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あの人たちのあの日あの時 (女子高生ハルカ編)
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私は、実家から離れた学校で寮生活を送っている。
部活で全国大会の常連になっていたせいもあって、特待生として誘ってもらった。
部活でいい成績を残せば、学費は免除。部活に掛かるお金も学校持ちと至れり尽くせり。
オリンピックに出れたらいいな。故障したら学費と寮費は自己負担になっちゃうから
体調管理もしっかりしています。
競技会も落ち着いた時に、お兄ちゃんが結婚するから顔合わせをするという。
ユキちゃんとは10年の付き合いになるのに、やっぱり結婚となると顔合わせとかするのかな?
とか思うけど、やっぱり、結婚っていうのは儀式だからきちんとするのかな。
ああ、長かったなぁ。ようやくユキちゃんがお義姉ちゃんになるんだ!!テンションが上がる。
今までお兄ちゃんがありえないことやらかして何度ユキちゃんを怒らせたか。
でも、お兄ちゃんいつも危機感がないのよ。結局ユキは俺に惚れてるから許してくれるって。
その自信、どっから来るんだろう。結婚したらユキちゃん、ぜひ尻に敷いてやってください。
そう思ってウキウキしながら家に帰ると。
「初めまして。あなたがハルカちゃん?可愛いね」
猫なで声の変な女が胡散臭い笑顔で近寄ってくる。
「おお、ハルカ、お帰り」
お兄ちゃん、デレデレとその女の傍に立つ。
「お兄ちゃん、ユキちゃんは?」
そのひとことにその女は顔がこわばる。お兄ちゃん、慌ててその女を紹介した。
「お前のお義姉ちゃんになる、あいちゃんだよ」
はぁ?
「お兄ちゃん、結婚するんだよね?」
「そうだよ」
「ユキちゃんは?」
その質問にお兄ちゃんが慌てて説明する。
「ユキと別れた、結婚するのはあいちゃんとするんだよ」
納得いかない。そう思っているのは、アヤメお姉ちゃんもだったみたい。
アヤメお姉ちゃんに喧嘩腰で話すあいちゃんって女。胡散臭い。
お母さんも真っ青な顔でアヤメお姉ちゃんとハルカをなだめる。
微妙な空気で沈黙が走る。そんな時、TVのニュースで商店街の催しの話題が流れた。
「色んな人の協力と努力で実現したので感謝の気持ちでいっぱいです」
長かった髪を切ってはいたけど、その声は紛れもなくユキちゃんだった。
みんながTVに注目する。
お母さんは、髪を切ったユキちゃんの姿に瞳を潤ませ、お兄ちゃんも、元気そうだなといいつつ
その後映ったイケメンのお兄さんにユキちゃんが仲良さそうに頭ポンポンされてる姿を凝視して
イラついた感じなるし、あいちゃんって女もユキちゃんとイケメンの様子を見て顔が硬直してるし。
ハルカは、ユキちゃんに会いたくていてもたってもいられずに、鞄を持って飛び出した。
字幕スーパーに隣の県の商店街の住所が載っていたから、そこに行けばユキちゃんに話ができるってそれしか思わなかった。
結局、商店街の祭りには間に合わなかったけど、ユキちゃんを見つけることができた。
映像に出ていたお兄さんとすごく仲良さそうに話をしている。
思わずユキちゃんに抱き着いた。
結局、ユキちゃんはお兄ちゃんのところへは戻らないって決めていた。
あのバカ女のお腹に赤ちゃんが居るからって。
あとあと、その赤ちゃんが実はお兄ちゃんの子供じゃなくて、取引先の既婚者の子供だって聞いたからお兄ちゃんを騙してユキちゃんを追い出したんだってわかった。
結局、バカ女は塀の向こうの人になったけど、ユキちゃんは、別のいい人を見つけてしまった。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
お兄ちゃんが真相を知って、病室でうなされているのを可哀想と思って、ユキちゃんにお見舞いに来てくれるようにお願いした。
「お兄ちゃん、ユキちゃんに会えたらちゃんと謝らないとダメだよ?お兄ちゃんが悪いよ」
ハルカは、お兄ちゃんに言ったんだけど、お兄ちゃん、妙に余裕なんだよね。
「ユキは、俺に惚れすぎて別の女と結婚するってことになった時にアパート引き払って別のところに住んだってくらいなんだ。今、フリーになった俺の、しかも寝込んだ姿を見たら看病したくて戻ってくれるさ。そうしたら、ハルカの望み通り、ユキはお義姉ちゃんになるんだぞ」
我が兄とは言え、どうやったらここまで自分勝手に解釈できるんだろう。お母さんが席を外しててよかったね。そうじゃなかったら今頃どつき倒されてるよ。
「ばっかじゃないの? そんなわけないじゃん」
ホントは言ってやろうと思った。ユキちゃんがとっくに別のいい人がいるって。
「ハルカ、子供は大人の話に首突っ込むんじゃない。出てけ!!」
お兄ちゃん、顔を真っ赤にして怒鳴る。ええ、いいですとも、もう知らないよ。
見てられなくて、病室から出て行った。
そのあと、ユキちゃんとエミさんが来てくれて、文字通り引導を渡してくれたけど、帰りにあのバカ女にエミさんが刺されるなんて。
エミさん、一時は危篤状態だったけど、命は取り留めた。
それもユキちゃんの新しい彼氏のマサキさんのおかげだった。
あの時は、カッコよかったなぁ。残念だけどお兄ちゃん出る幕なしだよ。
マサキさんのことはアヤメお姉ちゃんもよく知ってる人らしくてべた褒めだった。
数年後。ユキちゃんはお嫁に行った。
魚屋のあのマサキさんのところへ。
お兄ちゃんのことがあるからさすがに結婚式とか披露宴には呼んでもらえなかったけど、2次会に誘ってもらった。あの商店街の居酒屋さん。ハルカも成人していたから、居酒屋解禁です。
さすがにお姉ちゃんも一緒だったけど。
幸せそうなユキちゃんの笑顔に、私も早く結婚したくなった。
どんな人と結婚するんだろうなぁ。
部活で全国大会の常連になっていたせいもあって、特待生として誘ってもらった。
部活でいい成績を残せば、学費は免除。部活に掛かるお金も学校持ちと至れり尽くせり。
オリンピックに出れたらいいな。故障したら学費と寮費は自己負担になっちゃうから
体調管理もしっかりしています。
競技会も落ち着いた時に、お兄ちゃんが結婚するから顔合わせをするという。
ユキちゃんとは10年の付き合いになるのに、やっぱり結婚となると顔合わせとかするのかな?
とか思うけど、やっぱり、結婚っていうのは儀式だからきちんとするのかな。
ああ、長かったなぁ。ようやくユキちゃんがお義姉ちゃんになるんだ!!テンションが上がる。
今までお兄ちゃんがありえないことやらかして何度ユキちゃんを怒らせたか。
でも、お兄ちゃんいつも危機感がないのよ。結局ユキは俺に惚れてるから許してくれるって。
その自信、どっから来るんだろう。結婚したらユキちゃん、ぜひ尻に敷いてやってください。
そう思ってウキウキしながら家に帰ると。
「初めまして。あなたがハルカちゃん?可愛いね」
猫なで声の変な女が胡散臭い笑顔で近寄ってくる。
「おお、ハルカ、お帰り」
お兄ちゃん、デレデレとその女の傍に立つ。
「お兄ちゃん、ユキちゃんは?」
そのひとことにその女は顔がこわばる。お兄ちゃん、慌ててその女を紹介した。
「お前のお義姉ちゃんになる、あいちゃんだよ」
はぁ?
「お兄ちゃん、結婚するんだよね?」
「そうだよ」
「ユキちゃんは?」
その質問にお兄ちゃんが慌てて説明する。
「ユキと別れた、結婚するのはあいちゃんとするんだよ」
納得いかない。そう思っているのは、アヤメお姉ちゃんもだったみたい。
アヤメお姉ちゃんに喧嘩腰で話すあいちゃんって女。胡散臭い。
お母さんも真っ青な顔でアヤメお姉ちゃんとハルカをなだめる。
微妙な空気で沈黙が走る。そんな時、TVのニュースで商店街の催しの話題が流れた。
「色んな人の協力と努力で実現したので感謝の気持ちでいっぱいです」
長かった髪を切ってはいたけど、その声は紛れもなくユキちゃんだった。
みんながTVに注目する。
お母さんは、髪を切ったユキちゃんの姿に瞳を潤ませ、お兄ちゃんも、元気そうだなといいつつ
その後映ったイケメンのお兄さんにユキちゃんが仲良さそうに頭ポンポンされてる姿を凝視して
イラついた感じなるし、あいちゃんって女もユキちゃんとイケメンの様子を見て顔が硬直してるし。
ハルカは、ユキちゃんに会いたくていてもたってもいられずに、鞄を持って飛び出した。
字幕スーパーに隣の県の商店街の住所が載っていたから、そこに行けばユキちゃんに話ができるってそれしか思わなかった。
結局、商店街の祭りには間に合わなかったけど、ユキちゃんを見つけることができた。
映像に出ていたお兄さんとすごく仲良さそうに話をしている。
思わずユキちゃんに抱き着いた。
結局、ユキちゃんはお兄ちゃんのところへは戻らないって決めていた。
あのバカ女のお腹に赤ちゃんが居るからって。
あとあと、その赤ちゃんが実はお兄ちゃんの子供じゃなくて、取引先の既婚者の子供だって聞いたからお兄ちゃんを騙してユキちゃんを追い出したんだってわかった。
結局、バカ女は塀の向こうの人になったけど、ユキちゃんは、別のいい人を見つけてしまった。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
お兄ちゃんが真相を知って、病室でうなされているのを可哀想と思って、ユキちゃんにお見舞いに来てくれるようにお願いした。
「お兄ちゃん、ユキちゃんに会えたらちゃんと謝らないとダメだよ?お兄ちゃんが悪いよ」
ハルカは、お兄ちゃんに言ったんだけど、お兄ちゃん、妙に余裕なんだよね。
「ユキは、俺に惚れすぎて別の女と結婚するってことになった時にアパート引き払って別のところに住んだってくらいなんだ。今、フリーになった俺の、しかも寝込んだ姿を見たら看病したくて戻ってくれるさ。そうしたら、ハルカの望み通り、ユキはお義姉ちゃんになるんだぞ」
我が兄とは言え、どうやったらここまで自分勝手に解釈できるんだろう。お母さんが席を外しててよかったね。そうじゃなかったら今頃どつき倒されてるよ。
「ばっかじゃないの? そんなわけないじゃん」
ホントは言ってやろうと思った。ユキちゃんがとっくに別のいい人がいるって。
「ハルカ、子供は大人の話に首突っ込むんじゃない。出てけ!!」
お兄ちゃん、顔を真っ赤にして怒鳴る。ええ、いいですとも、もう知らないよ。
見てられなくて、病室から出て行った。
そのあと、ユキちゃんとエミさんが来てくれて、文字通り引導を渡してくれたけど、帰りにあのバカ女にエミさんが刺されるなんて。
エミさん、一時は危篤状態だったけど、命は取り留めた。
それもユキちゃんの新しい彼氏のマサキさんのおかげだった。
あの時は、カッコよかったなぁ。残念だけどお兄ちゃん出る幕なしだよ。
マサキさんのことはアヤメお姉ちゃんもよく知ってる人らしくてべた褒めだった。
数年後。ユキちゃんはお嫁に行った。
魚屋のあのマサキさんのところへ。
お兄ちゃんのことがあるからさすがに結婚式とか披露宴には呼んでもらえなかったけど、2次会に誘ってもらった。あの商店街の居酒屋さん。ハルカも成人していたから、居酒屋解禁です。
さすがにお姉ちゃんも一緒だったけど。
幸せそうなユキちゃんの笑顔に、私も早く結婚したくなった。
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