異世界召喚されて勇者になったんだけど魔王に溺愛されてます。

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4話 赤い瞳①

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「魔王討伐へ行け」

2ヶ月ぶりに王の前に呼ばれたかと思えば、また訳の分からないとこを言い始める。相変わらず王は小太りで身なりは豪華だ。俺の事は視界に入れようとせず、無関心のように命令して来た。

魔王討伐?何言ってるんだ、

頭が真っ白になってしまう。
魔王を殺せって?無理だろう
俺は強くないし、そもそも魔王は1人で一国を潰せるほど強いと言うのに。
無理です出来ないですと口から出かけたが、そもそも俺には拒否権なんてない事を思い出す。

「分かり、ました…」

なんで俺なんだ、
なんで俺はこんなに運が無いんだ。








魔神族達は魔王城を中心にして集まり、国のような物を作っている。人間の国と同じように家を建て家族を作り、平民や貴族のように貧困の格差もあるんだとか。
そんな魔王城があるのはここからずっと東に行った所にあるらしい。詳しい事は分からず、古い本に少し書かれているだけだった。
少なくともここから歩いて3週間はかかる。






そんな魔王城へ行けと、少し古めの剣とかびたパンを3切れを持たされ俺は城を追い出された。
歩いて3週間かかる魔王城へ行くのに、パンを3切れだなんて「のたれ死ね」と言っているような物だ。
きっと俺は不要になったんだ。殺すために、城を追い出した。




とぼとぼと、ひたすら東へと歩き比較的魔物の少ない林の中を通っていた。
城を追い出された時は高く昇っていた太陽も傾いて、空は真っ赤な夕焼け空だ。
街をまっすぐ通って近道しようと試みたが、街に入った瞬間 街の人達に酷い形相で睨まれて出て行けと怒鳴られた。女の人は子供を抱き抱えるように守って、男の人は手に桑を持っていたりした。
きっとこの赤い目のせいなんだ、
避難され続けながら街中を歩くなんて出来ない。
少し遠回りになるが林を抜けて東へ向かっていたのだ。

俺だって、好きでこんな目に生まれてきた訳じゃない。
お父さんにも沢山殴られたし、ここに来てからもそう変わらない。
なんで俺ばっかりがこんな目に合わなきゃならないんだ、不公平だ。普通の容姿で、普通の親がいて、普通の生活をしている人が羨ましい。

ジワジワと目頭が熱くなってくる。
耐えきれなくて両目から涙が溢れてしまう。
木に寄り掛かり、ズルズルと地面に座り込んで頭を抱えて小さく嗚咽を零す。
服の袖は涙で濡れてぐしょぐしょだ。

「も、やだ…もうやだ…やだ、」

何が嫌なのかは分からない。でも、嫌で嫌で仕方がない
恵まれ無かったのが嫌なのか、異世界に無理矢理呼ばれたのが嫌なのか、もう生きるのが嫌なのか、それとも全部なのか、もう何も分からない。
さっきまで感じていた空腹も、さっきまで感じていた冬の寒さの、一気に分からなくなってしまった。

でも、悲しくて辛くて怖いのだけは分かる。

無くなった右目がズキズキと少し痛む。眼球は無くなったのに涙だけは出てしまう、いっその事涙も出ないようにして欲しかった。

「ふツ…う…た、すけて…やだ…怖い、怖い…」

誰も居ない林の中で1人嗚咽を零しながら助けを求める俺は滑稽だろう。
滑稽でもいい、誰かに助けて欲しい

日はすっかり落ちて辺りは真っ暗だ
手先の感覚も無くなってきてしまった。

このまま、死ぬのかな…

きっと一生分の涙を流してると思う。それでも涙は止まることなく頬を伝い溢れていく。
地面が涙で濡れている。
水玉模様の様になってしまった地面を見ていると人影が自分の前に歩いてきたのが分かった。

上を見上げると180はある男の人が立っていた。






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