正確な表示

正確な表示

「今日の天気です」

「都市部では曇りのち雨の予報、降水確率は、46.875524%になるそうです」

「念の為折りたたみ傘を持っておいた方が良いでしょう」

「ねぇ、パパ」

「どうした？」

「どうして、天気の降水確率とかってあんなに桁数多いの？」

「それはね、昔よりもより正確にデータを取れるようになったからだよ」

「でもさ、僕学校で習ったんだ四捨五入っていうの、それを使ってもう少し簡単に表してもいいと思うんだけど」

「確かにそうかもしれないな、でも正確なデータの方がより安心できる人もたくさんいるんだ」

「ふーん」

息子は納得していないような返事を軽く返して学校に行く準備を始めた。

「行ってきまーす」

「行ってらっしゃい」

バタンッ

ドアが閉まり家には父親だけになって父親が一人で呟く。

「俺もそう思うさ、でもなんでも揚げ足を取ろうとする奴らが増えて、降水確率50%とか区切りよく報道なんかした日にはそんな綺麗なデータじゃないだろってイタズラ電話が殺到するんだ」

「正確も曖昧も大切なんだな」

悟ったようにぼやきながらコーヒーに口をつけた。