足音

足音

駐輪場の近くでランニングのために体操してるおじさんがいた。
俺はコンビニのバイトに行くために自転車を出したかったので、すいませんと言いって自転車を出した。
そして自転車を漕ぎ出すと、おじさんが走り始めたようで足音がしていた。
しかし、ある程度漕いだところで違和感を覚えた。
足音がずっとするのだ。
普通だったら、ある程度漕げば距離がどんどん離れて足音なんて聞こえなくなると思うんだが、一向に止む気配がしなかった。ましてや、あのおじさんの足がそんなに速いとも考えられない。
そう思っている間に俺は怖くなり、自転車を急停止して後ろを確認することにした。

ブレーキをかけた瞬間、自転車の後ろからドンっと大きな音がし、男のうめき声が聞こえた。
俺は恐怖で後ろを確認するのも嫌だったが、勇気を振り絞って後ろを振り返った...


「え、さっきのおじさん？」

そこには、紐を自転車の後ろに括り付けていたために、歯をぶつけて血を出しているおじさんがいた。

「あの、えっと、なにしてるんです...」

「はは、すまんね、健康のためにランニングしようと思って最近始めたんだが、これがなかなか辛くて、これなら楽かなぁと」


「はあ、あの、いつ紐括り付けたんですか...」

「いつもこの時間帯に自転車でどこか行っていたみたいだから、少し前にきて結んだ後に体操して待っていたんだ」

バイトの時間帯が遅いから暗くて気づかなかったのか。そもそもこんなこと想定もしないが。

「そうですか、あの、病院に電話しますか...」


「すまないが頼んでいいかい」


俺は病院に電話をしておじさんが病院に行った後、バイト先に少し遅れることを伝えてバイトに向かった。
そしてバイトの帰りに近くの自転車販売店に向かった。

「荷台の付いてないタイプを買おうかな...」