実話！親ガチャ大失敗！夜逃げ中に生まれて捨てられ老夫婦に育てられた俺はワンオペ認知症介護で人生詰んでます！転生ざまぁはいつですか！

介護保険拒否編

在宅介護、介護保険拒否編 ２３話

　Ｙ病院はスタッフも適当だった。
　母が漏らしたとき、点滴などの医療用品が入っていたであろうビニール袋を手渡してきた。俺は車まで戻って使い捨て手袋などを持ってきて、一人で母の介助をした。態度もよくなかった。

　のちに転院するＴ病院は「そんなに恐縮しなくても大丈夫です」手伝おうとすると「これは仕事のうちですから気にしないで」と看護婦さんがすべて処理した。頭が下がる、とはこういうことだろう。
　血管が細い母はＹ病院では何度も針でつっつかれて手の甲から採血していた。Ｔ病院のスタッフの場合、スルスルと血管にはいる。
　因果関係についてはサンプルが少ないのではっきり言えないが、対応の丁寧な病院ほど、専門職の質がいい。心がけとともに技術を磨いてるように思う。

　あと某検索サイトの口コミ評価は間違いではないってことを知った。
　歯医者でも、同様のことがあった。

　おおむね、態度が悪いところは技術もお粗末。これで間違いないんじゃないかと。

　Ｔ病院に転院して、主治医がＴ先生にかわった。
　いい先生だった 。T 先生は診療時間中、母が不安にならないように両手で手を包み、目を見つめながら毎回優しく挨拶してくれるような人だった。
「お変わりないですか」と母に尋ね一通り聞き終わると、俺にも振り返って話を聞いてくださる。
　患者にも家族にも寄り添ってくれる、そんな先生だった。T病院を選んだ理由は老年内科があるからだ。医療関係者は高圧的なもの、常識を覆された。

　肩や歯の痛みについて、痛みを記憶して脳が繰り返している、常同行動の一種かもしれないという。またはかゆみなどの別の感覚を痛みと誤認している可能性。
　そして、認知機能に効くレミニール、これが厄介だった。少しずつ減らしていき、心を落ち着けるウィンタミンが処方されるようになる。

　この先生は、コウノメソッドというのを一部取り入れている。
　家族が困っている周辺症状、ご飯を食べない、興奮する、意識レベルの低下、寝てくれない、などから解決していく。
　患者を治療するという視点だけではなく家族を救うことを前提に診てくれている。
　元祖コウノメソッドはサプリを使うそうだが、T先生は保険のきく薬の調整で対処してくれた。
　暴れていた母の怒りが少なくなっていく。穏やかな時間が増えていく。医療への拒否もなくなっていった。
「おかん今何がしたい」
「洋裁学校行きたい」
　そうやな、と答えた。薬が効いている時はとても穏やかな表情になっていた。ただ状況は変化していく。夜中は相変わらず叫んだりする。