の価値の無い存在から少しぐらいは――。
「ねぇ、リーヴェ。せめて貴方の許しがほしい。ここで死んでも良いって、楽になっても良いって」
幻覚でも、幻聴でも。
少しぐらいは私の事を、この最悪な行為を肯定してほしい。
そうすれば、少しぐらいは楽に息ができる気がするから。
しかし、心の中にいくら問いかけても答えなんて帰って来なかった。
それが私の愚かしさに対する答えなのだろう。
地面に蹲り、頭をこすりつけて声を上げて泣いた。
悔しさや悲しさが溢れ出て止まらない。
私の願いはいつだって思い通りには叶わない。
非力すぎるから、というより私の存在があまりにも滑稽だからなのだと思う。
何もかもうまくいかない。
死ぬことさえもままならないなんて。
「エスティ!」
焦った声で呼ばれ、ハッと息を飲んだ。
強く願ったものとは違う、あの人の声だった。
けれど、どうして?
なぜ、彼の声が聞こえる?
蹲った姿勢のままゆっくりと振り返る。
やはりそこにいたのはヴァリタスだった。
歪む視界の中で息を切らし、眉間に皺を寄せた彼が私を見つめている。
泣きそうに細められた瞳には少しの安堵が見えた。
「ヴェリタス、さま……」
「どうして。どうしていなくなったりしたんだ! 僕が、どれほど……」
今にも泣きそうな顔でゆっくりと近づいてくる。
彼がとても怖いのに、体が石のように動かない。
見つかってしまった。
折角彼から逃げたのに。
折角、私を監視するという責務から解放させられると思ったのに。
結局私は、ヴァリタスにとっても悪影響を与える存在でしかなかった。
なんて、なんて災禍。
存在自体が悪そのもの。
そうか。
私が悪逆皇帝なんだ。
リーヴェではなく、私という存在が彼らが伝えてきた悪逆皇帝そのものなんだ。
両親も、お兄様もシルビアも。
私がいることで本来あるべきだった幸せな家族が崩壊した。
あの両親なら、きっと2人をとても大事にしてくれていたはずだったのに。
ナタリーも私に利用されたことで、とても不愉快な経験をした。友人に裏切られるなんて、純粋で明るい彼女には味わってほしくなどなかった。とても友人想いの人だから、私を疑う時だってとても苦しんだはずだ。本来ならばそんな経験など、知らなくて済んだはずなのに。
セイラなんて、もっと酷い。
セイラが言ってくれた言葉は全てを理解できなかったけれど、私の所為で何かに巻き込まれているのだけはわかる。レイリーはとても優しい女性だった。おそらくその意識が宿っているセイラも優しい人のはずだ。
私の所為でいじめられるなんてきっととても傷ついただろう。
私を好きだと言ってくれた、唯一の人なのに私はその人を容赦なく計画の道具にした。
ミリアにしても、私の専属のメイドになった所為で酷い目にあっただろう。彼女が私を思って泣いてくれたことなんて、1度や2度じゃない。あんなに主人想いのメイドはきっと彼女以外いないだろう。どこまも私を思ってくれる優しい人。彼女の主人が私でなければ、もっと穏やかにメイドとしての人生が歩めたはずなのに。
そして、ヴァリタスは――。
彼は前世のときも、そしてこうして生まれ変わった今世でも私に振り回されてばかりだ。手に入れるはずだった家族との時間も、婚約者も奪ってしまった前世。そして今、私は前世の時と同じようにまた彼から奪おうとしている。
大事な人達との関係性を。
彼には幸せになってほしかった。
それは前世の時も同じように願っていたような気がする。
でも私がいるだけでそれは叶わなくなってしまう。
関わるだけで、生きるだけで私は罪深い。
なら、生きる意味なんてない。
私の前世が暴かれた今、私を殺したとしても罪に問われることはないだろう。
反対によくやってくれたと言われるかもしれない。
そしてそれがヴァリタスだったら。
彼はまた英雄になれる。
ここで死にしたい。
貴方と同じ場所で死ねたら、少しはマシな存在に成れる気がする。
この何の価値の無い存在から少しぐらいは――。
「ねぇ、リーヴェ。せめて貴方の許しがほしい。ここで死んでも良いって、楽になっても良いって」
幻覚でも、幻聴でも。
少しぐらいは私の事を、この最悪な行為を肯定してほしい。
そうすれば、少しぐらいは楽に息ができる気がするから。
しかし、心の中にいくら問いかけても答えなんて帰って来なかった。
それが私の愚かしさに対する答えなのだろう。
地面に蹲り、頭をこすりつけて声を上げて泣いた。
悔しさや悲しさが溢れ出て止まらない。
私の願いはいつだって思い通りには叶わない。
非力すぎるから、というより私の存在があまりにも滑稽だからなのだと思う。
何もかもうまくいかない。
死ぬことさえもままならないなんて。
「エスティ!」
焦った声で呼ばれ、ハッと息を飲んだ。
強く願ったものとは違う、あの人の声だった。
けれど、どうして?
なぜ、彼の声が聞こえる?
蹲った姿勢のままゆっくりと振り返る。
やはりそこにいたのはヴァリタスだった。
歪む視界の中で息を切らし、眉間に皺を寄せた彼が私を見つめている。
泣きそうに細められた瞳には少しの安堵が見えた。
「ヴェリタス、さま……」
「どうして。どうしていなくなったりしたんだ! 僕が、どれほど……」
今にも泣きそうな顔でゆっくりと近づいてくる。
彼がとても怖いのに、体が石のように動かない。
見つかってしまった。
折角彼から逃げたのに。
折角、私を監視するという責務から解放させられると思ったのに。
結局私は、ヴァリタスにとっても悪影響を与える存在でしかなかった。
なんて、なんて災禍。
存在自体が悪そのもの。
そうか。
私が悪逆皇帝なんだ。
リーヴェではなく、私という存在が彼らが伝えてきた悪逆皇帝そのものなんだ。
両親も、お兄様もシルビアも。
私がいることで本来あるべきだった幸せな家族が崩壊した。
あの両親なら、きっと2人をとても大事にしてくれていたはずだったのに。
ナタリーも私に利用されたことで、とても不愉快な経験をした。友人に裏切られるなんて、純粋で明るい彼女には味わってほしくなどなかった。とても友人想いの人だから、私を疑う時だってとても苦しんだはずだ。本来ならばそんな経験など、知らなくて済んだはずなのに。
セイラなんて、もっと酷い。
セイラが言ってくれた言葉は全てを理解できなかったけれど、私の所為で何かに巻き込まれているのだけはわかる。レイリーはとても優しい女性だった。おそらくその意識が宿っているセイラも優しい人のはずだ。
私の所為でいじめられるなんてきっととても傷ついただろう。
私を好きだと言ってくれた、唯一の人なのに私はその人を容赦なく計画の道具にした。
ミリアにしても、私の専属のメイドになった所為で酷い目にあっただろう。彼女が私を思って泣いてくれたことなんて、1度や2度じゃない。あんなに主人想いのメイドはきっと彼女以外いないだろう。どこまも私を思ってくれる優しい人。彼女の主人が私でなければ、もっと穏やかにメイドとしての人生が歩めたはずなのに。
そして、ヴァリタスは――。
彼は前世のときも、そしてこうして生まれ変わった今世でも私に振り回されてばかりだ。手に入れるはずだった家族との時間も、婚約者も奪ってしまった前世。そして今、私は前世の時と同じようにまた彼から奪おうとしている。
大事な人達との関係性を。
彼には幸せになってほしかった。
それは前世の時も同じように願っていたような気がする。
でも私がいるだけでそれは叶わなくなってしまう。
関わるだけで、生きるだけで私は罪深い。
なら、生きる意味なんてない。
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反対によくやってくれたと言われるかもしれない。
そしてそれがヴァリタスだったら。
彼はまた英雄になれる。
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