実話！親ガチャ大失敗！夜逃げ中に生まれて捨てられ老夫婦に育てられた俺はワンオペ認知症介護で人生詰んでます！転生ざまぁはいつですか！

認知症、ワンオペ、在宅介護編

認知症、ワンオペ、在宅介護編 １３話

　便秘はとにかく続いた。
　その度に摘便をする。病院でいただいた薬で滑りをよくして肛門から指をいれる。
　6日でないこともあった。食事量が減っているとはいえ医療機関にお世話になるか迷うところではあった。
　そこで浣腸なども試すがうまくいかない。そこで摘便を試みた。肛門付近から指を入れてをコツンと当たる感触が指先にある。もはや便とは思えないほどの硬さだった。
　ロングノズル浣腸でも突き破れない。少しずつ掻き出すことにする。
　表面から崩すように腸に負担をかけないようにゆっくりと便周辺を削っていく。
　摘便をする時、母は「痛い」と拒絶することもあったが、その時はおとなしくしていた。表面が崩れ始めた頃「ダム」が決壊し始めた。奥の方から便が流れ出てくるのがわかる。
　紙パンツで受け止める準備をした。

　ムリムリムリムリモモモモモモ。
　バナナ３本ぐらいの大便だった。すごい、でてよかっｔうおおおおおおおくせえええええ！！！

　笑い事じゃない。
　ほんとくさかったんだ。
　下の世話を厳しい環境で長年生き抜いてきた俺ですら、のけぞるほどに臭かった。未曾有の危機だった。
　後に病院に相談したが、先生の説明では「腸内で腐敗していたのかもしれませんね」という。
「そんな時は無理しないで来てくださいね」
　正論だ。どうも周りに迷惑をかけたくないと、一人で抱え込むタイプの性格が災いしたようだ。便秘をなめるな。

　バナナ三倍くんが出終わる頃。だんだん便が柔らかくなっていく。
　水分が吸収されてない波が来ると分かっていた。便がもりもり守られた紙パンツから手を離し、下のシーツカバーを手にした。
　奴が来る！！
　使い捨ての紙シーツカバーは母が暴れるので何枚か重ねていていた。
　その一枚を俺の胸の辺りまであげた。
　瞬間、ぶぼっと音がした。
　もし動画サービスを見ることができるならば「カバの排泄」で調べてみてほしい。しっぽを回転させながら周囲にばらまく。そのイメージだ。
　なんとか周辺には飛び散らず、ちょうど全て受けきることができた。経験値が足りなければもっと悲惨なことになっていたであろう。

　いつも通り固形物はトイレに流す。
　手袋をしているとはいえ大量にトイレに掴んで落とすのは正直気持ちいいものではない。しかも硬くてでかいので流れにくい。
　２時間流れないまま引っかかっている便を見ながら、人生の無常を感じた。