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9話 鍵。
しおりを挟むここはどこなんだろう…とても柔らかくて、暖かい。もしかして天国なのかな…?いや、違う…ここは確かベットの上だ。
昨日ご主人様に買われて、お風呂に入ってご飯を食べて…それから…、
そこまで思い出して目が覚める。
そっか…俺、ご主人様のベットで寝ちゃったんだ、
上半身だけ起き上がって目を擦り、壁に掛けてある時計を見ると針は11時を回っていた。
…寝すぎた
少しずつ目が覚めてくると、あることに気がつく。
ご主人様が、居ない?どこに行ったんだろ、
部屋の何処にもご主人様が居ないのだ。
ゆっくりベットの上から降りて絨毯の上に立つ。相変わらず絨毯はふわふわしていた。
感触を楽しみたい所だが、それは後にしておこう。
脱衣場や、風呂場も見てみるが何処にもご主人様は居ない。クローゼットも開けてみたが当然中に入っているのは服だけ。
「ご主人様…どこ?」
違う部屋に行っているのだろうか…新しい家とは言え、俺にとってはほぼ知らない場所のような物だ。
知らない場所に、自分一人だけ
その今の状況がとても恐ろしく思えてきた。
きっと、ご主人様は違う部屋にいるんだ…怖い、1人は嫌だ
ご主人様を探すため、廊下へ出る扉の前に急いで行く。
しかし、ドアノブを回すとガチャガチャと音を立てるばかりで扉は全く開く様子はない。
どうやら鍵を掛けられているようだ。
「開かない…なんで…!鍵、?…ご主人様どこ?」
何度もドアノブを回したり、思いっきりドアを押したりしても開かず、ヤケになって扉をドンドンと手で叩く。
「出して!やだよ、ご主人様!ご主人様…!」
気づけばまた泣いてしまっている。手は涙を拭うこと無くずっと扉を叩く。
どうしようもなく怖い。1人になりたくない。何故か、ご主人様なら助けてくれる気がした。
ご主人様、怖い…1人はやだ、怖いよ…
手に力が入らなくなって扉を叩く音がだんだん小さくなっていく。
その場にへたり込んで、ペタリとお尻を床に着けた。
「うツ…んぐ……ご、主人様…ひっ…」
喉からは嗚咽と小さく呟いた声が、目からは大粒の涙が零れている。
まだ会って3日も経っていないけれど、今まで会ってきた中で1番信頼出来る人だ。優しい目をしていて、大きな手でそっと撫でてくれる。
…初めて優しくしてくれた人だった。
「…ヒッ、ぅ…う、…キュゥン…、クゥ…クゥン…」
寂しくて、ご主人様が恋しくて、早く帰ってきて と喉が鳴る。
自分の体を抱え込むように座って、ご主人様の帰りを待っていた…
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