実話!親ガチャ大失敗!夜逃げ中に生まれて捨てられ老夫婦に育てられた俺はワンオペ認知症介護で人生詰んでます!転生ざまぁはいつですか!

他山小石

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メンヘラストーカー編

14話

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 会話が通じない人間と接し続けるというのは非常にストレスがかかる。
「 小学生の時は毎日友達と遊んでましたよ」
「俺らはもうおっさんだよ、いい加減大人になれ」
 とこんな調子である。

 こんなのでも身長170前半、そこそこ整った容姿なので出会い系でほいほいひっかけられる。深く付き合ったらおかしい部分が見えるが、少々会話するだけならボロが出ないのだ。全身黒服に十字架・ドクロアクセサリーというメンヘラファッションも危険なヘラオーラが出ている。

 ちなみにエ〇バさんが我が家に勧誘に来たことがあった。
 ヘラ君のとこには「こういう人来るの?」と聞いてみた。
「エッ……さんは人類滅亡するといってる。次は楽園で会いましょうとか言っているぞ」
 ヘラくんに説明してみた。
「なんすかそれ、マジ頭おかしいっすね」
 目覚めよ(泣)

 ヘラ君は中古車を買いに行った。
 何故か俺の車で買いに行く。納車前日に車を見に行くと言いだした。
「どうしてもか」
「はい」
「まだ納車日違うやろ」
「はい」
「意味ないだろ」
「でも行きたいんです」
 意味がわからない。
「なんでや」
「協力してくれませんか」
「どうしてもか」
「はい」
 なぜここまで食い下がる? わからない。ここまで強引な理由がわからない。ここまで他人に負担をかけて平気な理由がわからない。発想が理解できない。

 自他の区別がつかない。
 自分のものと他人のものの区別がつかない。
 ここまで依存されていると何がきっかけで逆上するかわからない。本人はもう善悪の区別などつかない。怖い。普通の考えは全く通じない。
 でも車さえ手に入れば俺に「車出してほしい」なんて言わなくなるだろう。甘かった。ヘラ君はこの時点で俺なしで生活できないところまで依存していた。
 我慢できない。薬も飲まない。やはり面会を求められる。心の病気は自覚できない。
「ボクはおかしくないっすよね」
 いつもこれだ。

 ヘラくんの相談事は恋愛が多かった。
「結婚したいんですよ。30代前半で、これが最後のチャンスかも」
 それを言うなら俺にもチャンスはあったかもしれない。

「ねえ君。俺が30代前半の頃の貴重な時間、ほとんど誰かさんと過ごしてしまったんだけど、よくそんな相談俺にできるね」
「はははは」
 笑い事じゃない。
 俺の恋愛できる時間を軒並み奪った男が目の前にいるわけだ。
 この日ヘラ君は風邪気味だった。まあ、うつされるわけだが。
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