実話!親ガチャ大失敗!夜逃げ中に生まれて捨てられ老夫婦に育てられた俺はワンオペ認知症介護で人生詰んでます!転生ざまぁはいつですか!

他山小石

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免許編

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 免許を取っておく。
 田舎では就職に関わる程に重要なのが車の免許と技術だ。これは苦戦した。幼いころから車に乗り慣れていない。
 我が家に車に乗れる人はいなかった。

 都会の人には、感覚として伝わらないかもしれないが、重くて大きな鉄の塊を動かすのだ。車幅、車両の感覚、大きな自分以外のものを動かすにはそれなりの感覚が必要だ。
 道路も歩道以外走ったことはない。道幅も今まで意識したことはない。
 幼いころから、親にドライブに連れて行ってもらってた人たちは、親が運転してるのを横でずっと見てきている。前の車との距離、信号やカーブでの死角。どの速度で曲がるのか、どこで曲がれるのか、感覚として学んでいる。
 公道では動物の轢死体や石などが落ちている。トラブルの対処法も親の横で知らず学んでいるものだ。

 では、いきなり運転すればどうなるか? 全然ダメ、何度も実技でダメ出しをくらった。
 育った環境で学んでいくもの、得るものは違う。
 美大を出た親に美術を習う。医者の子どもが受験勉強を教わる。読書家の家庭は本がある。我が家にはなんにもない。中卒の親から勉強は教わらず、高齢の親から運動は教わらず、護身術の心得を少しだけ。
 昭和一桁生まれの親なのだ。
 母は若いころ寿司屋で働いていたが、田舎の寿司屋で、現代の洗練された握り寿司とは似ても似つかない大ぶりな握りしか教わってない。
 父は、インフラ系だったが1950年代、60年代に覚えた技術なんてまったく役に立たない。機材も規格も変わってる。接待に付き合って、飲み屋でもらってきたマッチは今も大量に残ってるわけだが……。
 生活に役立つ技術は全くと言っていいほど受け継いでいない。

 今なら、インターネットで多くの技術を得られる。生活に接点がなくても、興味がある技術のとっかかりぐらいなら得られる。いい時代になったものだ。

 周囲と比較するから辛くなる? そう、その通り。
 しかし、比較してないと、周囲と感覚がずれていく。
 周囲の価値観に合わせるには他人のことも知っていかないと。自分の世界に閉じこもって自分の価値観だけで生きていくのは独善になる。
 社会性を身につける、というのだろうか。一人で生きてるのではない、社会に生きているのだ。

 あくまで、人間として、人間らしく生きていきたい。
 自分を修正していきながら、それでも自分を忘れないように。押し付けず、押し付けられず、ありたいのだ。
 多くの人に押し付けられ、強いられてきた。押し付ける側にはなりたくない。
 偉そうに言ってるが、この心境になったのは30過ぎてのころ。当時は、多くの正しさが、価値観が、自分の中で衝突を繰り返し、悩みの中にいた。

 免許の話に戻そう。
 苦戦してなんとか卒業試験。ここで不運発動。台風の前日で風が強かった。飛んできた看板が車のリアに当たる。
「今のは見んかったことにしてあげるよ」
 教習所の教官先生にまで同情されてしまった。

 公道に出てからも、田舎道で走行中、鹿やカモシカに囲まれたり。飛んできた5メートル級のブルーシートで道をふさがれたり。二輪のおじいさんがタバコの吸い殻をポイ捨てしてボンネットの上にのったり。
 深夜、横断歩道を渡ってる亀には笑いました。当時SNSやってたら動画とってるとこだよ。

 在宅介護終わったと思って温泉に行った帰りにトラックに追突されたり。散々な目にあっている。

 オチはないけど、ワタシは元気ですー。
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